遠藤氏の脅威の心霊現象体験談
[!あらすじ!]
今回のお話しは、前回作品からの続編ではなく、遠藤氏の単なる思い出話しである。
この世には、科学や肉眼などでは、確認・解明できない出来事が沢山ある。
特に心霊現象や幽霊などは、視える者、視えない者、感じる者、感じられない者など様々な者がいる。 また、そう言った死後の世界には、まさに死ななければ視ることができない。
つまり、あらゆる手段を使用しても確認しようがない、この怪奇な現象を肯定する者や、否定する者や、興味のない者など様々いることは確かなことであり、幽霊の存在自体を否定できる根拠も肯定できる証拠もないのである。
だがしかし、これから登場する一人の成人男性だけは、幼少の頃から……とても奇妙で怪奇な現象にあっている。
その彼こそ、『遠藤』氏。 その人である。
はじめまして、またはお久しぶり……だな。
この私が遠藤と言う者だ。
ちなみに現在では、高い地位の警察官をしている。
以前『ガードレール』の話をしていたけど、今回はその続きを話しておこうかな。 また勿論だが、その後で登場する『悪魔の王』とやらに、この世界を支配・封印されてしまう以前の話である。
そこで私が、あの例の『ガードレール』から車で離れて、本来の目的地でもある、地方の町のとある温泉宿に到着していた。
そこは地方の町でも、かなり有名な温泉街であり、なかなかの良い温泉宿でもあり、丁度この時期には、女子高生の修学旅行とも重なっている。
『へぇ~ なかなかの良い宿ではないか。 こいつはツイてるな。』
「本日はお忙しいのに遠路から、わざわざお越しいただいて、ありがとうございます。」
早速だが、宿の中に入るとロビーには、若い美人の女将さんが出迎えてくれて挨拶されると、今度は若い美人の仲居さんが、私の今夜宿泊する部屋へと案内してくれた。
「はい、どうぞ。 こちらの部屋でございます。」
『この部屋もなかなか・・・』
早速だが、宿泊する部屋の中に入ると、特になんてことはない普通の部屋であり、なかなか過ごしやすそうである。
…幽霊とかもいないようだ…
そこで私が座席に座って、ゆっくりと寛ぐ。
「はい、お茶をどうぞ」
『・・・ああ』
その仲居さんがお茶を淹れてくれて、私がそれを受け取って飲んでいると、廊下からは、女子高生たちのはしゃぐ声が聞こえてくる。
それから仲居さんから、食事やお風呂やお土産屋などの説明を受けていて、「どうぞ、ごゆっくり」と言いながら、正座をしたまま頭を下げると、そのまま部屋を出ていった。
しばらく休むと、私も部屋を出ていきロビーの方に行くと、そこには多くの女子高生が集合していて、先生の話を聞いていた。 私がそれを受け流して、そのまま宿を出ていった。
この町の…いや…私はお寺や神社などを見て回っている。 なかなか趣があり風情のある古いお寺から、なかなか綺麗にされている新しい神社まで、車を運転しながら見て回るのだが…。
時々、女子高生たちとも出会うけど、彼女たちの目的はどちらかと言うと、お寺や神社などよりも、むしろ温泉の方に興味があるようだな。
とあるお寺での出来事。
境内の一角に長細い黒いモノが突っ立っている。 勿論だが、普通の人間には見えていないけど、私には見えている。 明らかにこの世のモノではないがな…。
そいつは "ひとつの眼" のみで、髪の毛も鼻も耳も口も首も手も足もない……何処からどう見ても化物であることは……まず間違いない。
そいつが……そのひとつしかない眼で、私のことを睨み付けている。 ……睨み付けてくるだけで、特に何もしてこないけど、非常に不愉快だ…。
……不愉快だが、この私がこの正体不明の謎の化物を、今までの "知ったかぶり知識" を用いて、あえて…『高坊主』と呼ぶことにした。 この地方の町に伝わる化物(妖怪)のひとつだからな。
そこに私に取り憑いている【雪女のユキコ】と【悪霊のユリカ】が話しかけてきた。
「あははは、なにあの顔、面白い~ あははは~」
「確かに不愉快だね。 殺っちゃう? マモル」
『いいや、今回だけは放っておこう。』
「……わかったわ。 命拾いしたわね。 高坊主」
踵を返した私が睨み付けてくる高坊主を背にして、そのまま…そのお寺をあとにした。
次の―――
とあるお寺での出来事。
境内の一角にまた長細い黒いモノが突っ立っていて、あの高坊主も、私のことを睨み付けてくるだけである。
そこでまた【雪女のユキコ】と【悪霊のユリカ】が話しかけてきた。
『・・・』
「……あれ? アイツ…さっきのヤツ…なの……?」
「もしかして、アイツ…私たちのあとを憑いて来てるのかしらね…? マモル」
『いいや、違うな。 おそらくアイツはもともと、このお寺に棲み憑いているヤツなのだろう。』
「まったく、アイツらは一体何匹いるのかしらね…?」
『さぁ・・・?』
「……え? あれ、さっきのヤツじゃないの?」
『あぁ、おそらくな。 まぁ、別にどうでもいいけどな。』
踵を返した私が睨み付けてくる高坊主を背にして、そのまま…このお寺もあとにした。
その後も、色んなお寺を見て回っていったけど、どのお寺にもアイツが……ただ突っ立っていて、こちらの方を睨み付けるだけで、特に何もしてこないのだが…。
ちなみに神社の方には、特に何もいなかった。 あくまでお寺の方だけである。
そこで私が目的を終えると、宿泊している温泉宿まで、そのまま車を走らせて戻っていった。
その日の夜
私が宿泊している部屋で座席に座って、ゆっくりと寛いでいると、そこに仲居さんたちが今夜の食事で、肉や魚やご飯などを使った豪華料理を運んできてくれた。 どれもとても美味しそうで…思わず舌鼓を打った。
それから食事を食べ終えると、続けて今度はお酒を呑みながら、おつまみを食べていて、ゆっくりと寛ぐ。
その後で読書や雑用などをしていると、いよいよ…いい頃合いなので、この温泉宿のご自慢の "満月の混浴露天風呂" に入浴してみることにした。
その男湯に到着すると、男性用更衣室に入って、服を脱いで全裸になって、浴場へと足を進めると、なんとすでに先客がいた。
修学旅行に来ていた女子高生たちが全裸で、こんな夜遅くに入浴していた。
私が端の隅の方で入浴する。 それにしても、最近の女子高生はなかなかの美少女である。 とても綺麗な長い黒髪に、とても透き通った白い美肌、とても発育のいい大きな胸やお尻、彼女たちが夢中になって温泉を堪能している可愛い笑顔、私はそれらを肴にお酒を呑み、堪能する。
まさに極楽浄土だな。
『もうそろそろだな。』
すると満月が丁度、真ん中に来たあたりで、あの細長い黒いモノがいくつか、天高くまで伸びて来ていて、満月に向かっていて、私があれを高坊主と呼んでいたけど、まさにそれである。 今日だけでも六回は見たけど、同様に六つ同時に天まで伸びている。
『・・・始まったな』
その六つの高坊主が満月の目の前で、ひとつに集結・合体すると、そこで遂に『黒高坊主』と言う強力な化物(妖怪)に変身…いや…進化していて、その姿が一瞬で消えてしまった。
…外見はあまり変化なかったけど…。
おそらく…それが視えていた者は、ほとんどいないだろう。
そして、あの一瞬だけ、この町の "交通事故が全て消滅する" のだけど、原理や理由やその詳細が一切不明…。 ただ…その『黒高坊主』が視えた者には、今後一切交通事故には遭わない、と言い伝えられている。
つまり、この私はもう二度と、交通事故には遭わない……と言うことになる。
『・・・終わったな』
私は夢中ではしゃいでいる女子高生たちを残して、そっと静かに混浴露天風呂を出ていった。
それから宿泊している部屋に戻ってきた私は、寝間着(浴衣)に着替えて、そのまま布団の中に入って寝ることにした。
だが…そこで私は夢を見た。 これから起こる未来の出来事なのか、それとも本当にただの夢なのか…。
かなり遠い将来、2020年7月頃に……天高くから『悪魔の王』が復活・降臨してきて、この世界を支配・封印する悪夢を……。
だが…私には最早どうすることもできない。 ただの夢であってほしい……と、願い祈るばかりだ…。
翌朝、私は朝早くから、この温泉宿をすでに出ていて、車で帰宅の帰路につく。
その後で同じ温泉宿に宿泊していて、修学旅行に来ていた女子高生たちが、修学旅行の最中に、彼女たちを乗せたバスが…あの例の『某所』で、謎の交通事故に遭い、全員が消息不明になったらしい、生死も安否も解らないようだが…。
だけど…この先が、一体どうなっていくのか、不幸中の幸いなのか、それとも誰も何も知らずに逝ケるなら、それはそれで幸福なのかもしれない…。
[!注意!]
まったく、最近の女子高生たちは……修学旅行中に、真夜中の2時過ぎ(本来なら寝てる時間帯)に、隠れて『狐狗狸さん』をやるんじゃあないっ!!