わずかな力でも
こんばんは。少しご無沙汰ですかね。
書くのは楽しいのですが、書いていない夜は少し知識を得るためにお勉強しています。
お付き合いいただいている方、誠にありがとうございます。
※
人は人の価値観で相手を評価したがるものだ。
ソフィアは自分に下された病名を鼻白んで、サナレスの師であるというリトウ・モリを見ると吐息をついた。
見た目年齢は不詳、だからもちろん年齢不詳。
寿命がもうないとか言っているので、おそらくは百歳は超えているのだろうと思う。この世界の断りにおいて、貴族でなければ百年は生きない。稀に三百年ほど生きる種もいるが、それは冥府を異例の法則で超えてきた者に限ると知っていた。
リトウ・モリ。
このやさ男が何度も死線である冥府を超えてきたようには見えなかった。
一方、「おまえは皇女リンフィーナではない」と、自分にじっとりと懸念の視線を絡み付けてくる男は、体格のいい身体は傷だらけで、まさに死線を行ったり来たりしたのだろうなぁと推測された。
冥府で寝ぼけていた頃、目覚めたばかりでサナレスに出会い、彼を目で追っていて時に、なんとなくサナレスの側で見たような気がした。
サナレス直属の臣下、そのわりに年寄りだし弱そうだ。
ソフィアは興味なさそうに欠伸する。
その様子を見て、体格ばかり大きいサナレス直属の臣下、確かギロダイという男が言った。
「このふてぶてしい、そして禍々しいほど横柄な女が病気だって!?」
ありえないな、とギロダイは言った。
「で…、でも……、僕の世界では1人の身体の中に別の人格が存在するのは人格障害って言って、病気なんだ。姫様は今、いろいろなことがあって病気になってしまったんだと思う」
凄みのある男ギロダイに対して、パスタの一本のように細長いリトウは、弱々しくだが自分を弁護する。
病気ではないので弁護される筋合いはないのだが、と更に眠くなった。
「それでおまえたち、サナレスはいつ帰ってくる?」
どうでもいいので、ソフィアは聞きたいことだけを口にした。
自分との契約を守るため動いているのだと疑ってはいないが、サナレスがこうも水月の宮を不在にするのは不本意だった。
退屈するではないか。
「やはりおまえは、妹姫リンフィーナに伝えていないな。軽んじていたとしても隊長なら、帰る予定を妹姫に言わないはずがない」
は?
おまえも直属の臣下だというのに知らされてないんじゃない?
サナレスが自分に対して彼の予定を口にしなかったことを指摘され腹立たしい。
リンフィーナになら伝えていたはずだと言われ、表情が強張った。
射殺すような視線でギロダイを睨みながら、ソフィアは心の中で毒づいた。
これ以上別人だと疑われるのは、おそらくサナレスの望むところではないと思ったので、適当にあしらうことを最優先するためだ。
「リンフィーナ様は聞いていないんだ、サナレスーー殿下が帰られる予定のこと……?」
「聞いていないわよ。聞いていたら、あんた達に質問したりしないんだから」
リトウは少し黙って、「僕も聞いていないんだ、ごめんなさい」と頭を下げた。
ここに居る2人がサナレスの所在について無知なのであれば、自分も彼らと関わることを無意味に感じた。
ソフィアは崩壊せずに残った水月の宮の窓辺に腰を下ろし、館のそばに視線を向けた。
精霊の力を使ってサナレスを探していた。けれど人探しに一番適した風の精霊は、ラーディオヌの総帥アセス、そしてリンフィーナが使役しており、リンフィーナの意識がない今使いようがない。そして地の精霊長まで、ラーディオヌ一族の総帥アセスにかしづいているらしく、自分の使役霊とはならなかった。
火の精霊は、敵国のシヴァールの使役下か。全ての力を使えないわけではないが、精霊長の力としては、水と冥府のみが側にあった。
死者が存在する冥府、そして人が生きるために必須とする水のみの力ではあったが、時間をかければ、人間のすぐ側には死も水も必ず存在するものだ。
『探れ! サナレスの動向を』
ソフィアはそれだけを願っていた。
偽りの神々シリーズ紹介
「自己肯定感を得るために、呪術を勉強し始めました。」記憶の舞姫
「破れた夢の先は、三角関係から始めます。」星廻りの夢
「封じられた魂」前・「契約の代償」後
「炎上舞台」
「ラーディオヌの秘宝」
「魔女裁判後の日常」
「異世界の秘めごとは日常から始まりました」
「冥府への道を決意するには、それなりに世間知らずでした」
「脱冥府しても、また冥府」
シリーズの9作目になります。
異世界転生ストーリー
「オタクの青春は異世界転生」1
「オタク、異世界転生で家を建てるほど下剋上できるのか?(オタクの青春は異世界転生2)」
異世界未来ストーリー
「十G都市」ーレシピが全てー




