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脱冥府しても、また冥府  作者: 一桃
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風の精霊長ジルダーラ

こんばんは。

調子良く書いています。

これは私にとって、ツイッターであり、日記であり。

自己表現よりも空想描くのが好きです。

        ※


「そこの馬さん! 助けるのは僕じゃないよ!」

 自分と同じように、襲撃されている状況で、リトウ・モリーー彼も怯えていた。

 それなのに声を振り絞るようにして彼の命を差し出してまで、自分を逃がそうとしているようだった。


 そうはいかないよ、サナレス兄様が師と仰ぐ人なんて、そういない。そしてたぶん、唯一サナレスの過去を知っている人だ。頑なサナレスの心を知る数少ない人なのだ。


 ルージェとリトウに背を向けて、自分を狙う刺客に真向かった自分に、リトウが叫ぶ。

「ぼっ……、僕の命はもう短いんだ。だから早く君は逃げて!」

 

「それは兄様が悲しみます!」

 短かろうが関係ない。

 自分の命だって、たぶん、ずっと前からいつ消えてもおかしくない。

 短命!

 短さなら負けていない。


 自分は単に誰かのラバースという分身なのだ。

 リンフィーナはクスと笑った。


「ルージェ、兄様に嫌われたくなかったら、おまえサナレスの先生を守りなさいよ」

 恋敵の自分なんて助けている場合じゃないんだからね。

 恋敵のおまえなんかに助けられている場合じゃないんだからね。


 リンフィーナは研究室前で一気に刺客に追いつかれ、取り囲まれていることにゾッとしながら、少し上を向き深呼吸した。


『風の精霊長ジルダーラ、その何従い召喚する』

 それしか呼び出せる強力な精霊なんて居ないからね。酷使させてもらうわ、この際。


 想定通り、風の精霊長は名前を取られたが故に召喚され、それを不満に思うがままに、爆風を巻き起こして反駁するように姿を表す。

『一夜に2度か!?』

 発狂するような口調と共に、自分のそばには触れれば着れるような風が巻き起こる。


 あははは……。ごめんなさい。

 高位の精霊、風の精霊長といえば人に使えるなど笑止千万だと思っている。そんな存在をまた呼び出してしまった。精霊と術師の間の労使関係に訴えられても当然なくらい、非常識な状態で、頭が下がった。


『おまえ……調子に乗りおって!』

「ごめんなさい、命が危険だから」

 風の精霊長ジルダーラに気配だけで殺されそうになり、完全に迫力負けして小さくなるリンフィーナだったが、俯かずに前を向いて命じることは変わらない。


 悪いけど。

 高位な精霊の貴女にそんなこと望める筋合いではないけれどね。

 こっちは命が今にも消えそうだから、切羽詰まっているんだって。


 死にそうになったら、何回だって召喚するわよ。

 ほんっと、悪いけどね。


 心の中で謝罪する言葉は、それはそれとして黙殺する。

「この水月の宮を守りなさい! 敵をおまえの力で追い払って!!」


『…………』

 てっきり激怒され、逆らわれるとばかり思っていたのだけれど、ジルダーラはその不満に口をつぐんだ。


 あれ?

 もっと反発を食らうことを覚悟していたというのに、精霊長は不思議なくらいおとなしかった。


『…………』

 ジルダーラは黙ったまま、目の前の自分のことを完全に無視して、誰かの言葉を聞いているようだった。


 ちょっと!

 完全シカトかもしれない。


 命令している人の言葉聞いていない!?

 完全に自分を無視して!


 誰と話している!?

 リンフィーナは片眉を上げた。


 誰かってーー?

 自分は誰か知っていた。


 ジルダーラは承諾し、主人に対して答えていた。

『仕方があるまい。我が美しき主人よ。我が愛しい主人の命に従い、このモノを神隠そう。風の精霊長の名において、その命は造作もないこと』

 神隠す!?


 え?


偽りの神々シリーズ紹介

「自己肯定感を得るために、呪術を勉強し始めました。」記憶の舞姫

「破れた夢の先は、三角関係から始めます。」星廻りの夢

「封じられた魂」前・「契約の代償」後

「炎上舞台」

「ラーディオヌの秘宝」

「魔女裁判後の日常」

「異世界の秘めごとは日常から始まりました」

「冥府への道を決意するには、それなりに世間知らずでした」

「脱冥府しても、また冥府」

シリーズの9作目になります。


 異世界転生ストーリー

「オタクの青春は異世界転生」1

「オタク、異世界転生で家を建てるほど下剋上できるのか?(オタクの青春は異世界転生2)」


 異世界未来ストーリー

「十G都市」ーレシピが全てー

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