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脱冥府しても、また冥府  作者: 一桃
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恋敵だけど

こんばんは。

楽しく書く日々です。

応援よろしくお願いします。


        ※


 ラーディアの王都ダイナグラムから戻ったリンフィーナは、ギロダイに安静にするように言ってサナレスの愛馬を蔵に繋いだ。


「ありがとう、ルージェ。兄様はまだ戻っていないね」

 戻っていたら必ず、サナレスはここを清掃しにくる。サナレスが乗って行った馬も戻っていない。

「代わりに私がお世話するね」


 漆黒のフリージアンホースは立髪が長い。炎の中を走らせたから、彼女の立髪は少し煤臭く、所々燃えて縮んでしまっていた。それをブラシで解きながら、リンフィーナは濡らしたタオルで彼女の体を拭いていった。サナレスがいつもそうしていたように、同じ手順で彼女の功を労っていく。


 フルフルと体を震わせ、濡れた黒い瞳でこちらをじっと見つめてきた。

「帰ってくるから。兄様はすぐ帰ってくるよ。ーーきっと」


 そうしている時、野営を命じていたラーディア一族の近衛兵が騒がしくなった。

「敵襲! 敵襲ーー!!」

 馬の手綱を握ったまま、リンフィーナは驚愕して声の方を振り返った。


 敵襲ってーー!?

 いったい敵って……。


 戸惑う間もないほどの速度で、振り返ったリンフィーナの瞳に漆黒の軍団が一瞬その影を捕らえさせた。


『裏切り者の皇女を発見。

 捕らえるか?

 いや、裏切り者だ。

 その首、一族への土産にしよう』


 影が木立が揺らぐように自分を取り囲んでいくのを感じた。


 殺される。

 血の気が引いた。


 ごくりと息を呑んで周囲の気配を探る。

 ルージェが蹄で床を蹴り、異変を察知して繋いだ手綱を外せと言う。


 ああ、そうだ。

 萎縮している場合ではない。

 このままではサナレスの愛馬まで自分の巻き添えになる。


 リンフィーナは馬屋から出ようと踵を返そうとしたが、ルージェが自分の服の端を引っ張って、再度繋いだ手綱を離せという。


 そっか、ごめん。

 自由な方がお前は安全だよね。


 リンフィーナは息を潜めながらも慌てて彼女を繋いだ縄を解いた。


 すると不意をついてルージェは自分の腹を彼女の鼻先で持ち上げてきて、「ちょっと? ーー何っ??」と驚いている間に、気がつくと自分は彼女の背の上にしがみついていた。

 そして景色が風に変質している。


「ルージェ、ルージェおまえ!?」

 振り落とされないように彼女の立髪に顔を埋め、その首に抱きついて、リンフィーナは彼女が助けてくれようとしていることを悟った。

偽りの神々シリーズ紹介

「自己肯定感を得るために、呪術を勉強し始めました。」記憶の舞姫

「破れた夢の先は、三角関係から始めます。」星廻りの夢

「封じられた魂」前・「契約の代償」後

「炎上舞台」

「ラーディオヌの秘宝」

「魔女裁判後の日常」

「異世界の秘めごとは日常から始まりました」

「冥府への道を決意するには、それなりに世間知らずでした」

「脱冥府しても、また冥府」

シリーズの9作目になります。


 異世界転生ストーリー

「オタクの青春は異世界転生」1

「オタク、異世界転生で家を建てるほど下剋上できるのか?(オタクの青春は異世界転生2)」


 異世界未来ストーリー

「十G都市」ーレシピが全てー

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