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ゴミ袋  作者: 岩佐悠
3/3

失恋

失恋ってこんなんだっけ・・・

6年ぶりに訪れた自分への試練・・・


昨日から眠れていないのに、

なんで眠くないんだろう・・・


何も食べて無いのに、おなかもすかない・・・


ただ頭が真っ白で、

最後という言葉だけが、ぐるぐると廻っている。


3ヶ月前、6年間付き合っていて初めて

隼人の実家に遊びに行った。


悠にとっては初めての仙台。


たくさん写真をとって、

隼人の親だけではなく、

祖父、親戚の人にも挨拶をした。


あの時たしかに隼人は

「来年あたりに結婚する」と祖父に宣言していた。


親戚の子供達を見ながら、悠も

いつか隼人との間に生まれた子供もこの中に混ざって遊ぶのかななんて

幸せな想像をしていた。


あの日からたった3ヶ月しかたっていないのに・・・


何故今、こんな状況になったんだろう。

人生に歯車があるとすればどこでこんな風に曲がっていったのだろう。


どうしてこんなにも大切にしてきた隼人が、

私の目の前から消えようとしているのだろう。


6年間。それは悠にとって掛けがえの無い時間であり、

永遠なんて信じていなかったが、心のどこかでもう別れたりすることは無いなという

変な自信を芽生えさせるだけの十分な時間だった。

無意識に永遠というものを心のどこかで芽生えさせていたのだと

気付かされる悠。


どうして・・・


ただそれだけ。


2人とも仕事はしていたが、

隼人の仕事が忙しいこともあり、毎週末、隼人の家に泊まりにくるのが習慣だった。

付き合っている間に就職活動をした悠は隼人と離れなくていいように、

この土地で働けるようにした。


隼人がいなくなれば、悠はもはやこの土地で働いている意味さえないのだ・・・


ふと、悠は自分の人生において隼人がどれだけ中心で世界をまわしていたのか気付いた。


それでもその事に対して悲しい思いをしたりはしない。


それはすべて悠自身が決めたことであり、

昔から男中心になる自分を認識していたせいもある。


ただ、彼から離れるには一緒にいた時間が余りにも長すぎて、

そして乗り越えたものが余りにも多すぎたのだ。


部屋を見渡す。


二人の6年間の思い出の写真を見返す。


そして自然とこぼれる涙に、腫れあがったまぶた。


その腫れあがったまぶたがずっしりと悠の目にのしかかってくるその重みに

さらに悲しくなる悠。


この状況に絶えられない・・・


携帯を手に取り片っ端から友人に電話をする。


「また浮気・・・2回目。その女の事、把握してたのに、告白してくるなんて思いもしなかった。」


悠はそう何度も友達に話した。


電話を切れば沈黙が流れる。


思いつく限りの友人に電話をする・・・


話をすれば楽になるかと思ったが、

どんどん悲しさが増す一方。

急に一人ぼっち。

私はどうしていったらいいのだろう・・・


6年間はこんなにあっさり終わってしまうの??


そんな時、玄関の鍵ががちゃっと開いた。


いつの間にか朝日は夕日に変わっていた。



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