それってこと、だから。
こんばんは。
今日は久しぶりに更新続けました。
反応が励みになりますので、ブクマや感想などお待ちしています。
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世界というものはそれほど慈悲深くおとなしいものではない。
つまり、どの国の王が優勢で、どの国が劣勢かなどという、人が慮る未来予想図で収まってくれるほど、簡単ではないことを、人は、ーー思い知らなければならない。
それは世界の意志というよりも、人の国の喧騒に起きた悪意が原因だと人々は人の世を振り返り、勝手に反省して平和を願う。
そんな過去を繰り返してきたと言うのに、また血を分けた兄弟氏族は諍いを起こそうとしていた。
ラーディア一族の後継であるサナレスが、ラーディオヌ一族のアセスに対し、いかなる理由があったとしても強行に国を侵略しようとし、彼等ラーディオヌ一族の動向を抑えようとした時、アセスが率いるラーディオヌ一族の民はラーディア一族を敵視したのだ。
「なるべく領土の民を傷つけるな。そして彼等の文化を踏み荒らさないように」
サナレスがラーディアの長としてそのように命じたとしても、末端の兵士には細かい指示が届いていたかどうか。
わずかな蓄えで買って増やした花の鉢植えを、ラーディアの兵士が傷つけたりはしなかったのだろうか。
そして逃げ惑うラーディオヌ一族の民に高圧的な態度で接しなかったのか。
長は全てを管理できるわけではないから、おそらくラーディオヌ一族の民はこう思った。
『我々は、かつての兄弟氏族に襲われ、国を奪われる!!』
誰もが、サナレスがラーディオヌ一族と友好関係を築きたいがために行われた行為だと、思う事はなかった。
アセスが帰ったラーディオヌ一族の民は、死んだものと報じられた王の帰還に、心を振るわせ歓声をあげた。
『よくぞご無事で!』
『よく死線を乗り越えられ、お戻りになりました!』
涙を流す民までいる。
ラーディオヌ一族の貴族から平民、また貧民層までラーディオヌ一族の民は、歓喜した。
戻ったアセス本人は戸惑うばかりだ。
貴族は自分の政権に不満を持っていたはず。
国民は裕福とはいえず、統治下にいてもその暮らしを嘆いていたというのに、これはいったいどういうことか?
なぜ今、この微妙でしかない情勢の中、これほど統率が取れているのだろうか?
『アセス王、万歳!』
『我が王族直系がお戻りになられた』
白磁の塔から顔を覗かせたアセスは、国民の熱狂振りに眉根をよせ、そのまま背後に控えるいっとき国を預けた異国の民を振り返る。
「おまえいったい……何をやった? ヨースケ・ワキ……?」
「何も」
注目を集める自分の脇に控えた彼は、薄くて大きな唇の端を片方だけ上にあげる。
何もしていないなどという事はない。
少なくとも自分は、これほど国民から求められる王ではなかった。単なるお飾りだった。象徴としての自分が、形式上ラーディア一族の捕虜のようになったとしても、これほど注目される事はなかったはずだ。
「ーー答えよ。お前が何もしていないというのは納得できない。いつの間に我が国民はこれほど感情を豊かにした!?」
我知らず声色に感情が混じる。
これはまずい。
非常にまずい状態だった。
国民に顔を出しながら、テラスの枠に置いた手がワナワナと震えた。それを悟られないように、鉄壁の無表情を装ったまま、アセスは自分の後方に居るものに言及していた。
「総帥アセス」
部屋の影からヨースケは少し喉を鳴らして笑っていた。
「もともとラーディオヌ一族の民は不平不満を募らせていた。そんなのはいつかは爆発する。だから私は常々改革すべきだと思っていたわけですが……」
今にも噛みつきそうな蛇のような言い回しで、ヨースケは持って回った言い方をしてきた。
「助言申し上げましたよね? 私はあなたにこの国を変えなければならないと。姫のために貴方も力を得たいと同意された。ーーけれど貴方はサナレス殿下より、いつも一歩出遅れる」
「それはどういう……!?」
国民の前に立って平静を装ってはいたが、彼に詰め寄って問い正したい衝動に突き動かされそうになる。さらに手のひらをぐっと握って、アセスは後ろを振り向かなかった。
「出遅れる貴方に国を任された間に、私は貴方に代わってラーディオヌ一族の国民の不満を、突然侵略してきたラーディア一族への不満へとすり替えて差し上げたのですよ」
元々アルス大陸でアルス家の正当な血筋を追われたラーディオヌ一族の民にとって、ラーディア一族を敵視させることは造作もない事だったと、ヨースケはアルカリックに笑った。
「ーーそんなことを、私は望んでいない」
荒ぶる感情を表面には一切見せずにヨースケを批判すると、「いえ」と彼は言った。
「貴方はサナレス殿下と勝負している。それはつまりそういうことなんだと、俺は思うから」
ヨースケは軽く笑った。
偽りの神々シリーズ紹介
「自己肯定感を得るために、呪術を勉強し始めました。」記憶の舞姫
「破れた夢の先は、三角関係から始めます。」星廻りの夢
「封じられた魂」前・「契約の代償」後
「炎上舞台」
「ラーディオヌの秘宝」
「魔女裁判後の日常」
「異世界の秘めごとは日常から始まりました」
「冥府への道を決意するには、それなりに世間知らずでした」
「脱冥府しても、また冥府」
シリーズの9作目になります。
異世界転生ストーリー
「オタクの青春は異世界転生」1
「オタク、異世界転生で家を建てるほど下剋上できるのか?(オタクの青春は異世界転生2)」
異世界未来ストーリー
「十G都市」ーレシピが全てー




