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脱冥府しても、また冥府  作者: 一桃
49/84

同じことをするのはバカ

こんばんは。

徒然なるままに更新しています。


がっつりファンタジー。しかも長編です。

お付き合いいただいている方、ありがとうございます。

感謝!


        ※


「それってワナですわよ!」

 数刻後、ナンスとの約束の時間に遅れないように準備するリンフィーナは、タキから強烈な足止めを食らっていた。


 タキに根掘り葉掘り必要な調味料について聞き出したのが間違いで、リンフィーナは思ってもいなかった強い足止めを食らっていた。


「ワナとかじゃなく、私からお願いしたの! ラーディオヌ一族には様々な流通経路があるでしょ?」

「そんなの、摩訶不思議な薬物の流通経路じゃないですか!? 調味料を調達するのと多少は関係があったとしても、危険すぎます!!」


 ラーディオヌ一族に各種調味料が揃っているという情報については否定できず、それでもタキは自分の腕を離さなかった。


「姫様が今から騙されに行くというのなら、このタキも一緒に行きます! 決して1人で放っては置けません!!」

 このやりとり、前にもやったことがあった。

 なんだか懐かしくて涙が出そうになったが、こう言い出したらタキは引いてくれない。

 リンフィーナは途方に暮れてしまった。


 鳥の餌ほど味のない、反して栄養素だけがある食物を、食べ物として今の自分の周りにいる民に提供するには調味料が必要だったので、それを得られないとなると先で行き詰まってしまう。


 ギロダイとの勝負に負けることは厭わない。

 けれど民に飢えを感じさせるというのは、サナレスと共にあった王族妹姫としては納得できず、何かに不義理をしている思いになった。


「だって調味料が必要だと言ったのはタキじゃない。だからラーディオヌ一族の夜市に買いに行ってくるの」

「そんなの髪まで染めて、そんな奇想天外な出立ちをしてまで、姫様がしなければならないことじゃないでしょ!? 殿下がいたら絶対に反対します!!」

 やっぱりタキは最強だ。サナレスを引き合いに出してくるあたり、意地が悪かった。


 前回こんなやりとりをした記憶は新しい。自分はタキが止めるのを無視して、それでも勢いで行動すると中義心からタキは同行した。結果サナレスに苦言を述べられ、本気で怒られたことが思い出される。


 うっ……。

 サナレスに叱られたことを思い出すと背筋が凍った。


「いいんですの? 勝手にそんな危ない行動をして。私は姫様の無茶にお付き合いしますわ。罠かもって思っていても、姫様に従うのが臣下ですから、従ってついていきますけれどね。ほんとに、いいんですの!?」

 ああ。耳に痛い。


 リンフィーナはガックリと項垂れた。

「ダメだと思うよ。……きっと……、兄様もダメだって言うでしょう。でも今私たちにとって一番大事なのは、食べ物調達でしょ? オートミールを食べられるものにするには調味料が必要でしょ? だから私は買い物に付き合ってと友達に約束したの。ーー約束を守るのだって大切じゃない!?」

「ーーそうですよね……」


 言い淀みながら自己主張する自分に、タキはため息に言葉を乗せてきた。いや、言葉の主張が小さい音量すぎて、ほとんどため息にしか聞こえない。

「でも友達って姫様……。よりにもよって、とてもややこしい関係性のラーディオヌ一族の民なんですよね? しかも総帥殿の側近であるとか。罠だと思って当然です」


 罠ってのは、相手から仕掛けられた時に引っかかるもので、自分で頼んだことに発生するの!?

 反論をグッと飲み込んで、リンフィーナは頬を引き攣らせながら微笑んだ。


「タキあのね……」

「なんとか私を言いくるめ、隙あらば勝手な行動をなさるんですよね。ええ! ーー姫様ですからね、勝手で結構なのですけれど! だから一緒に行くまでだと言っているんです」

「タキ……」


 前とは事情が違う。

 タキは結婚し、家庭があって、自分に使えることだけが人生の全てではない。

 それなのに自分を最優先してくれるタキには感謝しかなかった。


 しかも自分に付き合わせた結果、過去にタキは身体に火傷を負うという酷い目にあっている。


 リンフィーナはあの時のことを思い出してゾッとした。

 自分のために命まで落とした、双見であるタキの片割れであるラディの最後、目に焼き付いた様は、一瞬でリンフィーナの血の気を引かせた。


 だから覚悟する。

 一人の方がいいのだ。


 自分を抑制することは違うから、リンフィーナは育て親である双見のタキに対して呪術を行使した。付いてきてくれることは心強かった。けれど二度とあの日のようなことが、母であり姉であるタキの身に起こってはほしくない。


「ごめんね……」

 リンフィーナは呪術で強硬手段に出た。彼女の意識を失わせるのは簡単で、威勢よく自分に同行するというタキの気を失わせ、その体が崩れ落ちるのを抱きとめた。

「ごめん、タキ」

 

偽りの神々シリーズ紹介

「自己肯定感を得るために、呪術を勉強し始めました。」記憶の舞姫

「破れた夢の先は、三角関係から始めます。」星廻りの夢

「封じられた魂」前・「契約の代償」後

「炎上舞台」

「ラーディオヌの秘宝」

「魔女裁判後の日常」

「異世界の秘めごとは日常から始まりました」

「冥府への道を決意するには、それなりに世間知らずでした」

「脱冥府しても、また冥府」

シリーズの9作目になります。


 異世界転生ストーリー

「オタクの青春は異世界転生」1

「オタク、異世界転生で家を建てるほど下剋上できるのか?(オタクの青春は異世界転生2)」


 異世界未来ストーリー

「十G都市」ーレシピが全てー


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