旅立ち
ルドルフは夜通し考えていたため寝るのが遅くなった。しかし、ルドルフはいつも通り朝日が昇る少し前に目が覚めた。
「歳を取るとは凄いのう。嫌でも規則正しい生活になるわい」
そんなことをぼやき今日は老いに抵抗しないで起きた。
城内は慌ただしく使用人と兵士が動き回っている。今日の儀式の準備で忙しいのだろう。
ルドルフはライドに昨日思い浮かんだ事を提案しようと思いライドの部屋へ向かった。
ドン!ドン!。ルドルフは少し粗めにライドの部屋をノックする。反応はない。ルドルフはドアに耳をあてた。中からはペンを走らせる音がする。ライドは仕事に集中していると周りの音が聞こえなくなる。聞こえても無視をする。どこかの誰かとそっくりだ。
(儀式の後にするか)
ルドルフは部屋に戻りコーヒーを飲むことにした。
7時45分
身だしなみを整えルドルフは謁見の間に向かう。
謁見の間にはライドとドレス姿の細身で金髪の長い髪が特徴的な美しい女性が座っていた。後は数名の兵士と楽団だけだった。部屋が広いぶんとても寂しく見える。
(あれはレーナ嬢か、ライドと2つしか違うようには見えんのう)
王妃のレーナはとても40歳には思えない見た目の女性で、若い頃は傾国の美女と言われた程だ。
ライドとレーナは玉座に座り、赤いカーペットを挟むように兵士が並んでいた。
ルドルフはライド側の列の先頭に並んだ。向かい側には整った顔に真っ赤な髪。爽やかでメガネが似合いそうなイケメンが居た。その隣には眉が太く。顔の堀が深いゴリゴリの大男が立っていた。
8時00分
楽団の演奏が始まると共に、謁見の間に入るための扉が開き、平均くらいの身長で、金髪で前髪だけが赤色になっている、整っと顔立ちの少年が入場してきた。
(あれはレイナルドかのう。大きくなったわい)
ルドルフが孫の成長を喜んでいるうちに、金髪の少年は玉座の近くまで来ていた。
金髪の少年は片膝をつき、頭を垂れて王の言葉を待った。
「レイナルドよ。面を上げよ」
やはり金髪の少年はレイナルドだった。レイナルドは頭を上げた。
「お主も今日で18だ。遂に旅立ちの日がきた。世界を巡り、見聞を広めよ。そして立派な勇者になって帰ってくるのだ」
そう言うとライドは立ち上がりレイナルドに近づく。
「これは王族の印であるブローチだ。これを私とレーナと思って連れって行ってくれ」
そう言ってライドはレイナルドにブローチを渡した。ブローチは真っ赤な宝石に、リンドベルクの国旗にもなっている鳥の絵が彫り込まれている。鳥は大きく羽を広げており、王族の証として鳥の頭に王冠が描かれている。
「ありがとうございます。立派になって帰ってきます」
レイナルドの言葉にライドは少し感激しているように思える。
「あとこれは少ないが餞別だ」
そう言ってお金の入った袋を渡した。
「新しい勇者の旅立ちだ。皆の者盛大に見送れ」
ライドの号令に楽団が演奏を始める。盛大な音楽の中レイナルドは謁見の間を後にした。
「これにて旅立ちの儀式を閉幕する。皆の者、持ち場に戻ってくれ」
ライドの号令に皆が散り散りなる。
儀式が終わるとライドがルドルフに話しかけてきた。
「父さん。儀式への参加、改めてありがとう。レイナルドは2階の談話室で待ってるから会いに行ってきて。久々に会えて喜ぶと思うよ」
そう言ってライドはルドルフの前から去った。
ルドルフはレイナルドの待つ談話室へ向かった。
談話室の前でルドルフは少しワクワクしていた。レイナルドと話をするのが楽しみで仕方がない。高ぶる気持ちのまま談話室に入った。
「ジィジ!」
明るい声を駆け寄ってくるその姿は若かりし頃のレイナルドそのものだった。
「レイ!」
ルドルフも両手を広げレイナルドを受け入れる。強く抱き、久しぶりの再会を喜び合う。
「久しぶり!ジィジ。会いたかったよ」
とても嬉しそうに言うレイナルドにルドルフは嬉しくてたまらなかった。
「大きくなったのう」
そう言ってルドルフはレイナルドの頭をなでる。
「当たり前だよ。8年も経ってるんだから」
「それもそうじゃな」
2人は椅子に腰を掛け話をすることにした。内容はあってないような話ばかりだが2人は終始笑顔で話している。久々に会えたことが嬉しくて仕方が無かった
コンッ!コンッ!ノックの音で話が中断された。
「失礼します」
入ってきたのは、儀式の時ルドルフの正面にいたイケメンだった。
「アーナルド。何の用」
話を邪魔されたレイナルドは不機嫌そうに用を尋ねる。どうやらこのイケメンはアーナルドと言うらしい。アーナルドはお辞儀をして話しだした。
「歓談の最中に無礼かと思いましたが、王からこれを渡すよう言われたので参りました」
そう言うとアーナルドは持っていた剣をレイナルドに渡した。
「ああ、分かった。そこに置いといて」
そう言ってレイナルドは床を指さした。
「これは王からの贈り物。床になど置けません」
毅然とした態度でアーナルドはレイナルドの指示を無視して、机の上に剣を置いた。
「お前。俺は王子だぞ。兵士長の分際で俺に楯突く気か」
声を荒げてレイナルドは文句を言うがアーナルドは毅然とした態度で返す。
「私は王に仕える身。王と王子の命令では王を優先するのは当然の事です」
その態度にレイナルドはとても不愉快そうだ。
「もういい!要はすんだろ。早く俺の前から消えろ!」
そう怒鳴りつけられたアーナルドは「失礼します」と言って部屋を出て行った。
「全く。あいつはいつもああだ。俺を舐めてやがる」
そう言って悪態をつくレイナルドの姿はルドルフの知らない姿だった。ルドルフは少し悲しくなった。
(やはり変わらないというのは難しいのじゃな)
「あ~あ。せっかくジィジと楽しく話してたのにあいつのせいで台無しだよ」
そう言ってレイナルドは舌打ちをかます。あまりの悪態にルドルフは注意することにした。
「レイよ。あの者と何があったかは知らぬが目上の者にあの態度は良くないぞ」
ルドルフの説教にレイナルドはあまり納得のいってないような態度だ。
「でも、あいつだけはどうしても嫌なんだ」
真剣に言うレイナルドの表情に何かを感じたルドルフは、何があったか尋ねた。
「あの者との間に何かあったのか」
レイナルドは何か凄く迷った表情をしたのち覚悟を決めたのか話そうとした。
「実はあいつ―
ガチャ!レイナルドが話そうとしたところで今度はノックも無しにライドが入ってきた。
「レイナルド。まだこんなところにいたのか。12時には国を立つんだぞ。準備や旅の仲間も見つけないといけないんだ。こんなところで油を売っている暇はないだろ」
突如入ってきたライドは叱りつけるようにレイナルドに言った。怒られたレイナルドは不機嫌そうに吐き捨てる。
「親父に言われなくても分かってるよ。今すぐ出てくからいいよ」
そう言って話の途中ではあったがレイナルドは餞別のお金と剣を持って部屋を出て行ってしまった。
「全く。どんどん生意気になる」
ライドはそうぼやいてルドルフを見た。
「父さんもレイナルドを引き止めないでよ。今日がどれだけ大切な日か分かってるでしょ」
八つ当たり気味にルドルフに怒りをぶつけた。
「すまんかった。久々で嬉しくなってのう」
ルドルフが謝るとライドは怒りが収まったのか表情を緩めた。
ちょうどいい機会なのでルドルフは昨日寝る前に考えていた事を話す。
「ところでライドよ。少し話があるのじゃが今いいか」
「なんだい父さん」
「昨日聞いた湿地化の話なのじゃが、ワシに調査させてくれんか」
「え、父さんが!?」
凄く驚いた様子のライドだが無理もない。8年前国を去る際にもう二度と国政に関わらないと約束したからだ。
「それは願ってもない話だけどレーナが許すか分からない」
「レーナ嬢にはワシから話す」
そう言うとルドルフは部屋をでてレーナの部屋へ向かった。ライドも心配だったのか後ろを付いてきた。
コンッ!コンッ!ルドルフがドアをノックするとレーナの使用人が顔を出した。
「ご要件はなんでしょうか」
事務的に聞いてくる使用人の女は少し警戒している。
「レーナ嬢に話が会ってきた。レーナ嬢を出してくれんか」
「確認してきます」
そう言って使用人はドアを閉めた。数秒の後また使用人がドアから顔を出した。
「どうぞお入りください」
ルドルフとライドは部屋に入った。
「お久しぶりです。お義父様」
レーナはそう言ってお辞儀をした。
「久しぶりじゃのう。レーナ嬢」
ルドルフもお辞儀をして返す。ルドルフの返しに少し不機嫌そうになるレーナ。
「レーナ嬢はお辞め下さい。もうお嬢様扱いされるような歳ではございません」
「そうじゃな失礼した。レーナ姫」
姫でも若い気はしたが、本来姫は高齢な人にも使われる為レーナは容認した。
「それで何の用です。まさか挨拶しに来ただけではないでしょ」
レーナは本題に入るよう促した。ルドルフもその気遣いを察して要件だけを伝えることにした。
「単刀直入に言う。ワシに湿地帯の調査をさせてくれんか」
突然の申し出にレーナは少し驚いた様子だったがすぐに不機嫌そうな顔をする。
「何故です。8年前城を出る際に二度と国政には口を出さないという約束でしたが。お忘れですか」
やはりあまり歓迎されなかった。それでもルドルフは真剣に話す。
「忘れてはおらん。じゃが今の国の状況を黙って見過ごすわけにはいかん。約束を違える事になるがそれでも力になりたいんじゃ」
真剣に話すルドルフの話をレーナは真剣に聞く。
「なるほど。今の状況は先程からお義父様の後ろに隠れている人から聞いたのですね」
遠まわしに名指しされたライドは頭を掻きながらルドルフの横に並ぶ。
「本当によろしいのでしょうか?」
レーナの問いかけにルドルフは分からないフリをした。
「なにがじゃ」
レーナはワザと知らないふりをしたルドルフの気持ちを察して聞くのを止めた。
「いいえ。なんでもありません」
「ではお義父様。湿地帯の調査よろしくお願いいたします」
ルドルフは大きく頷きレーナの部屋を後にした。
ライドはレーナに聞いてきた。
「本当に良かったのかい。父さんの力を借りて」
「そんなことを言っている場合では無いことは私も分かっております」
ライドは少し不満そうな顔して部屋を後にした。
2人が去った後レーナは椅子に座り鏡を見つめる。その顔には少し笑顔が見られた。ここ数年は笑顔が減り、ランパルドの失踪後めっきり笑顔を見せてなかったレーナの笑顔に使用人は嬉しそうだ。
使用人はレーナの後ろに立ち、髪をとかしながらレーナに話しかけた。
「レーナ様。嬉しそうですがどうされたのですか」
レーナは小さく笑い答える。
「ふふ、久々にヒーローに会ったからかしら」
「ヒーロー?どういう事ですか」
使用人が問いかけるとレーナは嬉しそうに答える
「ルドルフおじさんの事です」
レーナは心許せる者の前ではルドルフの事をお義父様ではなくルドルフおじさんと呼ぶ。
「ルドルフ様の事ですか。勇者ルドルフを生で見られるのは嬉しいですよね」
使用人の言葉にレーナはくすくす笑う。
「あれ、私おかしなこと言いました」
「ふふ、おかしくは無いけど。私の思っている意味とは違うと思って」
「え、それはどういう事ですか」
使用人は髪をとかす手を止めてレーナに尋ねる。レーナは少し迷った表情を見せ「他の人には内緒よ」と言うと静かに話し始めた。
「それは今から20年前以上前。私の父。ヴァルトナが亡くなった時のことです」
「賢王と呼ばれた父が無くなったことでこの国は一気に傾いたの。父に頼りきりだった大臣達は何もできず、私には皆をまとめあげる知恵もカリスマ性も無かったの。どうにかしないといけないと思っていても何も思い浮かばない。心が折れそうになったそんな時。ルドルフおじさまが現れて全てを解決してくださったの」
「慌てふためくだけだった大臣に指示を出し、心が折れかけた私に「レーナ!お前がしっかりしなくてどうする!!」と激を飛ばしてくださいました。傾きかけた国もルドルフおじさんのおかげで持ち直し、父の居た時と同じ位。いいえ。それ以上に発展させてくれました。その時からルドルフおじさんは私のヒーローなんです」
懐かしそうに過去を話すレーナはとても嬉しそうだった。
「そうだったのですか。そんな事があったのですね」
使用人はレーナの昔話に胸を打たれたようだ。
「ルドルフ様かっこいいですね。私だったら惚れてしまいそうです」
使用人の言葉をレーナは笑顔で聞いている。
キュンとして緩んだ表情を見せていた使用人は急に不思議そうな顔をする。
「そういえばなんでルドルフ様に二度と国政に参加しないように言ったのですか。ルドルフ様が聡明でレーナ様にとってヒーローならば国政に参加していただいた方が良かったでは無いですか」
使用人の問いにレーナは黙り込む。そんなレーナを気にせず使用人はこう続けた。
「それにさっきのルドルフ様とレーナ様の会話を聞いていて思ったのですが、国政に二度と口を出さないと言いだしたのはルドルフ様の方だったように感じましたが」
この使用人は妙なところで鋭い。レーナは余計な詮索をされても困るので全て話すことにした。
「全く。あなたは妙なところで鋭いんだから」
「え、じゃあやっぱり何か秘密があるんですか」
使用人は興味津々に聞いてくる。
「ええ、あるわ。でもこの話は他言無用よ。約束できる」
レーナの真剣な表情に使用人も真剣に答える。
「約束します」
「そう。分かったわ」
そう言うとレーナは話しだした。
「さっき話した通りルドルフおじさんは聡明なお方よ。でもね、ルドルフおじさんは世間的には武勇で知られており、知恵の方は並だと思われているの。です、私を初めリンドベルクの大臣達は皆ルドルフおじさんが聡明で知者だと知っているわ」
「そんなルドルフおじさんの息子であるライドさんは知勇で知られてたの。なので大臣たちは私とライドさんの結婚を望んだわ。勇者ルドルフ以上の頭脳を持つ者が来れば国は安泰だ。と言ってね」
「私もそう思いましたし、それが良いと思って大臣達の言うとおりライドさんと結婚しようと思ったの。幸いライドさんも私に興味を持ってくださいましたから話はトントン拍子に進んだわ」
「でも、ちょっと誤算があったの」
そう言うレーナの表情は悲しそうだ。
「何が起きたのですか」
使用人は神妙な面持ちでレーナに尋ねた。レーナは辛そうに答える。
「ライドさんの知恵は、ルドルフおじさんと比べて劣っていたの」
「え」
使用人は驚いたように声を上げたが内心そう思っていた。今の国の状況と過去のルドルフの活躍を聞いたら誰でもそう思う。
「頭は良いのですが何というか発想が平凡というか、ルドルフおじさまとは埋めることのできない差があったの。それは天才と凡才の差。知識ではどうしようもない差」
「そのせいでね、国政に関しての意見を大臣たちは王であるライドさんではなく、ルドルフおじさんに求めるようになったの。ルドルフおじさんも国の為と言われては答えないわけにはいかなかったみたい。しかも、その全てが国を発展させた。それもあってライドさんは仕方がないと納得していたみたい。でも内心ではルドルフおじさんに対するコンプレックスが膨れ上がっていたと思う。その証拠にライド様は口数が減り部屋から出ない日が増えたの」
「ルドルフおじさまはライドさんの異変を察したんでしょうね。8年前。ライドさんが他国に訪問していて居ない夜。急にルドルフおじさんはお義母様と一緒に城を離れると言いだしたの。自分が居なくなればライドはコンプレックスを抱かなくて済むと」
「でも、私は城に残ってほしかった。ライドさんには辛いことかも知れないけど、一緒に国を支えて欲しかったし、ライドさんではとても国政を担うことは出来ないと思ったから。けど、ルドルフおじさんは聞き入れてくださらなかった」
「そしてこうも言ったの。自分が出て行ってもライドは自分に頼ろうとする。だから今後何があっても国政には口を出さないと」
「でもそんなことルドルフおじさんに言われたと知ったら、自分のせいで出て行ったと思わせちゃうでしょ。コンプレックスで傷ついた心にそれ以上の傷はいらないわ。だから私がルドルフおじさまにそう言った事にしてもらったの。そうすれば少しは傷つかないで済むと思ったから」
「そうだったのですか」
使用人は納得した。
「それにライドさんは私もルドルフおじさん派だと思っていただろうから、そうじゃないと伝えたかったの」
そう言って悲しげに笑う。
「訪問先から帰って来たライドさんはルドルフおじさんが国から去った事に驚いていたわ。それと国政に二度と口を出さないよう私が言った事にも驚いていわ。でも驚き以上に凄く嬉しそうだった。言葉には出さなかったけどね」
「でも、ルドルフおじさんが城を去ってから国は傾いた。どうしようも無い程」
レーナは下を向き暗い表情を見せる。そんな姿をみて使用人は励ますつもりでライドの活躍を話した。
「でも、場所代の値下げや商会の廃止など途中までは良くやっていたでは無いですか。突然起きた湿地化さえなければ上手くやれてました」
使用人の言葉を聞くほどレーナは暗くなる。
「ああ、それは…」
とても辛そうな表情をしてレーナは言った
「あれは…御義父様の案なの」
「え!?」
驚いて声を上げた。そしてすかさず質問した。
「でも、ルドルフ様は国政には口を出さないと言ったのではないのですか」
使用人の質問に眉間にシワを寄せ、とても辛そう。というより苦しそうな表情でレーナは話した。
「その通りよ。これはお義父様が城に居る時にお義母様と話しているのをたまたま聞いてしまったの。それをライドさんに私からの案としてお伝えしたの」
「ですが、それは間違いでした」
「ライドさんはルドルフおじさんの次は私を頼るようになってしまった。私は取り返しのつかない事をしてしまったの」
レーナはその事をとても後悔しているようだった。
「そうだったのですか…」
使用人は何も言えず。ただ相づちを打つことしかできなかった。自分が聞いたことで嫌なことを思い出させてしまったと責任すら感じていた。そのことを察したレーナは少し引きつった笑顔で話した。
「でも、どうしようも無いと思った時にまたルドルフおじさんは現れた。やはりルドルフおじさんはヒーローです」
無理にでも笑うレーナに使用人は笑顔で答えた。
「そうですね。ルドルフ様なら何とかしてくれます」
2人は控えめに笑うと。使用人は長く止まっていた手をまた動かし始めた。
一方ルドルフとライド
先に部屋を出たルドルフに追いついたライド。2人は歩きながら湿地帯の話をした。
「ライド。湿地帯の調査に兵士を10人程貸してほしい」
「分かった。要望はある?どんな人が良いとか」
「1人、いや2人。地理に詳しいものが居ると助かる」
「すぐに手配するよ。今日招集をかけるから明日には出発出来ると思う。出発は何時にする」
「そうじゃな。集まった人数で決めようと思う」
「じゃあそう伝えるよ。他には何か要る」
「地図を見ておきたい」
「分かった。じゃあ父さんは奥にある会議室で待ってて、直ぐに持って行かせるから」
「うむ」
話が終わるとルドルフは会議室に向かい、ライドは兵舎に向かった。一度も足を止めないで上手く別れる姿に見ていた兵士たちは驚いていた。
ライドは兵舎に向かう途中少し嬉しそうだった。
(さっきの父さん昔みたいに話してて懐かしかったなぁ)
対等になれたような感じを嬉しく思い、にやけながらライドは兵舎に向かった。




