表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
脱冥府しても、また冥府  作者: 一桃
12/84

次に起こること

こんばんは。


新年があけ、やはり描くのが好きなので描いていこうと、不定期ながら思います。

読んでいただき、反応いつもありがとう御会います、

        ※


 食糧難は死活問題。

 だからあの場で出した結論は致し方ない。


 そう思うけれども。

 何度もそう納得しようとしたのだけれども。


 あの時サナレスとの会話を打ち切ったことを、リンフィーナは死ぬ気で後悔していた。

 兵士数名を連れて野鳥を射落としに森に出て、帰った時にはもう、サナレスがいなくなってしまっていたからだ。


「後で話そうって言ったのに!」

 リンフィーナは唇を噛む。射落としてきたとり数羽と天秤にかけた時、リンフィーナはなんとも言えない脱力感を感じてしまった。


 食料は大事だから動いたのだから。

「せめて帰りを待っていてくれてもよかったのに……」

 どうしてこうもサナレスは自分を取り残し、心配ばかりかけるのか。


 心配の種はもう一つあった。

 アセスのことだ。

 彼がラーディオヌ一族に戻って半月は経つ。連絡すると言っていたが音信不通のままで、こちらも気が気ではない。


 けれど何事にもゆとりというものが必要で、心配しているだけでは現状自分達は生きていけなかった。

 サナレスが何を思っているのか?

 アセスはどうしているのだろうか?

 頭の片隅でずっとそれを思うけれど、考えている暇すらない毎日だ。

 

 満足な食糧がなく、生きていかなければならない時、ーー生存本能のみが優先事項になる。

 心配事で心が脆弱になっていても、動き続けていなければならず、ありがたい事に自分は平静を装えていた。


 まず最初に自分達を震撼とさせたのは、食糧不足に続いて水不足だった。


「水が出ない……」

 どれだけ蛇口を捻っても一滴の水も出ない。


 あれ?

 蛇口ってひねれば出るんじゃ?


 そんな経験をしたことがないリンフィーナは驚愕し、蛇口の中を馬鹿みたいに下から覗き込んだくらいだ。

 サナレスが完全な水路を確保してきた水月の宮において、予想だにしないことが起こってしまった。


「姫様、どうしましょう? サナレス様が不在のこんな時に限って……」

 養育係双見のタキが途方にくれている。

「故障かもしれないけれど、修理できる当てもないし……」

 頬に手を当て、困り顔だ。


 水が出ないなんて、ライフラインが途絶え、日常がくつがえされる。


 水月の宮には現在ラーディア一族の兵士、サナレス直属の近衛兵が三百人ほど滞在している。食糧調達班の自分達がこの人数分の食糧を確保したとしても、水がなければ直ちに困窮する。


「食材も洗えないし、何も作れません……」

「湖の水を汲んできたら何とかなるかな。ちょっと行って見てくる」


「ーーいえ、先ほど近衛兵の方達に見に行っていただきましたが、干からびています」

 え?

 だったらタキ、それは故障とかじゃないんじゃ??

 リンフィーナはにわかには信じられずに絶句する。


 水位が下がることがあっても。湖の水が枯渇するなんてあり得ないことだった。

 水月の宮からはそう遠くないので、実際に状況を確認したくて足を急かせる。


 まさかあれほど大きな湖が、ここ数日で簡単に枯渇するなんて思いもしなかった。


 行ってみてその様子に、リンフィーナは愕然とした。

 なんでーー?


 水自体が無くなってしまった事実を目の当たりにする。


 一時的な断水ではないらしい。自分が飛び込んで泳いだ湖が跡形もなく無くなっている。


 サナレスが引いた地下水脈は温水ーー、良い効能がある温泉となってずっと館に供給され続けてきたが、このところ温水は時折途絶えることがあったのだけれど。


 水瓶であった湖の水までが枯れるなんてーー。


 地層変動によって生活は変わることがあると、先日この地を去る前にサナレスは言っていた。

 けれど地層変動があったとしても、建物の屋外にいればある程度危険は防げると言われ、私たちは地震という地面が震える現象の度に、屋外に避難してきた。


 でも兄様。水が出ないのはもう、内側から来る災害だよ。

 リンフィーナは兄が用意してきた生活のライフラインが断たれたことに不安を覚えた。


 顔には出さずに、前向きな言葉だけを口にする。

「大丈夫。何日か分はね、地下貯蔵庫に水と食料の備蓄があるから」

 リンフィーナはそう言って、タキとラーディアの近衛兵の不安を取り除いた。


「姫様……」

 大風呂敷を広げた去勢に対して、双見である養育係のタキが、労わるような視線を向けてきた。そういった類いの気遣いの視線を、リンフィーナは針のむしろに感じたが、神経を鈍くして受け止める。


「大丈夫、タキ。兄様はこの事態を予測しておられ、そして対処法を伝え残されたの。だからーー」


 ドーーッーーン!!


 口にする内容を忘れてしまうほど、体に響いてくる恐怖感は大きかった。


 また地震ーー?

 慣れたとはいえ、しばらくは何か身を起こす支えを這いつくばって探せないほど、自然が気まぐれに起こしてくる接触は、人の恐怖に訴えてくる。


 タキは柱に寄りかかり、自分はテーブルに手をついて椅子の横に尻を下ろし、荒ぶる周囲の地震という現象に注目した。

おやすみなさい。

偽りの神々シリーズ紹介

「自己肯定感を得るために、呪術を勉強し始めました。」記憶の舞姫

「破れた夢の先は、三角関係から始めます。」星廻りの夢

「封じられた魂」前・「契約の代償」後

「炎上舞台」

「ラーディオヌの秘宝」

「魔女裁判後の日常」

「異世界の秘めごとは日常から始まりました」

「冥府への道を決意するには、それなりに世間知らずでした」

「脱冥府しても、また冥府」

シリーズの9作目になります。


 異世界転生ストーリー

「オタクの青春は異世界転生」1

「オタク、異世界転生で家を建てるほど下剋上できるのか?(オタクの青春は異世界転生2)」


 異世界未来ストーリー

「十G都市」ーレシピが全てー


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ