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脱冥府しても、また冥府  作者: 一桃
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残る記憶

こんばんは。

試験勉強から解放され、小説を書きたいなら書こう三昧。

一つ気になることは、ゲームで欲しいキャラを手に入れることですか……。

課金怖いわぁ。

        ※


「ラーディオヌ一族の、ーーアセス様は、私達を援護してくれた!」

「姫様、そんな夢うつつの妄想、恋愛感情を抜きにして誰が信じます?」

 調理場は戦場だった。


 もう時期、サナレスが従える、ならず組副隊長ギロダイとの勝負が迫っているというのに、なぜか違った方向で、別に小さな戦場が出来上がっている。


「アセス様は絶対にラーディアに害を成すようなことはなさいません!」

「私もそう思う!」

 ナンスの言葉をリンフィーナは強く後押しした。


「私だって信じたいですわよ。このような物資を過分に配給いただきましたもの。どれほどの温情でしょう。ーーですが姫様、どうやったらアセス様が、ラーディオヌ一族が我が氏族の敵ではないと証明できましょうか? つい最近です」

 アセス様が率いるラーディオヌ一族に襲撃され、水月の宮では多くの兵の命が失われたとタキは続けた。


 リンフィーナは黙った。

 心の中がずきんと痛んで、それでも「アセス様がしたことではない」と繰り返すのがやっとだった。


 アセスがしてくれたことを覚えていた。

 推測でしかないのだけれど、確かにラーディオヌ一族はラーディア一族との同盟を反故にするような行動に出た。けれどアセスは持てる限りの力で自分を擁護してくれた。


 この戦で失った命の数は、ラーディアもラーディオヌも相当数に上っている。


「ーー私が、原因!」

 振り絞るような声でリンフィーナは言う。


 ラーディアやラーディオヌ一族の確執は関係なく、民の命を奪ったのは、おそらく自分なのだと想像がついた。正確に言うなら、自分の中に覚醒した魔女ソフィアだと責任転嫁したかったが、肉体は一つ。自分がしでかしたことなのだ。


「姫様が原因なわけないでしょう? 災いの中心で民を先導された姫様は、ラーディアの兵を立派に守られようとしました! そうですのに……、どうあってもラーディオヌ……いえ、総帥アセス様を庇われたいのですね」

 何を勘違いしてか、タキは気の毒そうな視線をむけ、目を細めている。


「姫様が事を荒立てたくはないのは承知いたしました。けれどサナレス様がどうおっしゃるか……。食糧難と人員不足はなんとか回避できたとしましても、今後、ラーディア一族の民には指針が必要ですわよね」

 ラーディオヌ一族の不敬に対して沙汰するのも次期総帥であるサナレスであると、タキはリンフィーナをこれ以上追い詰めなかった。


 タキに説明できない感情の部分が沸々と湧いてくる。

 アセスは自分を庇護したのだ。多くの命が奪われた残虐な事が起こった後、目覚めたとき、リンフィーナは星光の神殿で、何が起こったのか記憶のほとんどを失っていた。


 けれど残像として、死にゆくものの末路を複数の絵のように記憶している自分がいて、それは魔女ソフィアの記憶だった。リンフィーナは宿した魔女の恐ろしさに血の気を失い、推測する。

 アセスは首謀者ではなく、殺戮を行ったのは、自分なのだと。


「兄様が戻られて沙汰してくれる。ーーそうね、それが一番いいと思う」

 サナレスはいつも正しい。


 リンフィーナと、その中に眠る魔女ソフィアは同時に強くうなづいた。

 サナレスに裁かれるのであれば本望だと、困ったことにリンフィーナと魔女の意志が一致する。


 サナレス、早く帰ってきてほしい。

 その前にサナレスの片腕であるギロダイとの勝負が控えていた。


「そろそろ約束の時間になるね」

 リンフィーナは気持ちを沈めた。


 ギロダイは全身を血で真っ赤に染め、水月の宮に戻っていた。

 大量の獲物を狩っており、戻るなり水月の宮の玄関先で仁王立ちになり、勝利を確信しているようだった。


 それを横目にしながら、リンフィーナは苦笑する。

 目隠しされたのはアセスの優しさなのだろうが、断片的に見える視界は塞ぎようもない。


 自分だってすでに血で真っ赤なんだけどね。

 狩の腕なら、ギロダイにきっと負けない。

 

 笑えない冗談たった。

 覚醒した魔女のせいで、敵味方問わず大量虐殺してしまった。兵士の鮮血に真っかに染まる自分とギロダイを比較したが、胃袋が捩れ、リンフィーナはその場にへたり込んだ。


 私は薬師を目指した。

 兄様が世界を旅するなら、その夢を傍でつつがなく見守れるよう薬学の道を志し、その一環でどうせ嫌われる銀髪なら、資質を活かして呪術も習おうとしたのだ。


 そんな自分が殺戮?

 考えただけで胃液が込み上げてくる。


「本当のところどうなのよ!? 聖霊長ジルダーラ!!」

 真実を確かめたくて使役した精霊を召喚しようとするが、かの一件以来、ジルダーラはリンフィーナの呼びかけにいっさい応じてこなかった。


 風の精霊長が消滅したとは思えない。

 けれど姿を現さないのは、精霊長ですら煩わしい相手がいると言うことだ。

 自分がいつも間にか星林の神殿にいたことにアセスが関与していると想像しても、その理由すら掴めなかった。


偽りの神々シリーズ紹介

「自己肯定感を得るために、呪術を勉強し始めました。」記憶の舞姫

「破れた夢の先は、三角関係から始めます。」星廻りの夢

「封じられた魂」前・「契約の代償」後

「炎上舞台」

「ラーディオヌの秘宝」

「魔女裁判後の日常」

「異世界の秘めごとは日常から始まりました」

「冥府への道を決意するには、それなりに世間知らずでした」

「脱冥府しても、また冥府」

シリーズの9作目になります。


 異世界転生ストーリー

「オタクの青春は異世界転生」1

「オタク、異世界転生で家を建てるほど下剋上できるのか?(オタクの青春は異世界転生2)」


 異世界未来ストーリー

「十G都市」ーレシピが全てー

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