無謀でも挑む勝負ってあるかな?
こんばんは。
相変わらずマイペースで書いています。
死ぬまで続けて、完結する時に寿命ってのが夢かもしれない。
なんの因果か、お付き合いよろしくお願いします。
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「なかなかやるじゃないか、姫さん」
水月の宮に急遽設えた活気付けるための夕食を囲んでいると、リンフィーナの隣には近衛兵副隊長のギロダイが近寄ってきた。
「傷はもういいの?」
「かすり傷程度だ。私の深部に10センチ程度も切り込んでいない。気にすることはない」
傷の深さ10センチって言ったら、普通の人間なら心臓に達するのだけれどね。
リンフィーナは彼の筋肉に覆われた体を眺めながら項垂れた。
ただの強がりとも思えない。
だから傷が癒えているとは思えなかったが、ギロダイは大剣を構え泰然としていて、振る舞われた夕食の中央に居場所を作っていた。
「助かるわ」
彼の本意をわかって、リンフィーナは素直に礼をいう。サナレス不在の近衛兵、つまりならず組の副隊長が例え無理をしていたとしても座の中央で座っていてくれるだけで、兵士たちをどれほど安心させられていることだろう。
「大したことはしていない。ーーけれど問題は今宵ではないよなぁ?」
全て見破られているとわかり、リンフィーナは天を仰いだ。時間が必要なのだ。
「そうね」
「殿下から連絡は?」
「ーーまだない」
どんな状況下でも、サナレスは自分や民にとって神、つまり次の日には必ず存在する太陽みたいな人で、どんなにご馳走を振る舞って、近衛兵副長をそばに据えても、サナレスがいない民をまとめることは難しかった。
「食料は明日、私が狩に出てなんとかする」
「姫様なのに、また姫様なりの無茶ってのするの? それが狩りなのか?」
「違うのかも……。でも」
今できることは少ない。
ギロダイは自分をチラリと見た。
強がりを労わるような一瞬の視線に、リンフィーナはそれをあえて拒絶して、彼から視線を逸らせて真っ直ぐに前を向く。
「食料調達とかなら、代わりに私が部下を連れてやっておこう。違うのかもと思うなら、姫様なりに今できることを、もう少し考えてやってみたら?」
「いえ。私は兄様じゃない」
兄様のようになりたい。
ずっと願ってきたけれど、カリスマ性というものは真似できるものではない。
サナレスに育てられ、アセスと出会って、自分が凡人であることを嫌というほど悟っていた。だから凡人がしなければならないことを学習してきた。
血を飲むような努力。それしか凡人が周囲に認めてもらえる方法はない。
水飲み場に示唆したい人間を連れて行っても、人はその水を飲まないのだ。一緒に飲む。凡人はそれをトリガーにするしかないから、サナレスが戻るまでできることは、先陣切って自分が苦しむ。
「ギロダイ、私はサナレス兄様に拾われた孤児。だから皇女とか姫だとか言われる身分じゃないの。あなたのように、元人の国の王であった経歴もない」
魔女ソフィアのラバースという、人ですらない存在なのかもしれない。
「だから遠慮はいらない。ーー明日、勝負しない?」
リンフィーナは失笑した。こんな笑い方、いつ覚えたのか自覚がないけれど、首を傾げて相手を斜めに見て、リンフィーナは勝負を挑む苦笑いだ。
「サナレス不在の今の状況でできることは、二番手のあなたと勝負することぐらいなのよ。どっちがより多く食料調達できるのか、人脈も使って勝負しよう」
「はっ!!」
笑いを吐き捨てるような呼吸音を聞いた。
「愉快な兄妹だ」
「やるの? やらない?」
「遊びは嫌いじゃない」
ギロダイの言葉を聞いてリンフィーナはうなづいた。
「じゃぁ今晩19時の夕食で勝負ってことで」
「どちらが今水月にいる民を安心させられるかって勝負なんだよなぁ」
リンフィーナはうなづき、ギロダイはふんと鼻を鳴らした。
偽りの神々シリーズ紹介
「自己肯定感を得るために、呪術を勉強し始めました。」記憶の舞姫
「破れた夢の先は、三角関係から始めます。」星廻りの夢
「封じられた魂」前・「契約の代償」後
「炎上舞台」
「ラーディオヌの秘宝」
「魔女裁判後の日常」
「異世界の秘めごとは日常から始まりました」
「冥府への道を決意するには、それなりに世間知らずでした」
「脱冥府しても、また冥府」
シリーズの9作目になります。
異世界転生ストーリー
「オタクの青春は異世界転生」1
「オタク、異世界転生で家を建てるほど下剋上できるのか?(オタクの青春は異世界転生2)」
異世界未来ストーリー
「十G都市」ーレシピが全てー




