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脱冥府しても、また冥府  作者: 一桃
20/84

精霊の名前を取った者勝ち

こんばんは。

本日は少し書き進めます。

長編でありますので、ご興味持っていただけましたら、シリーズ最初からお願いします。

とはいえ、文体など簡素化する方向にしましたので、最初の方読みにくいですし、タイトル変えているので何が何の続きかも分かりにくいかと存じます。


後書きの使い方間違えている気もしますが、シリーズを順に紹介しています。後書きご参照ください。よろしくお願いします。

       ※


 最初の歩みは亀の一歩のようなスピードであったとしても、兄サナレスの側にいるのに相応しい人間になりたいと願わずにはいられない。立場が人を作るんだと言われたことはあったけれど、自分はただ兄サナレスの側にいたいだけで、それを成し遂げようとしていた。


 ラーディアの皇女だという立場なんて、正直どうでもよかった。

 だからラーディア一族の王都ダイナグラムを護りたいのではない。自分個人が、単に焦がれるサナレスという人のそばに居て恥ずかしくないために、彼が築いてきた王都を護りたいのだ。


『酸素がなければ火は燃えない』

 火は空気中の酸素と反応して燃える。

 サナレスの言っていた言葉を思い出して、リンフィーナは及ばない能力で、水での消化を諦めた。


 非力な風の地道士である自分ができることといったら、火が起こっている所に風を与えない、つまり酸素がない状態にすることなのではないだろうか。


 それならばできるかもしれない。

 火の力に、力で持って水を放出しても、自分の力は十分ではない。

 だから反対に火が燃える条件を消してしまえばいい。


 ふう。

 ギロダイの前で、リンフィーナは大きく深呼吸した。


『何事も、できるかできないかじゃないよ。やるんだ』

 いつもサナレスからの言葉がストンと心の中に落ちてくる。

 兄からの格言で本を一冊書けそうなくらい、それは自分の中に浸透している。


 やるんだ。

 いつも気持ちの中に熱量は消えていなかった。ダイナグラムが燃えていることを知ってすぐさまここに駆けてきた。サナレスが不在の今は自分がやるんだと、心の中で啖呵をきる。


 詠唱を口にせず呪力を使うなんて、自分には100万年早い。

 だから呪術の本を読んで得た、基本的な呪文を怠らない。リンフィーナは右手の人差し指と中指で五芒星に六字を切って、詠唱を唱えていく。


「風の精霊長ジルダーラ。その名を我が使役に置く者よ。その契約に従い、今ここに力を貸せ」

 精霊長なんて本来自分が使役できるような代物の精霊ではない。風の精霊は特に気まぐれな性質で、その長となればなおさら名前を取ることなんてできないはずだったが、自分はアセスの好意によってその精霊を支配下に置くことができていた。


 いや、支配下というのには語弊があるか……。


 風の精霊長ジルダーラは、契約通りリンフィーナの呼称に反応して自分の五芒星の中に入ってきたが、想像通り不機嫌を隠そうともせず抵抗してきた。


『なんだ? かの方の頼みで、仕方なく我が名を与えてやった小娘ではないか? 生意気にも我を呼び出し、いったい何用か?』

 あからさまに嫌そうだ。


 うん、ごめんなさい。

 だよね。貴方はアセスに使える意志があり、アセスにその全てを差し出しても、自分なんてちっぽけな存在に見向きもするはずがない高貴な霊だ。


 心の中で平謝りして恐縮するも、リンフィーナは願いを口にすることをやめなかった。

「貴方に、ダイナグラムを包む炎から、風の一切を退かせてほしい」


『我は風の精霊長ジルダーラ。その名を与えた相手は、ラーディオヌの宝玉、アセス・アルス・ラーディオヌ。彼のためなら喜んでこの身を捧げるが、ーー其方に我の名を与えたのは、過去にアセスの令があったから。何度も名を取られて召喚される言われはない』

 よって従わない、とジルダーラは首を縦に振らなかった。


『かの美しい太子は、立派に育ち、ラーディオヌの長にまで成長された。それでこそ我が使えるに相応しいが、お前はーー、単に彼にいっときのみ贔屓にされた力のない小娘。我がいつまでも従うと?』


 ですよねぇ。

 ーーですけれども。


「どんな事情があろうと、たとえそれがラーディオヌ一族の総帥アセスからの単なる気まぐれの慈悲であったとしても、お前は私に名前を明かしたの」

 リンフィーナも開き直った。


「精霊が術者に名前を取られるって、使役されても仕方がない。仕えるって、そういうことじゃない?」

 反発して五芒星の中で威力を増す風の精霊に向かって、リンフィーナは顎を上げて踏ん反り返った。


「つべこべ言わず、従うときは契約に従ってもらいますから」

 気に入らないなら、その報復は後日いくらでも受けてやるけれども、今は一刻を争うのだ。


『おまえーー! おまえ、おまえ!! この小娘が!!!』

 不平不満は右の耳から左の耳へ聞き流す。そういえば前に風の精霊長を呼び出した時だって、サナレスの消息を探させるという使役方法で、精霊長ジルダーラは面白く思っていないようだ。


 ごめん。荒いかも、人使いならぬ精霊使い、ーーアセスに全く関係ないのに、文句を言われても仕方がない。

 でも。


「うるさい。風の精霊長ジルダーラ、我が使役下にいる精霊よ。人が生きるために酸素は必要。でもそれ以外のダイナグラムの中の酸素を、風をおまえの力で全部消してちょうだい」

 後日の報復が怖いけれど、リンフィーナははっきりと命令した。

偽りの神々シリーズ紹介

「自己肯定感を得るために、呪術を勉強し始めました。」記憶の舞姫

「破れた夢の先は、三角関係から始めます。」星廻りの夢

「封じられた魂」前・「契約の代償」後

「炎上舞台」

「ラーディオヌの秘宝」

「魔女裁判後の日常」

「異世界の秘めごとは日常から始まりました」

「冥府への道を決意するには、それなりに世間知らずでした」

「脱冥府しても、また冥府」

シリーズの9作目になります。


 異世界転生ストーリー

「オタクの青春は異世界転生」1

「オタク、異世界転生で家を建てるほど下剋上できるのか?(オタクの青春は異世界転生2)」


 異世界未来ストーリー

「十G都市」ーレシピが全てー

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