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脱冥府しても、また冥府  作者: 一桃
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叫ぶ声

こんばんは。楽しくて書いている作品です。

お付き合いいただいている方には、誠にありがとうございます。


忘れた頃に、誤字脱字や言い回し重複修正、他社からもわかる表現を心掛けます!


連続Upしている夜は、すみません、単に楽しくて。

         ※


『風の精霊長ジルダーラ。我が支配にその名を捧げた精霊よ。我が主人の命を持っておまえに命じる。ラーディア一族の皇女、リンフィーナ・アルス・ラーディアを護れ』


 ああ焼けること。

 焼けること、我が主人。

 クリスタルのように整った造形の我が愛しき主人よ。


 精霊ジルダーラとアセスの主従関係からくる、ーーいや精霊が天女のように美しいアセスに対して一方的に焦がれると言った異例の関係の上に成り立った、申合を聞いた気がした。


 アセスが精霊に命じるといった一言にすら、聖霊は身をよじるほどに歓喜しているように感じる。

 自分の言葉など微風ほどにも感じていない聖霊長ジルダーラは、アセスの支配下で動いていた。


「アセス!?」

 闇に紛れた敵襲が、ラーディオヌ一族のものであると、呪術の匂いを知って察知せざるを得なかった。リンフィーナは心の中でアセスに真意を確認したかったのだけれど、アセスの使役下にある聖霊の純粋な意志に得心を得る。


 あなたが差し向けた資格では、絶対にない!

 それがたとえラーディオヌも兵で、たとえアセスの私兵であったとしても、あなたが支持したのではない。


 そうだよね。


 ルージェの背中で逃げていた時、ずっとそれを信じたかった。

 だから今、ジルダーラとアセスの、精霊がアセスに懸想しているといった一方的な、多少歪な契約が嬉しい。


 アセスは、信じていいんだ。

 それを感じられただけで、底知れぬ力が湧いてきた。


 ラーディアとラーディオヌ一族はもとは兄弟氏族で、過去に何があったかなど問題ではなく、領土を争うような戦をしてはならない。


 サナレスは自分を介してアセスという存在を知った時に、そんな未来を望んだはずだ。だから、今若干複雑な関係になってはいたとしても、アセスをーーつまりラーディオヌ一族を信じた。信じていたい。


「ねぇアセス! 私は貴方に顔向けできるような人間じゃない」

 貴方が好きで、国を挙げての婚約者となりながら、結局はサナレスを払拭できず、一族同士の約束よりも、サナレス兄様を選んでしまったから。


 二度と貴方に会えなくとも、とリンフィーナは決意を口にする。


 貴方に二度と会えなくともーー。

「でもアセス! 私、貴方が好きで……、貴方と敵になるのは絶対にいや!」


 精霊ジルダーラはラーディオヌ一族の兵を制圧し、得意げに「この娘をどうするのだ?」と主人であるアセスに問いかけていた。


 アセスはジルダーラの行動を封じたまま、何も言ってはくれなかった。

 呪力の不安定さなのか、ジルダーラが自分の身の安全を確保したのだと知ると、アセスの気配というか熱がすうっと引いていく。


 神隠し、とは良く言ったものだ。

 気がつけばリンフィーナは星光の神殿に転移していた。


 いきなり転移した先でリンフィーナは目を瞬かせる。

「ここって……」


 ここはリンフィーナが初めてアセスと出会った場所だった。

 銀髪の自分を疎んじて、死にたくなって逃げだした場所は、初めてアセスと出会うことで聖域になった、思い入れの強いところである。


 崩壊しかけた白い建造物の脇に、手入れされていない草木が伸び、その木陰で彼を見つけた。

 今アセスの姿はそこにないというのに、転移した自分の意識は、出会った瞬間を思い出して涙が出そうになる程懐かしい。


 その時から、自分にとってアセスは特別な存在になった。

 アセスも覚えている?

 今も忘れていない?

 アセスが精霊に命じて、自分をこうして転移させた先も、またこの場所であることが、なんともいえず甘酸っぱい。


 兵士もなく、争いの断片も見えない。

 神隠しに合った先に連れてこられた先は、どうしてか優しい。

 嬉しい!


「アセス!!」

 ねぇ会いたいよ。

「アセス!!!」


 本心が叫びになった。


 立場による遠慮、そしてサナレスとの三角関係はリンフィーナの本心に蓋をしてきた。でもこの時、自分はただ会いたかった。

 この世に存在するのが不思議なくらい美しく、天上人のような、それなのに心の中が未成熟で不器用でどこか儚げな自分の初恋の相手。それがアセス・アルス・ラーディオヌだった。


 アセスーー!

偽りの神々シリーズ紹介

「自己肯定感を得るために、呪術を勉強し始めました。」記憶の舞姫

「破れた夢の先は、三角関係から始めます。」星廻りの夢

「封じられた魂」前・「契約の代償」後

「炎上舞台」

「ラーディオヌの秘宝」

「魔女裁判後の日常」

「異世界の秘めごとは日常から始まりました」

「冥府への道を決意するには、それなりに世間知らずでした」

「脱冥府しても、また冥府」

シリーズの9作目になります。


 異世界転生ストーリー

「オタクの青春は異世界転生」1

「オタク、異世界転生で家を建てるほど下剋上できるのか?(オタクの青春は異世界転生2)」


 異世界未来ストーリー

「十G都市」ーレシピが全てー


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