始まりの始まり
「ごめん、もう悠とは付き合っていけない。
俺、悠と出会う前にいたセフレに妊娠5カ月と告げられた。」
電話の向こうでただ無機質に聞こえる大好きな彼の声。
なんでこんなこと今、私言われているんだ??
あまりにもの衝撃になんの実感もない悠。
ねえ、どうして二人とも思いあってるのに、一緒にいれないの・・・
ねえ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「久しぶりに女4人で旅行にいこうよ」
「いいねーーー。やっぱり温泉♪」
いつものノリで、旅行を決めて出発したのは今から6年前。
空を見上げれば何も変わらないし、町をみてもぽつぽつと
お店が入れ替わっているくらいで何も変わらない。
でも・・・いや、何も変わらない。。。
「10代最後の恋をしてやる」とその温泉旅行で仲良し4人組のガールズトーク中に宣言した悠。
宣言通り、アルバイト先で知り合った2つ年上の隼人と付き合って6年目の冬。
6年間はあっという間で、びっくりするほど、呆気なく過ぎたが、
悠の中で隼人の存在の大きさだけは日に日に増えていったそんな6年。
不満はたくさんあるけれど、
それでも悠は隼人が大切な存在。
そして26歳になった悠は隼人との近い未来を結婚という形で思い描いていた。
そんな6年目の冬の日。
隼人の誕生日一週間前の出来事。
2人でテレビを見ていたら隼人が一言。
「もう別れよう」
悠には突然すぎる言葉。
「えっ。なんで」
黙る隼人・・・
この6年間で最も冷たい時間が二人の中に流れていく・・・
沈黙のあとに隼人がいった言葉・・・
「強いて言うならマンネリかな?」
「えっ?でもつい4日前、電話で来週の『隼人の誕生日サプライズ企画考えた』って
言ったら楽しみにしてくれてたじゃん。なんでそんな急に?」
もう悠の頭の中は真っ白。
別れるなんて考えたこともなかった。
まったくリアルの無い世界がこんなにも身近にそして
なんの遠慮もなく自分に襲いかかるのかと冷静に考えられるくらい
悠の頭の中はポッカリしていた。
「ごめん・・・でももう別れたい」
悠は泣いた。
いままでたくさん一緒に寝てきたベッドに横になった彼を見つめながら
泣いた。
隼人は申し訳なさそうに、
悠に背を向けて、眠りにつこうとしている。
どれぐらい泣いたのだろう。
悠は煙草でいっぱいになった灰皿をみながら、
本当だったらさわやかな一日の始まりを教える携帯のアラームが
遠くでなっているのをただ聞いていた。
「もう朝・・・隼人、仕事の時間だよ。」
どうして隼人はこんなつらい別れ話の後でも普通に眠れるのだろう。
男は違う生き物なのだろうか。
なんてどこかで読んだ恋愛マニュアル本を思い出しながら隼人を起こす。