甘えだけでは生きていくな
こんばんは。
過保護に育てられた人の独立って難しい。
そんな受難の鱗片が見える回です。
※
自分は地導士。それに属性は風なので、焼けていくダイナグラムと、地震によって統制がとれないほど割れ崩れていく水路を、単身、呪術の力でどうしていいのかわからなかった。
最初に試したのは神頼み。
つまり大神ジウスの神殿に駆けて行って、サナレスが今ラーディア一族の領地内に居ないことを伝えて、ダイナグラムをジウスになんとかしてもらおうと、安直に頼み込めばいいと思っていた。
でもそんな自分を、ギロダイが苦笑して踏みとどめる。
「水月の宮の惨事について総帥ジウス様が把握をしていなくて、その状態で彼に救助を求めるってのはまぁあり得ることだけどさ、ダイナグラム、つまり王都や宮殿が真っ赤に焼けこげていて、総帥ジウス様がそんなの見過ごすわけないんだよなぁ。王都だし。ーーてことは頼みに行ってもさ、ジウス様でもどうにもできないって考えた方が利口なんじゃない? そこまで考えていたからサナレス殿下は無理に王都の鎖国を解かなかったんじゃないのか?」
ギロダイの言うことは最もで、自分よりもサナレスの思考を冷静に口にした彼を前に、リンフィーナは横っ面を張られた気がした。
「ーーでもギロダイ、あなたはそんな私に反対せず、ここまで私をつけて、……いえ、追ってきたんでしょう? ーーダイナグラムに来れば、なんとかなると思ったからなんじゃ……」
ないのーー!?
強い口調になれず、リンフィーナは少し体を震わせていた。
「それはごもっとも。だってここには水月の宮に枯れた水資源が、未だ残ってるだろ?」
ギロダイが期待したのは物理的な事だった。
「未だってあなたね、ダイナグラムには兄様のひいた水路があって、それが……」
「尽きることなんて本当にないと思う?」
迷える言葉は、ギロダイに奪われて不安の中に消えていった。
「サナレスの姫様だから思うことをそのまま言おう。けれど命あるものが命をかろうじて繋ぐ世界には、完全でなく、ずっとたゆとうものなのだと私は知っている」
「かつて彼は人の国の王だったと、兄様に聞いているけれど、それは経験則からくる言葉なの?」
素直に問いかけるとギロダイは、こういう時高位の姫君は相手を声高に批判するものだが、つくづくサナレス殿下の妹なのだな、と軽く笑った。
「例え今声高に問いかけたとして、何が変わる? 私はダイナグラムの状況を変えたいし、水月の宮で発生している問題を解決したい。そうするためにどうすればいいのか、かつて繁栄を誇った人の国の王に助言いただきたいと思っているの」
兄が腹心としてそばに置く人間を間違えるわけがない。それだけは自信があって、勝手についてきたギロダイの存在を有難いと思っている。
伝えるとギロダイは、肩をすくめた。
「けったいな兄妹に関わったものだ……」
それは本心からくるため息だったと思う。ギロダイはずっとサナレスに従い、心酔したように彼に使えた。けれどサナレスのことを何処か特別視しており、サナレスを自分達とは違う存在ーーつまり神として認識してきた。
「私は人のやり方しか知らないのだが」
「それでいいよ。私は、ジウスを頼るより何の策もない。あなたに問いたい」
自分の決意を聞いたギロダイは、「だったら無理しなきゃなぁ」と片眉をあげた。
偽りの神々シリーズ紹介
「自己肯定感を得るために、呪術を勉強し始めました。」記憶の舞姫
「破れた夢の先は、三角関係から始めます。」星廻りの夢
「封じられた魂」前・「契約の代償」後
「炎上舞台」
「ラーディオヌの秘宝」
「魔女裁判後の日常」
「異世界の秘めごとは日常から始まりました」
「冥府への道を決意するには、それなりに世間知らずでした」
「脱冥府しても、また冥府」
シリーズの9作目になります。
異世界転生ストーリー
「オタクの青春は異世界転生」1
「オタク、異世界転生で家を建てるほど下剋上できるのか?(オタクの青春は異世界転生2)」
異世界未来ストーリー
「十G都市」ーレシピが全てー




