レオニス視点〜王子と王女と俺②
今話も読みにきてくださってありがとうございます。
朝晩は涼しくなって来ましたね。
相変わらず誤字脱字が多くてすいません、報告お待ちしております。
一迅社様より「地味な私が転生したら王太子妃の取り柄のない妹だったので、自立の為に頑張ります」の書籍化が決まりました。発行をお楽しみに。
その翌日、俺は魔法師団の団長室でカインといた。
レティシア王女が明日にでも到着すると聞いて、詳しくは話せないもののカインにだけは許可の範囲内で王女の護衛の件を話したのだ。
期間中ティナの訓練はもちろんのこと、新しい団員のことや魔法団のことも任せる事になるカインには感謝しかない。
「それにしても何故王宮に泊まり込みなんだ。ティナに会えないじゃないか。」
俺がぶつぶつ文句を言うと、カインが俺をなだめた。
「しょうがないさ。俺たちは陛下が作った魔法師団だからな。こういう時もあるさ。ティナちゃんのことは俺がちゃんと教えるから安心しろ」
「なんか嬉しそうだな。お前」
俺が王女のお守りをしている間にティナと仲良くするとか腹が立つが、確かにカインの言う通りだ。
昨日は帰ってソファに座ったら落ち込んでしまったが、優しいティナの心遣いで何とか立ち直った。
ティナにかっこ悪い姿を見せてはいられない。
その更に翌日には予定通り第二王女一行が我がアストリエ王国に到着した。
ライル殿下と王女の馬車の前で出迎える。
「レティシア王女。ようこそ、アストリエ王国に」
馬車が開いてカイル殿下がレティシア王女を出迎える。
レティシア王女はプラチナブロンドの髪に紫の瞳の大人びた美少女だ。
「長旅お疲れ様でしょう。さあ、どうぞ」
王女に引き続き侍女や侍従たち。ルーン王国の近衛兵数人もゾロゾロと王宮に向かう。
陛下は夕食時に挨拶する事となり、俺も同席する事になった。
「レティシア王女、紹介しておこう。こっちが滞在中貴方の護衛を務める魔法師団長のレオニスだ」
「アストリエ王国、魔法師団長のレオニスです」
陛下の紹介を受け、自己紹介すると、レティシア王女は自身の前で両手を合わせて言った。
「まあ、貴方があのレオニス魔法師団長様だったのですね。お噂はかねがね」
どんな噂だ。
「お若いのに優秀なのですね。滞在中よろしくお願いいたしますわね」
「はい、お任せください」
そして早く国に帰ってくれるといいが。
しかしレティシア王女は一筋縄ではいかなかった。
「レオニス様。本日の姫様のご予定は、昼はマドルカ伯爵のお茶会。夜はルドガー伯爵主催の夜会に出席します。お茶会は護衛だけで大丈夫ですが、夜会はエスコートをお願いいたします」
毎朝レティシア王女の侍女が今日の予定を告げる。
ただでさえ苦手な夜会やお茶会が目白押しだ。
さらに王女のエスコートともなると、堅苦しい礼服でずっといなきゃならない。
「レオニス様。エスコートなんですから私の側を離れないでくださいね」
ああ。俺の腕に掴まっている人物がティナならなあ。
きっとティナには春の新芽のようなグリーンのドレスが似合うだろう。いや、優しいピンクや淡いブルーのドレスも可愛い。
きっと頬を染めて恥ずかしそうに俺の腕に掴まっているのだ。
「レオニス様? 大丈夫ですか?」
ダメだ。任務中だ。まあ、害意を持つ奴らはすぐわかるようにはしてあるが。
「大丈夫です。レティシア王女、そのお飲み物はおやめください。こちらをどうぞ」
さりげなくレティシア王女の受け取ったグラスを自分のそれと入れ替える。
「あら、ありがとう。レオニス様」
レティシア王女は、グラスを交換したわけも聞かず、俺から受け取った飲み物をぐっと飲み干す。
俺は傍に来たカインに王女と交換したグラスを渡し、そっと囁く。
「毒だ。陛下に報告を」
王女に毒入りの飲み物が手渡されていた。俺が気が付かないとでも思われているのか。
王女にグラスを渡したウェイターは陛下の隠密が追っているだろう。
「ああ、ティナに会いたい」
読んでいただきましてありがとうございました。
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