表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
脱冥府しても、また冥府  作者: 一桃
46/84

オートミールを食べれるように克服する

こんばんは。

ほちほち楽しみで書いています。


もっとテンポ良く書く方がいいんでしょうね。でも楽しみなのでゆっくり進めています。

お付き合いいただいている方、ありがとうございます。


        ※


 備蓄庫に眠る大量の鳥のエサーー。否、米や麦を入れる藁のズタ袋に入ったオートミールを思い出して、リンフィーナはそこに行ってしまったことを果たして正しかったのか、頭を抱えていた。

 持ってきたナイフで袋の端を破って匂いを嗅ぐ。

 うげっ!!

 相変わらず食欲をそそらない無機質な草みたいな匂いだし、見た目も鳥のえさだ。


 リンフィーナはひと袋を肩の上に担いで、ひと袋を床に引きずりながら調理場に運んでいった。

「姫様! なんですかそれ? 米ですか? 麦ですか!?」

 調理場にはタキがいて、リンフィーナの持ってきたものを見て顔を輝かせる。


「そんなもの、お一人で運ばれるなんて、言ってくだされば臣下を向かわせましたのに」

 ウキウキとこちらに近づいてくるが、リンフィーナは複雑な表情でタキの顔を三白眼になって見上げた後、苦笑いを浮かべる。


 この袋、誤解させるよね。

 ごめん、ぬか喜びさせて。


 案の定タキは自分の運んできた袋の中を確認すると、がっくりとその場で肩を落とした。

 水月の宮で被災した自分達は、このところまともな食糧にありついていないのだ。


「姫様、食糧難だとはいえ、流石に鳥の餌を食べるというのはどうかと思います」

「じゃぁさ、虫食べる?」

「姫様!!」

 なんてご無体なことをと批判してくる。タキの反応は想像がついた。


 でもね。

 腹が減っては戦はできない。

 干し肉を不味いとかじっていた衣食住においてなんの役にも立たない貴族である自分は、ラディに教わった。生きるためならば何でもかんでも食べなければならない時があるのだと。


 サナレス兄様にこんな鳥の餌なんてと苦言を言った自分は、今のタキだ。

「これさ、鳥の餌じゃなく兄様はオートミールっていう食事だって言ってた。戦や旅に出る時、それから何かあった時の非常食なんだって。栄養価は高いし、腹持ちはいいって」


 木の器を調理場から拝借して、リンフィーナは器の中にオートミールをすくってタキに見せた。

「ーーこれって食べ物ですの?」

「うん、実際兄様は遠方に出る時や忙しい時には食べてたって言ってた」


「殿下が!?」

 とても信じられないという顔で器を受け取り、その匂いを嗅いで眉をしかめるタキと、リンフィーナは本心では同意見だ。


「兄様が何かあった時のために、これを地下貯蔵庫に何袋も入れていたのよね。災害用とか言ってたのを思い出したんだけど、こうなる未来が兄様にはわかっていたのかな?」

「でもこんな食べ物の体裁じゃないもの、みんな食べますかしら? わたくしは遠慮申し上げたいのですがーー」

 タキおまえ、正直ね。

 私もよ。


 リンフィーナは俯いておでこをかいた。

「兄様はね、美味しく食べる方法を探そうかなって言ってた。多分、まだ時間がなくって探してはいなかったと思うけど、ーーこの機会にタキ、私達でこの食材を美味しく食べる方法を探さない?」


 できるなんて思ってはいないけれど、筋骨隆々で部下を引き連れて狩りに出たギロダイよりも、民が満足できる食事を用意するなら備蓄庫のオートミールを使用する他ないように思えた。


 例えギロダイとのこの勝負に負けても仕方ない。

 こんな時のため、つまり災害時にサナレスが用意した食材を無視できないほど、自分はブラコンでサナレス崇拝者だ。


「こんな変わった食材、みんなに美味しいと言って食べてもらえるようにできるの、タキしかいないと思うんだよね」

 本心からタキに敬意を払って、日頃の料理の技を褒め称える。


 割とタキは誉め殺しに弱いのだ。だからなんとかその気になってもらうように会話した。

「兄様もできなかったし、ーー私じゃとてもできない。こんなのってやっぱり日頃から美味しいモノを作っている人でしかできないことだと思うんだよね」


 タキは「うーん」としばらく唸っていた。そしてしばらくした後、ニコッと笑った。

「そうですね。ーー殿下が作って食べていたのであれば……、虫を食べるよりもマシかもしれません。なんとか形を変えてみましょう」

「うん!」

 リンフィーナは勢いよく返事した。


 サナレスは美食家だ。というか好き嫌いが多かった。

 魚は骨があるから嫌い、虫なんて節足を歯で噛む感覚なんて味わってたまるか!!


 そんなことを言っていたサナレスは、食べ物の形をなるべくわからないようにしてから食べるような美食家だ。すり身、アレンジした練り物、貴族の間でブームを巻き起こしたテリーヌという食べ物を考え出したのもサナレスだったのだから、その美食家ぶりを信じたかった。


「手伝うよタキ! このオートミール、民が喜んで食べられるように調理しよう!!」

偽りの神々シリーズ紹介

「自己肯定感を得るために、呪術を勉強し始めました。」記憶の舞姫

「破れた夢の先は、三角関係から始めます。」星廻りの夢

「封じられた魂」前・「契約の代償」後

「炎上舞台」

「ラーディオヌの秘宝」

「魔女裁判後の日常」

「異世界の秘めごとは日常から始まりました」

「冥府への道を決意するには、それなりに世間知らずでした」

「脱冥府しても、また冥府」

シリーズの9作目になります。


 異世界転生ストーリー

「オタクの青春は異世界転生」1

「オタク、異世界転生で家を建てるほど下剋上できるのか?(オタクの青春は異世界転生2)」


 異世界未来ストーリー

「十G都市」ーレシピが全てー

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ