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さよなら、ぼくのかめきち。  作者: おだなか しん
2/10

☆☆

 かめきちが家族の中でちゃんと居場所を得るまで、そんなには掛からなかった。最初は反対していたお母さんも、あっという間にかめきちを好きになった。

 エサは死んだ金魚にあげていた粒のエサを砕いて少しずつ上げた。最初からよく食べて、小さな口でパクパクやる姿がとてもかわいらしくて、エサやりは楽しかった。お腹を壊すから一日一回にしなさい、と、本を片手にお父さんが言うものだから、朝のエサやりは貴重な楽しみになった。

 その夏の自由研究「かめの観察日誌」は、とてもよく観察しているね、と先生に誉められた。


 夏から秋にかけて、元気に動き回っていたちびのかめきちは、気温が下がるにしたがって少しずつ動かなくなった。もちろんカメは爬虫類の変温動物で、冬眠もする。そろそろ冬眠のことも考えないとね、とお父さんが言う。

「冬の間は見られないんだね」

 がっかりしてそういうと、

「そうでもないよ」

 と、お父さんが「賢いカメの――」のあるページを開いてみせる。

「小さいカメは冬眠すると春になっても起きてこないことも多いらしい。体力が持たないで死んでしまうんだって。だから冬眠させないでおく方法もあるってさ。カメは冬に起こしていても大丈夫らしい」

「へえー。そうなの」

 早速ホームセンターへお父さんと出掛けて、ペットコーナーで四角いアクリルの水槽、紫外線ライトと保温用のレフランプ、そして水中ヒーターを買った。カメの浮島とかいうやつも買った後、ぼくは乾燥小エビも買ってとせがんだ。

「まだ小さいから、こんなもの食べられないよ」

 お父さんはそういったが、ぼくは食べさせてみたかったから必死だった。

「くだいてあげればいいよ、だってかめきち、ツブのえさばかりじゃかわいそう」

「カメは同じえさでもちゃんと食べるよ」

 お父さんはそう言いながらも小エビのパックをかごに入れてくれた。

 こうしてかめきちは冬眠しないカメになった。



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