恋敵だけど
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ラーディアの王都ダイナグラムから戻ったリンフィーナは、ギロダイに安静にするように言ってサナレスの愛馬を蔵に繋いだ。
「ありがとう、ルージェ。兄様はまだ戻っていないね」
戻っていたら必ず、サナレスはここを清掃しにくる。サナレスが乗って行った馬も戻っていない。
「代わりに私がお世話するね」
漆黒のフリージアンホースは立髪が長い。炎の中を走らせたから、彼女の立髪は少し煤臭く、所々燃えて縮んでしまっていた。それをブラシで解きながら、リンフィーナは濡らしたタオルで彼女の体を拭いていった。サナレスがいつもそうしていたように、同じ手順で彼女の功を労っていく。
フルフルと体を震わせ、濡れた黒い瞳でこちらをじっと見つめてきた。
「帰ってくるから。兄様はすぐ帰ってくるよ。ーーきっと」
そうしている時、野営を命じていたラーディア一族の近衛兵が騒がしくなった。
「敵襲! 敵襲ーー!!」
馬の手綱を握ったまま、リンフィーナは驚愕して声の方を振り返った。
敵襲ってーー!?
いったい敵って……。
戸惑う間もないほどの速度で、振り返ったリンフィーナの瞳に漆黒の軍団が一瞬その影を捕らえさせた。
『裏切り者の皇女を発見。
捕らえるか?
いや、裏切り者だ。
その首、一族への土産にしよう』
影が木立が揺らぐように自分を取り囲んでいくのを感じた。
殺される。
血の気が引いた。
ごくりと息を呑んで周囲の気配を探る。
ルージェが蹄で床を蹴り、異変を察知して繋いだ手綱を外せと言う。
ああ、そうだ。
萎縮している場合ではない。
このままではサナレスの愛馬まで自分の巻き添えになる。
リンフィーナは馬屋から出ようと踵を返そうとしたが、ルージェが自分の服の端を引っ張って、再度繋いだ手綱を離せという。
そっか、ごめん。
自由な方がお前は安全だよね。
リンフィーナは息を潜めながらも慌てて彼女を繋いだ縄を解いた。
すると不意をついてルージェは自分の腹を彼女の鼻先で持ち上げてきて、「ちょっと? ーー何っ??」と驚いている間に、気がつくと自分は彼女の背の上にしがみついていた。
そして景色が風に変質している。
「ルージェ、ルージェおまえ!?」
振り落とされないように彼女の立髪に顔を埋め、その首に抱きついて、リンフィーナは彼女が助けてくれようとしていることを悟った。
偽りの神々シリーズ紹介
「自己肯定感を得るために、呪術を勉強し始めました。」記憶の舞姫
「破れた夢の先は、三角関係から始めます。」星廻りの夢
「封じられた魂」前・「契約の代償」後
「炎上舞台」
「ラーディオヌの秘宝」
「魔女裁判後の日常」
「異世界の秘めごとは日常から始まりました」
「冥府への道を決意するには、それなりに世間知らずでした」
「脱冥府しても、また冥府」
シリーズの9作目になります。
異世界転生ストーリー
「オタクの青春は異世界転生」1
「オタク、異世界転生で家を建てるほど下剋上できるのか?(オタクの青春は異世界転生2)」
異世界未来ストーリー
「十G都市」ーレシピが全てー




