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脱冥府しても、また冥府  作者: 一桃
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願いを叶えて

こんばんは。

また日常の週が戻ってきて、少しづつアップしていきます。


5月はもう、日本縦断するぐらいあちこちいきますので、HPが削られて少ない。

そんな中でも書きたい気持ちに素直になって書き進めます。

         ※


 水月の宮は地震とラーディオヌ一族呪術師の攻撃によって、壊滅的な状態だった。

 リンフィーナの機転によって攻撃を退けることに成功したものの、命を落とした者もいれば重傷者多く、命絶え絶え生き残った者の表情は暗い。

 手当てされた兵士の多くは身体中に厚く包帯を巻き、この先の不安を表情に浮かべて黙りこくっていた。


 リンフィーナは考えた。兄サナレスの教えである心の中の経典によると、民が不安なのは衣食住が安定しないからだ。

 まずは安全基地というのだったかな? それとも安全欲求だったかな?

 衣食住を整えられれば、人は次の段階ーーつまり次の欲求に進むことができるそうだ。


 次の欲求がどんなものだったかを忘れてしまったリンフィーナだが、今水月の宮にいる民の不安を補うのは生活を整えることだとわかっていた。


「タキ、食糧庫を空にしてもいい。兵士達民がお腹いっぱいになる食事を作って」

「でも姫様、備蓄した食材は計画的に出していかなければならないって……」

 そう、計画性が大事だと兄から教わったものの、それは非常時においても同様なのかという疑問があって、リンフィーナは今のような状態ではそうではないのだと判じていた。


「いいの。災害により亡くなった民が多くて、憔悴しきっている民を元気付けられる食事が、今は一番大事だから」

 そう決断した。


「ーーでも明日からは……?」

「明日からのことは、今日私が考える。今のことをお前に頼みたいの」

「ーーかしこまりました」

 タキは一抹の不安に言葉を詰まらせながらも、自分に従ってくれた。


 潰れてしまった仮設住宅ではなく、家屋がちゃんと残っている水月の宮の中に兵士の住まいを割り当てることを提案する。王族とその使用人以外の侵入を拒んだ水月の宮を解放することも、リンフィーナは伝え忘れなかった。


 サナレス兄様がここに居たとしても、同じ選択肢を選ぶことをリンフィーナは察知していた。

「重傷者からちゃんと眠れる寝台を用意できた部屋を使わせて」

「ちょっと姫様、そこって姫様の寝室ですけど!?」

 テキパキと空き部屋を指示していると、タキが目を剥いて反論した。


「姫様の寝室と同じ階を使わすのだってあり得ないことですのに、その部屋は姫様のお部屋ではないですか!?」

「いいのよ。一時的に使ってもらう。私は健康だから床で立って寝られるし」

「床!? そんな馬鹿な!!」

 絶叫に近い避難を受けて、リンフィーナは自分が枕ひとつを持って館内の寝床を求める姿を、タキから全力で否定される。


「姫様がそんな不遇を強いられることはありません!!」

「不遇とは思わない。ある意味慣れたところもあるし」

「慣れないでください!!」

 ラディと旅した時は山で野宿したし、ベットより狭い部屋に宿を取ったし、その挙句刺客にも襲われたから、その時に比べれば十分安全基地を確保できていると、リンフィーナは思った。


 でもこのままでタキの気持ちが収まるとも思えなかった。

「だったらタキ、悪いのだけれどお前のベットに一緒に寝させてもらってもいい?」

 タキは結婚して別邸を構えていたけれど、水月の宮にも一室を構えていたので、リンフィーナはその部屋への同居を求めた。


「そんなーー。そんな私どもの部屋などでよければ、いかようにでもお使いください」

「うん、タキ。お前の気配がある部屋は安心できるから、お願いするね」

 なぜだかわからないけれどタキは涙ぐんでいた。

 そして息が苦しいほどギュゥっと二の腕に抱き締められ、リンフィーナは吐息をついた。


「ねぇタキ。美味しい夕食の準備そろそろ取り掛からないと……」

 タキは自分を羽交い締めにして離さない。

「ねぇ、タキ……」


 養育係の双見というのは情に厚く、過保護だった。なかなか自分の意図が通らずになすがままになっていると、タキは珍しくドレスの二の腕を捲り上げた。

「わかりました、姫様。姫様のご命令通り、今宵はとびきりのディナーを民全員に振る舞います」

 そう言ってタキは鼻息を荒くしてくれたので、リンフィーナはホッと吐息をついた。

偽りの神々シリーズ紹介

「自己肯定感を得るために、呪術を勉強し始めました。」記憶の舞姫

「破れた夢の先は、三角関係から始めます。」星廻りの夢

「封じられた魂」前・「契約の代償」後

「炎上舞台」

「ラーディオヌの秘宝」

「魔女裁判後の日常」

「異世界の秘めごとは日常から始まりました」

「冥府への道を決意するには、それなりに世間知らずでした」

「脱冥府しても、また冥府」

シリーズの9作目になります。


 異世界転生ストーリー

「オタクの青春は異世界転生」1

「オタク、異世界転生で家を建てるほど下剋上できるのか?(オタクの青春は異世界転生2)」


 異世界未来ストーリー

「十G都市」ーレシピが全てー

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