レオニス視点 出会い②
今話も読みにきてくださってありがとうございます。
相変わらず誤字脱字が多くてすいません、報告お待ちしております。
一迅社様より「地味な私が転生したら王太子妃の取り柄のない妹だったので、自立の為に頑張ります」の書籍化が決まりました。発行をお楽しみに。
王立病院に着くと馬を降りて、少女を抱え中に入ろうとした……が病院の入り口にいた兵に止められた。
「待て、許可がないものはここには立ち入り禁止だ」
事態は一刻を争うと言うのに。
「見てわからないのか?重症の患者だ」
俺が兵を一瞥すると、兵は俺に気付いたようだ。
「レオニス様でしたか。しかしその少女は貴族ですか?許可はございますか」
本当に頭の硬い奴らだ。
「許可はとってある。お前が俺を止めている間にこの子が死んでしまったらお前が責任を取るんだろうな」
低い声でそういうと、兵は傍へ下がった。
「許可があるなら問題ありません。引き止めて申し訳ありませんでした」
許可なんてものは後でどうにでもなる。
病院の中に入るとすぐに看護師が駆けつけてきた。
「レオニス様、その方は? ひどい怪我です! すぐにこちらへ。先生を呼びます」
少女はすぐに手術室に運ばれて処置されたおかげで、一命を取り留めた。
「出血が多くて心配しましたが、処置が間に合ってよかったです。お若いのですぐに良くなりますよ」
医者からそう聞き、安心して病室の少女のところへ行った。
綺麗に汚れを拭かれた少女は驚くほど美しかった。
透き通った白い肌、輝くハニーブロンドの髪、形のいい鼻に唇。
ただ、頬は血の気がなく、唇はひび割れており、時々苦しそうに眉根を寄せている。
「無理もない。あんな恐ろしい目に遭って、両親は命を落としたんだ……」
少女が、今にも儚く散ってしまう花のようなひどく脆い存在なのだと思った。
その時、病室をノックする音が聞こえた。
「どうぞ」
俺が返事をすると、医者と看護師が入ってきた。
「レオニス様、失礼します。この少女をのことなのですがどのような身分の方なのですか?申し訳ないのですが、ここは王立病院です。貴族、もしくはあなたのような王立の魔術師団または騎士団に在籍している方でないと入院できないのです」
医者が申し訳なさそうにそう言った。
「確か、その縁者も入院できるはずだ。この子は俺が後見人になる。それで問題ないだろう」
「ええ、確かにそれなら問題ありません。では後ほど手続きに伺います」
「わかった」
名前も知らない少女の後見人になることに不思議となんの違和感もなかった。
またあのグリーンの瞳が見たい。
今は辛くても、笑ってくれる日がきっと来る。
「だから今はゆっくり休め……」
これはどういった感情だろう。
きっと妹への罪滅ぼしなのかもしれない。
入院中にティナをうちの家政婦になってくれるよう頼んだ。
俺としては後見人としてティナをただ引き取ってもよかったのだが、ティナは首を縦に振らない気がした。
ティナの退院後、家を一通り案内すると魔道具が揃っているキッチンに驚き、喜んでいたようだ。
俺は冷蔵庫やコンロなどの魔道具を作るのは趣味みたいなもので、実際に料理をするわけではない。
だから実際使ってくれると嬉しい。
キッチンにもかなり興味を示したティナだったが、一番気になっているのは風呂だろう。
俺は風呂にはこだわりがあり、かなり手を入れた。
おかげでいつでも適温の湯が出る画期的な風呂が出来上がった。
ティナが実際入ってどう言う反応を示すのか楽しみだ。
とはいえ、今日はもう遅い。
明日は魔法師団に出勤しなければならないので帰ってきたら風呂を進めてみよう。
翌朝、普段は寝起きが悪い俺だがティナがいると思うと何故か早く目が覚めた。
着替えて一階に降りると、キッチンからいい匂いが漂ってくる。
「レオニス様、おはようございます」
キッチンに入るとコンロの前に立っているティナが振り向いて挨拶してくれた。
「おはよう、ティナ」
我が家のキッチンにティナがいて、朝の挨拶を交わし合う。
俺が作ったキッチンの魔道具をすごいと言ってくれる。
そんな事が心を穏やかな温かい気持ちにしてくれる。
別々に食事を摂ろうとしていたティナを何とか説得して一緒のテーブルで食事をする。
ああ、俺は今まで寂しかったのかもしれない。
魔導師団に向かうため、家を出ようとした俺にティナはサンドイッチまで作ってくれていた。
朝から負担になっていないか心配だが、はっきり言って嬉しい。
執務が溜まっているだろう今日、昼食を取る暇はないだろうと諦めていたからだ。
「レオニス様、行ってらっしゃいませ」
「誰かに見送られるのはいいものだな。行ってくる」
読んでいただきましてありがとうございました。
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