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珍々道中記!  作者: 猪子馬七
第二部 傾城傾国の妖狐
17/18

第17話 Mk-II

半年ぶりに再開だぜ!

(๑و•̀ω•́)و


賞に応募する為に第二部執筆開始しました。皆さん、応援してねー♪



 大陸でも五指に入る程の人口の多さを誇る楽陽王国。その王都はいつにも増して賑わいを見せていた。


「さぁー今日は魚が安いよ!はい、そこの奥さん!寄ってってね!」


「はい、解体完了!捌いたばかりの新鮮な豚肉、早いもの勝ちだよ!」


「野菜は鮮度が大事だけど、日持ちさせるには漬物が一番!保存食にどうだい?」


 そんな賑わう楽陽王国の上空にて、ピンクの雲がフワフワと浮いている。そして二つの影が下界を見下ろしていた。


「里華様。どうやら目的地の楽陽王国に到着したようですよ?」


 処女のみが乗れる生娘斗雲(きむすめとうん)に乗った醜女、仙女の福珍が里華に伝える。


「あら、中々の賑わいね。民衆の反乱が起きた時の東上皇国並みの賑わいだこと」


 福珍同様、生娘斗雲に乗れる条件を満たした処女であり、傾城傾国の美女である里華。その美貌によって国を傾かせたのは記憶に新しいが、まるで他人事の様に語っている。


「あの、里華様…自身の面子の為に国を崩壊させておいて、それと一緒にするのはどうかと思いますよ?」


「別にどこの国も一緒でしょ?私が扇動すれば滅びの一途を辿るんだから」


「ま、まさか…この国も同じ様に滅ぼそうとするんじゃ…!?」


「まあ、この私の逆鱗に触れる国なんて滅びた方がイイでしょ?東上皇国みたいにね」


「ダメですよ、そんなの!この国には私の夫になるべき、イケメン三兄弟がいるんですからね!」


「そんなの知らないわよ。まあ、その三兄弟が私に喧嘩を売る様な馬鹿な男達じゃないって事を祈っておくことね」


「ううう…そんな殺生な…でも、里華様のお力添えが無ければイケメンとの合体は不可能だし…せめて穏便に…穏便に願います…」


「まあ、何度も国を滅ぼす程の暇人じゃないからねぇ、この私も」


「そうですよ!私達にはイケメンとの合体という崇高なる目的があるんですから、国なんか滅ぼしている場合じゃ…」


「はいはい、分かったわよ。まあ、私は別にイケメンとの合体なんか興味は無いけどね」


「そうやっていつでも処女を捨てられる余裕があると、逆にいつまで経っても処女のままですよ?不老妙薬で永遠の若さも手に入れたし、気が付いたらカビが生えてて使い物にならなくなってたり…」


「なるかー!カビが生えてるのはあんたでしょーがー!」


「わ、私はちゃんと毎日洗ってます!イケメンにいつ、襲われてもいいようにメンテナンスは完璧ですから!」


「その完璧なメンテナンスが未だに報われてないからいつまでたっても、処女なんでしょーが!人の事をとやかく言ってる暇があったら、自分の処女の捨て方を模索しなさいよ!」


「だからイケメン三兄弟のところに来たんじゃないですか!こんな無駄話なんかしてないで、早くイケメン三兄弟のところに向かいましょう!」


「そうね、それじゃあ早速…」


「早速?」


「ラーメンでも食べに行きましょう!」


「ズコー!」


「ズコーじゃないわよ。とっととこの辺りで1番美味しいラーメン屋さんを探すわよ!」


「ちょっと待って下さい!何でこの話の流れでラーメンを食べるって話になるんですか!?」


「腹が減っては戦が出来ないってのと、イケメン三兄弟に対する情報収集。あとは御当地ラーメンを食べたいからよ。他に理由なんかある?」


「いや、そう言われたらそうですが…でも、里華様みたいな上品な御方がラーメンなんか食べるんですか?」


「当然でしょ?自宅ではいつも小麦粉から麺を叩いて伸ばして、ラーメンを作っては食べてるんだからね!」


「そう言えば里華様は料理の腕もプロ並みでしたね」


「そうよ。美味しいラーメンぐらい、自分で作れるの。でもね、御当地ラーメンってのは家で作るものじゃないから!そう、旅先で味わってこその、御当地ラーメン!」


「はあ」


「でも、お店で鼻水をすすりながらラーメンを食べるってのは、傾城傾国の美女としての体裁があるでしょ?だから…」


 そう言うと里華は変化の指輪を使用して福珍に変身。


「ほら、この姿ならどんなに鼻水をすすっても問題無いでしょ?」


「まあ、確かに、私の姿ならそうですが…なんか釈然としませんね…」


「ふっふっふっ!これで気兼ね無くラーメンが食べ放題!」


「でも、里華様…前に美ボディを維持するのに医食同源やら、何やら言ってましたよね?ラーメンみたいに不健康なモノをそんなに食べたら…」


「ああ、私はどんなに食べても太らない体質だから、問題無いわよ」


「前と言ってる事、全然違うじゃないですか!薬膳やら何とか言ってた、アレは一体!?」


「本物の美女ってのはそーゆーモノなのよ。どんな矛盾も我儘も、突き通してこその美女なのよ!」


「この人、本当にメチャクチャだ!いや、でも、世の中の美女って大概こんな人達ばかりかも…」


 里華に振り回される福珍。だが、美女とはこういうモノなんだと諦め、素直に美味しい御当地ラーメン屋さんを探し始めるのであった。







 楽陽王国の商店街にて、二人の醜女が歩いている。一人は福珍。もう一人は福珍に化けている里華。

 側から見ると同じ顔をした醜女が並んで歩いているので、二人が道を歩くだけでざわめきが起きていた。


 だが、そんな周りの目など気にする事もなく、福珍に扮している里華が鼻歌まじりに聞いてくる。


「この先にあるのね、美味しい御当地ラーメン屋さんは?」


「はい、上空より確認したところ、この先の飯店が一番長蛇の列を成しているお店でしたから、恐らく一番美味しいお店かと。ただ、ラーメンの専門店では無いので、ひょっとしたらチャーハンとかの人気店の可能性もあるかも知れませんよ?」


「まあ、それでも長蛇の列ができるお店なら、ラーメンが不味いって事はないでしょ?さあ、並ぶわよ!」


 福珍と里華、二人は人気の飯店の列に並び…そして一時間後、ようやく店内へと案内された。


「はい、二名様ですね…って、あら双子さんですか?」


「はい、双子です。私は福珍で、こちらが…」


 店員さんに挨拶する福珍の横で、里華も同じ様に挨拶を交わす。


「うむ!私が双子の片割れ、福珍 Mk-II(マークツー)!」


「ま、 Mk-II(マークツー)!?」


 驚く店員さんであったが、余りにも堂々としている福珍 Mk-II(マークツー)の態度に、色々と事情があるのだと察し、それ以上のツッコミは入らずに、空いているテーブルへと案内してくれた。


 テーブルに着くと、すかさず福珍がツッコミを入れてきた。


「里華様!何なんですか、 Mk-II(マークツー)ってのは!?」


「福珍の双子の片割れなんだから、 Mk-II(マークツー)でも問題無いでしょ?」


「いや、普通に名乗ればイイじゃ無いですか!」


「え?イヤよ、そんなの。この姿で里華って名乗ったら恥ずかしいじゃない?」


「… Mk-II(マークツー)って名乗る方が私は恥ずかしいと思いますが?」


「私は気にしないから大丈夫。それより、早くメニューを決めるわよ」


 福珍と Mk-II(マークツー)、二人は店員さんを呼び、『当店オススメ!』と書かれた餡かけラーメンと餃子のセットを注文するのであった。







「ふう…中々、美味しかったわね」


  Mk-II(マークツー)こと、里華は人気の餡かけラーメンに舌鼓を。もちろん、鼻水を啜りながらの完食。御満悦だ。


「確かに、これなら長蛇の列を成すのも分かります!あ、店員さんに食べ終わったら早く帰れって顔をされてますよ!」


 福珍が店員さんの顔色を伺いながら、退店を促す。


「あら、そうね。本当は店員さんと無駄話でもして情報収集をと、思ってたけど…人気店だとそうも言ってられないわね」


 店の混み具合から長居は無用と、二人は急いでお店を後にした。



 お店を出て、少し歩くと里華が次のお店を探し始める。


「さて、デザートはどこで食べようかしら?あまり混んでるところは避けたいのよね」


「え?まだ食べるんですか?あんなに食べたのに…」


「デザートは別腹よ!それは美女でも醜女でも一緒!もちろん、万国共通!いかなる民族もデザートの前では別腹になるモノなのよ!」


「それでその体型を維持できるんだから、本当に不公平な世の中…」


「まあ、確かに不公平よね。さっきのお店だって、いつもの姿だったらどんなに混んでたって、退店を促される事なんか絶対にあり得ないところだったし」


「ええっ!?そうなんですか?」


「当たり前でしょ?美女が来店したらいつまでも居座ってくれって懇願されるものなのよ?だから今回みたいに『食い終わったら早よ帰れ』って店員さんの態度は、新鮮で有意義だったわ。情報収集は出来なかったけどね」


 そんな話をしながら、二人はそこそこ客のいる茶屋を見つけ、お茶菓子を注文。二人の元にお茶と大福が運ばれて来た。


「あら、これも新鮮な体験ね。まさか共喰いを経験できるなんて」


「なんで大福を食べるのが共喰いなんですか!?」


 里華の発言に憤慨する福珍であったが、二人が大福を頬張る姿は確かに共喰いを思わせる姿だった。


 大福を食べ終え、お茶を啜る里華。一息つくと、感想を述べる。


「取り敢えず、今分かってる事は…イケメン三兄弟が治めているこの国は、善政による統治と見て良さそうね」


「え?何で、そう言えるんですか!?」


「さっきのお店で人気料理が餡かけラーメンだったでしょ?」


「あ、はい。美味しかったですね」


「餡かけラーメンは寒い北国が発祥の料理なの。冷めにくくする為の工夫でね。それと餃子に含まれてた豚肉、イベリの子豚の肉を使っているわ。西方にしか生息しないイベリの子豚のね」


「それが善政とどう、関係してるんですか?」


「悪政だと国は閉鎖的になるのよ。独裁者が治める国ってのは特にね。外の国との繋がりがあると、自国の独裁が異常だって認識し易くなるし、逃げ出す国民も増えるからね」


「なるほど」


「だから悪政とは逆に、善政をする国の場合は他国の文化を自国へと向かえ入れるから、閉鎖的な独裁国家とは逆に、開放的なのよ。この大福に使わている小豆も、極東の倭国で採れた丹波超納言だし、食文化を見ればその国の政治を知る事にも繋がるのよ」


「それじゃあ、イケメン三兄弟は見た目だけじゃなくて性格もイイって事ですね!」


「性格がどうかは知らないけど、(まつりごと)に関しては有能なんじゃ無いかしら?まあ、東上皇国の劉清も善政だったけど、死んじゃったからねー」


「里華様のせいで殺されたんじゃないですか!他人事みたいに言わないで下さい!」


「まあ、要するに…どんなに有能でも、美女に狂えばその国は滅びるって事。ひょっとしたら国の繁栄の為にあえて醜女と合体するって文化が王族にあるなら、福珍にもチャンスはあるかもね?」


「えええっ!?まさか…そんな…醜女だからモテるなんて事が…」


「バカねぇ…冗談よ、冗談!そんな事、有るワケ無いでしょーが!」


「いや、だって…」


「いい?王族ってのは最高権力者だから、どんな異性とだって合体は可能なの!だからいつの時代も美男美女と合体して、その子孫は美男美女になるってのが一般的。イケメン三兄弟も、もれなくそういう環境で育ったからイケメンなのよ。醜女と合体する文化なんかある訳無いでしょーが!」


「里華様…冗談にも程がありますよ…私、かなり本気にしたのに…」


「まあ、醜女と合体する文化は無くても、これからそう言う文化を育む様にするのが、今回の目的だからね。イケメン三兄弟の噂話でも聞けたら対策は練れるんじゃないかしら?」


 そう言うと里華は暇そうな店員さんに話しかけ、情報収集を開始するのであった。




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