火蓋
こんばんは。
昨日は大きな地震で驚きましたね。
皆様は大丈夫だってでしょうか?
停電した地域は辛かったでしょうね。電気は今の生活には必須だもの。
※
サナレスと勝負ーー?
それは勿論そうしたいと思っていた。天才と言われる彼に、努力でそれを補ってきた自分が勝てるのかどうか、正々堂々と勝負したい。
けれど現状は、世界を巻き込んでラーディオヌ一族とラーディア一族の戦争になろうとしている。
自分は、決してサナレスを敵にしたいわけではなかった。
「遅かれ早かれ、いずれこうなったことでしょう」
心を見透かしたかのように、ヨースケは言った。サナレスは自分をラーディア一族に拘束しようとしたが、それは和平への道を探ってのことだと考えられた。だから彼は自分に、「今ラーディオヌ一族に戻って欲しくはないのだが」と吐息をついた。
彼の横顔が切なげで、その時の様子が一枚の絵画のように記憶に刻まれている。
「貴方が留守の間に、貴族の私兵と近衛兵、それから民の間からも志願した兵が、日々人数を増しているんですよ」
困りましたね。
そう言う割には、楽しそうにクツクツと喉を鳴らすヨースケは、悪魔というものがいるならそういった類の匂いがした。
「総帥代行! 我が王が戻られて、時は満ちました。我々はいつでも覚悟ができております」
ハプスブルク公爵家の若い貴族が、執務室の中に息石切って駆け込んでくる。ラーディア一族を敵視しているのは、歴史的因縁がある元老院側の年寄りが主流だった。それなのにいつの間に若い貴族まで、彼は掌握してしまったのか。
ヨースケは、表情を無くして執務室の机に手をつき若い貴族を見つめる私の脇に回り込んできて、畳み掛けるように息のかかる距離でつぶやいた。
「これは貴方の人力、魅力というものです。歴史上最年少で天道士に昇級され、美しい貴方は若い貴族の憧れでしたから。ーー貴方がラーディア一族のサナレスに愚弄されたこと、貴方の国民は見逃しませんでしたよ」
そう仕向たのは明らかにヨースケだとわかったが、彼を選任したのも自分で、迂闊さに息が詰まった。
「我が総帥、今ラーディア一族は昨今の火事で護りが手薄になっているでしょう。水月の宮の陣など、容易く落とせるかと思います。そこを拠点にして、一気にラーディア一族に攻め入る算段はできています」
名前すら知らない若い貴族は高揚しているようで、捲し立てるように言った。
そして恐ろしいことに、驚愕する自分を撃ち抜くような発言をする。
「総帥代行の命により、すでに第一陣の兵は水月の宮を取り囲み、今夜闇に紛れて攻撃を仕掛ける手筈になっております」
褒めてくれと言わんばかりだ。
アセスは机に手をついてかろうじて支えていた体をふらつかせ、執務室の椅子に腰を下ろした。
なんだとーー?
腰が抜ける感覚を始めて味わったのがこの瞬間だった。
リンフィーナ!
水月の宮には彼女がいる。
そこを自分の国の兵が、今にも攻め落とそうとしている。
こんな形でサナレスと一線交えることになるとは思いもしなかった。
ーー否。
サナレスが水月の宮に居たのであれば、そう簡単に水月の宮は落とせない。安心だ。
けれどサナレスは自分に、しばらく不在にすると言っていた。だから自分に留守を頼みたいとも言っていたのだ。
彼が不在の水月の宮ならば、すぐに陥落するだろう。
今のラーディオヌ一族の兵は殺気立っていて、彼女に危害を加えるかもしれない。
そしてリンフィーナ、彼女はきっと今度こそ自分を見損なう。
ーーそして彼女は、どうするのだろう……?
人の感情を読むことは得意ではない。けれど嫌悪されることだけは想像がついた。
偽りの神々シリーズ紹介
「自己肯定感を得るために、呪術を勉強し始めました。」記憶の舞姫
「破れた夢の先は、三角関係から始めます。」星廻りの夢
「封じられた魂」前・「契約の代償」後
「炎上舞台」
「ラーディオヌの秘宝」
「魔女裁判後の日常」
「異世界の秘めごとは日常から始まりました」
「冥府への道を決意するには、それなりに世間知らずでした」
「脱冥府しても、また冥府」
シリーズの9作目になります。
異世界転生ストーリー
「オタクの青春は異世界転生」1
「オタク、異世界転生で家を建てるほど下剋上できるのか?(オタクの青春は異世界転生2)」
異世界未来ストーリー
「十G都市」ーレシピが全てー




