はじめに
まず、いきなりですがタイトルに偽りありです。
ペーパーバックを読むというより、リーディングの技術について書きます。英会話は除きます。
つまり、この文章を読んでも外国人と話せるようにはなりません。
しかし、英語のサイトや洋書が読めるようには、なるはずです。
さらにさらに、筆者はそれほど英語力があるわけではありません。ペーパーバックも何冊か読んだだけですし、単語力もたいしてありません。それでも海外サイトは読めますし、必要な情報を得ることはできます。正確にいえば、これから書くのは英語を流し読みする技術です。それでも簡単なペーパーバックなら読めるはずです。
洋書が理解できるようになるには、百冊は読まねばならないとか、何年もかかるとか、そういう話はよく聞きます。
嘘です。ある程度の英語力があれば、五分で洋書は読めるようになります。
洋書を読む一番簡単な方法は、まずブラウザに翻訳アドオンを入れて、それからProject Gutenbergのサイトから適当な本を見つけて読むという方法です。
これだけです。五分でできます。
Project Gutenbergは著作権の切れた作品を集めたサイトで、五万冊の本が登録されているそうです。少し古い作品ばかりですが、すぐに始められます。新しい本が読みたいのであれば、多少の時間と費用がかかります。一番簡単なのはKindleで洋書を買うことでしょう。Kindleには「Word Wise」という機能があり、これは難しい単語にルビで簡単な注釈をつけてくれる機能です。いちいち辞書を引く必要がなく、単語の上に意味が書いてあるので非常に便利です。全ての本でこの機能が使えるわけではないそうですが、対応している本も多いので、試す価値はあります。
翻訳アドオンについては好みのものを入れればいいでしょう。マウスオーバー辞書なら、辞書を引く必要はありません。ただし頼りすぎると勉強にならないので、多少不便なアドオンの方がいいかもしれません。
今や英語はできて当然の時代です。英語が読めることが何らかのステータスであったのは、ネットが登場する以前の話です。実際に翻訳アドオンさえあれば何とかなります。
しかし、リーディングに関してはそうでも、ある程度のレベルの洋書を読むとなれば、英語力が必要になるのは事実です。また英会話については全く別の技術が必要なので、やはり「英語が話せる」のは何らかの価値があるといえるでしょう。最初に書いたように、ここではリーディングに特化して説明することにします。それでも、英語を理解するために、受験勉強のような努力をする時代は終わったと思います。日本人は努力をするのが得意なので、多読によって英語をマスターしたい人もいるでしょう。そういう価値観の人にはこの文章は無意味です。
しかし無意味な努力をしたくないという人には、何らかの価値があると信じて書くことにします。自分の備忘録も兼ねているので、多少読みづらいかもしれませんが、最後まで読んでもらえればうれしいです。
洋書を読む以外に、英語力をレベルアップするにはどうすればいいでしょうか。理系であれば、お薦めするのは論文を読むことです。専門分野の知識があれば、英文の意味が分からなくても、数式や図を見れば意味が推測できます。しかし文系で、数式アレルギーの人には難しいかもしれません。
そんなときは自分に知識があって、英文以外から内容が推測できる本を選ぶべきです。
例えば、日本史について書いた洋書や、ガイドブックなら写真などから容易に意味を推測できます。それも難しいならば、コミックスという手があります。ジョジョも進撃の巨人も、英語版が出ています。英語を読むきっかけとしてはありでしょう。
こうして、ある程度の英語が読めるようになれば、Twitterやブログ、redditなどが分かるようになるはずです。この文章の目的は、このレベルに到達することです。さらに、翻訳アドオンだけでは、ネット上の文章の意味は分かっても、洋書を読むのは無理でしょう。そのための基礎知識を書くつもりです。
英語はできて当然と書きましたが、それでも日本人が英語を理解するには壁があります。それは文法、単語、前置詞の壁です。どれも日本語とあまりにかけ離れているので、前提となる知識がないと理解不能です。そう言う意味では、英語は極めて難解な言語です。表音文字であるという点も日本語と違います。ひらがなカタカナは表音文字ですが、漢字という表意文字が、日本語と英語を全く異なる言語にしています。日本人は表意文字にあまりに慣れているので、アルファベットという表音文字のみで全てを書く、という思考様式に脳を切り替える必要があります。
次章で、まず文法から説明します。