レオニス視点 出会い③
今話も読みにきてくださってありがとうございます。
相変わらず誤字脱字が多くてすいません、報告お待ちしております。
一迅社様より「地味な私が転生したら王太子妃の取り柄のない妹だったので、自立の為に頑張ります」の書籍化が決まりました。発行をお楽しみに。
ティナに見送られ、いつもより浮き足だつ気持ちで魔法師団についた。
「団長……。どうしたんですか?」
「何がだ?」
途中団員たちから声がかかる。
皆俺を珍しいものでも見るような目で見つめてくるのが気になるが、今日の俺は機嫌がいいので許してやろう。
執務室に入ると、カインがギョッとした様子で俺に言った。
「団長!すごい笑顔で逆に怖いっす」
え?俺はいつの間にか微笑んでいたらしい。
「いつも仏頂面の団長が笑顔とか怖いですよ。それで、ティナちゃんとは上手くやれそうですか?」
俺は机で書類に目を通しながら答えた。
「ああ、今のところ何も問題ない」
昼が近づき、俺はティナに作ってもらったサンドイッチを出した。
「団長!もしかしてそれはティナちゃんの手作りですか?」
一緒に書類仕事をやっていたカインがサンドイッチを指さして言った。
「ああ、ティナが気を利かせて作ってくれていた」
カインは物欲しそうにサンドイッチを見つめた。
「いいなあ、俺も可愛い子にサンドイッチ作って欲しい」
そんなに羨ましいなら家政婦を雇えばいいと言うと
「ティナちゃんくらい可愛い家政婦なら雇ってもいいですけどね。実際家を勝手にいじられるのは抵抗あるっすね」
俺もそうだったが、不思議と家をティナに任せるのは嫌じゃない。
「ところでもうティナちゃんに必要なものは買ったんですか?ティナちゃん着の身着のままだったから女の子服とか色々必要ですもんね」
「服……?」
そうだ!ティナは荷物も全部無くしていたじゃないか。
「この様子じゃ気が回らなかったんですね。ティナちゃんも自分からは言い出しにくいし」
「俺とした事が……全く気が付かなかった。きっと困っているだろう。よし、今すぐ帰ってティナと買い物に行こう!」
立ち上がった俺をカインが止める。
「待ってください!今日はダメですよ!この書類の山明日までに絶対提出しろって言われてるんですから」
そうだ…昨日も無理やり休みをもぎ取ったんだった。書類を絶対に今日中に仕上げると言って。
「さすがに帰れないか…」
悩む俺にカインが言った。
「そうだ!ノエルに行ってもらうのはどうですか?ノエルは団員の中で一番歳が若いし、おしゃれだし」
「…ノエルか。そうだな、ノエルに頼んでみよう」
ノエルは団員の中で一番若い女性で17歳だ。
性格も明るいし、人見知りしないのでティナも話しやすいかもしれない。
視界の端でカインが明らかにホッとしていた。
さっそくノエルを呼んで事情を話すと快く引き受けてくれた。
「え?団長のお金であの美少女を着飾れるんですか?もちろん引き受けます」
目が輝きすぎて少し心配だ。
「ほどほどにな。ただし必要だと思ったものは遠慮なく買ってくれ」
「午後の訓練に参加しなくていいうえに、美少女と買い物。なんていい日だ……。行ってまいります」
「……ああ、頼む」
こいつに頼んで大丈夫だっただろうか。
「団長。ティナちゃんがびっくりするからノエルが行くことを伝言で伝えた方がいいんじゃないですか?」
カインが言う伝言とは魔術の伝書鳩のようなものだ。
紙に魔術で伝言を込めて鳥のように飛ばす。
「そうだな、ティナにノエルが行くことを伝えておこう」
俺は手近な用紙に魔術を込め窓から飛ばした。
用紙は白い鳥のような形になりパタパタと家の方角に飛んでいった。
読んでいただきましてありがとうございました。
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投稿ペースは以前より少しゆっくりになるかもしれませんが、よろしくお願いします。
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