佐藤
辺りはクリスマス一色。
キラキラと光るイルミネーション、サンタの衣装でクリスマスケーキの予約をとっている女達。どこを見渡しても赤と緑が光り続けている。
まだ12月にもなっていないのに、ハロウィンが終わるとすぐこれだ。まったく日本は外国に毒化され過ぎている。
そんなことを考えていた男、佐藤は、クリスマスを恋人と過ごしたことはない。今年も一人寂しく酒を飲んで終わるだけの「12月25日」。そう思っていた。
だが今回は違った。恋人ができたのだ。名前は冴子。
ハロウィンで魔女の仮装をしていた冴子に、「似合ってますね、綺麗ですね」と声をかけたのが始まりだ。今思うと、何故そんな風に声をかけたのかもわからない。
だがそれは確実な出会いに繋がった。連絡先を交換して、話しているうちに好きになっていった。佐藤は一目惚れだったものの、冴子はそんなところだろう。そうでなければ出会って一週間で付き合えるはずがない。
ナンパに対して否定的な意見を述べていた佐藤だが、そんなものでも恋は成立するとものだ。と感心していた。
月日が流れ11月25日。1ヶ月後にはクリスマス。
そんな日に、冴子が消えた。
突然すぎる状況に、佐藤の頭は追い付けずにいた。
遊びだったのか?嫌いになったのか?たしかに最近は喧嘩も多かった。でもそれだけでいきなり消えはしないだろう。
もしくは何者かにさらわれたのか?そうだ、そうに違いない。
嫌いになるはずがないじゃないか。あんなに優しく接していたし、こんなに愛しているんだ。
助けてあげなくては。冴子の好きなものや、よく行く場所は知っている。情報は持っている。
日本は小さい。見つけられない訳がない。
佐藤はその日から、冴子を探し始めた。