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脱冥府しても、また冥府  作者: 一桃
39/84

だから今夜も帰れない

こんばんは。

少しづつ長編の先を書いてアップしています。

お付き合いいただいている方には感謝。

お初の方には陳謝。ご意見、足跡希望です。

         ※


 科学者というのは常に科学の発展に寄与する存在であった。

 けれど同時に科学のためには多少なりとも犠牲を払って、その未来を夢見てしまう存在だった。

 そのサガをとやかく言えはしない。


 そのことに懺悔する科学者の比率は如何程のものだろうか?

 多分皆無で、一部の天才と言われる者のみが後世において懺悔し続けるのだろう。


 少なくとも平和ボケでもしていなければ、人の死は身近にあり、科学者が優先するのは人の命の数を天秤にかけるという、実に合理的なやり方である。数値が大事、そして選ぶべき答えは簡単に統計学で割り出せるのだから。


 どれほどの科学者が言い訳したことだろう?

 言い訳する必要性すら感じないものも多いはずだ。


 完全に安全とは言えない薬を民に投与するという決断をしたサナレスは、人体実験をする選択肢を選んだ。


 サナレスは緊急性の高い患者に対して様々な処置と考察を行ってきた。けれど人の魚人化はいったんその変調が見えたものに対して効果を発する確率は低すぎた。だから出した結論に迷いはない。


 衣食住のうち、そのどれが作用して海岸付近の民に災いが起きているのか、針の穴をつくような調査が必要だったが、それには時間がかかるからだ。


 抗体。つまり病原菌に対しては、抵抗力のある者の免疫を抽出して順番に投与して人口を増やしていくことが、現段階でできる最善だった。


 けれどこの時代、体の中に注射器を指し、民からすれば摩訶不思議な液体を投与するという行為に賛同するものなどいない。スパイとして配置しているアイラが血相を変えて苦言を述べることも予想済みだ。


 仕事というのは、命じて簡単に終わるものではないことを、サナレスは承知していた。

 大体において人に仕事を頼む時、方法を説明し、効果を納得させ、実行するために背中を押す説得力が必要だった。そしてそれが可能かどうか、初仕事において微調整するのは指令したこちら側だ。どの工程を怠っても、結局はめんどくさい結果になって、命じた自分に余計な仕事となって返礼される。


 だからサナレスはこと細やかに指示を出した。

 アイラはそれに従った。ここで本当の愚か者は、指示ですら愚直に聞けない。幼児性ーーつまり自己中心性が抜けず自らを過信して、間違った行動に出る。

 サナレスはそういった人種には内心舌打ちして嫌悪を示したが、助かった。アイリは素直な性格のようだ。


 丑三つ時に異変のあるものを集めたのは、特殊な事情ゆえ家族に起こったおぞましい異変は他人に悟られぬように処理したいと考えてるからだろうと考えた。

 彼らは家族を救いたい一心で、藁にも縋る思いで誘いに乗ってくることを予測できる。


 人の本質は、自分とは違うもの、異質なものに対して冷たい。

 それが家族外で起こったことならば自分達とは違うと差別し、自ら大事にする家族内で起こったことであれば隠して守ろうとするものだ。


 秘密裏に助けてやる。

 それが貴族からの伝令であれば、人がすがりついてくる真理をサナレスは知っていた。


 丑三つ時に集う。

 つまり今日もラーディア一族に帰れない自分に落胆しながら、サナレスは今ある仕事に間向かった。

偽りの神々シリーズ紹介

「自己肯定感を得るために、呪術を勉強し始めました。」記憶の舞姫

「破れた夢の先は、三角関係から始めます。」星廻りの夢

「封じられた魂」前・「契約の代償」後

「炎上舞台」

「ラーディオヌの秘宝」

「魔女裁判後の日常」

「異世界の秘めごとは日常から始まりました」

「冥府への道を決意するには、それなりに世間知らずでした」

「脱冥府しても、また冥府」

シリーズの9作目になります。


 異世界転生ストーリー

「オタクの青春は異世界転生」1

「オタク、異世界転生で家を建てるほど下剋上できるのか?(オタクの青春は異世界転生2)」


 異世界未来ストーリー

「十G都市」ーレシピが全てー


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