ノエルと買い物①
今話も読みにきてくださってありがとうございます。
相変わらず誤字脱字が多くてすいません、報告お待ちしております。
一迅社様より「地味な私が転生したら王太子妃の取り柄のない妹だったので、自立の為に頑張ります」の書籍化が決まりました。発行をお楽しみに。
四、ノエルと買い物
私はレオニス様の家のソファで途方にくれていた。
もう家事が終わってしまった……。
さすが魔法師団長の家というべきか。
洗濯は洗濯機なる魔道具で、洗濯物と洗剤を入れボタンを押すだけでできてしまった。
家には掃除の魔法でもかかっているのか、塵一つ落ちてない。
買い物は昨日した分で十分だし、夕飯の仕込みも終わった。
どうしよう……まだお昼前だというのに家政婦らしい仕事はもう終わってしまったのだ。
その時窓をトントンと叩く白い鳥がいた。
「あれ? 鳥?」
私が立ち上がって窓を開けると、その鳥はレオニス様の声を発した。
「ティナ。レオニスだ。すまん、お前の服や身の回りのものを買うのを忘れていた。俺が帰って一緒に行きたいところだが、あいにく今日は仕事で遅くなりそうだ。代わりにうちの女性団員のノエルに行ってもらうことにした。金もノエルに預けてあるから遠慮なく好きなものを買ってくるといい」
白い鳥のようなものはレオニス様の声でそう言い終わると一枚の白紙の紙になった。
「わあ、すごい。これも魔法?」
レオニス様といると新しい驚きでいっぱいだ。
「ええと……ノエルさんという方がくるということね」
私の身の回りの物のためにわざわざきていただくなんて申し訳ないな。
お給料をもらったら少しずつ揃えていこうと思っていたのだ。
その時、家のドアをノックする音が聞こえた。
「はーい」
私はガチャリと玄関ドアを開けた。
そこには私より少し背が高い、ふんわりした赤毛にそばかすの笑顔の少女が立っていた。
「こんにちはっ!怪しいものではありません。王立魔法師団に所属しているノエル、17歳ですっ」
眩しいほどの元気なパワーを感じる。
「ティナちゃんですね。団長の依頼でティナちゃんのお買い物のお手伝いに来ました。お金も預かっているので遠慮しないで買いまくりましょう」
何故か玄関先でガッツポーズだ。
「と、とりあえず中へ……」
私がドアを大きく開けて迎え入れると、ノエルさんは家に入ってきた。
「わ〜、ここが団長の家ですか。なかなか立派ですね」
「お茶入れますね」
私がお茶を入れにキッチンに向かうと、キョロキョロしていたノエルさんが「おかまいなく」と呟いた。
お茶をだして、改めてキッチンで向かい合って挨拶を済ませると、ノエルさんは言った。
「それにしてもティナちゃん、家にやってきた人を確認せずに玄関を開けたらダメですよ。悪いやつだったらどうするんですか」
「あの……レオニス様から鳥の形をしたメッセージをいただいていて、ノエルさんがくると聞いていたんです」
私が恐る恐る言うと、ノエルさんはなるほどと呟いた。
「へー。団長にしては気が効いてますね。どうせカインさんが助言したんでしょうが。ところで、ティナちゃんは、身の回りの品は何があるんですか?」
どうしよう。遠慮して答えるべきかな。
「あ、遠慮はいらないです。ありのまま答えてください」
この人は心が読めるのか。
「あの……今着てる服と下着です」
「え?」
ノエルさんの顔が驚愕に染まった。
「助けられた時に着ていたこの服と下着で全部です」
ノエルさんはしばらく固まった後ボソッと呟いた。
「ほんとに使えない奴らだな……」
「え?」
私が聞き返すと今度は笑顔で私に言った。
「何でもないですよ。それはさぞかし不便でしょう。さあ、買い物に出かけましょう。あ、私のことはノエルと呼び捨てにしてください。私もティナって呼ばせてもらいます。敬語も不要です」
「え……でも」
今日初めて会った、王立魔法師団の方にそんな……。
「私がその方がいいの。わかった?ティナ」
「はい。それじゃあ、よろしく。ノエル」
「用意はいい?それでは街に出よう!」
ノエルは私の手を掴むと外に飛び出した。
読んでいただきましてありがとうございました。
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