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第6話  冒険者ギルド

 迷宮都市ケルンは城郭都市じょうかくとしだ、町を壁で囲ってるやつ。都市の中は関西のように碁盤状ごばんじょうになっていてかなり綺麗に整っている。

 門からまっすぐ中心に向かう道を俺は冒険者ギルドに向かい歩いていた。

 

「本当に異世界に来たんだなー」

 何回目かわからない感慨にふける。


 あ、獣人! ケモミミですよ! ケモミミ! 獣人を見れただけでも異世界に来た甲斐があったというもんですよ。初めて見た獣人が男だったのは残念だけど……

 それでも男がいるという事は女性もいるはずだ。

 俄然生きる希望が湧いてきた。はやくケモミミ娘に会いたい。



「おっ、あれかー」

 しばらく歩くと都市の奥に壁が見えてきた。恐らく、あの向こうに迷宮が有るのだろう。魔物が出てこないように壁で囲っているようだ。

 結局ギルドに着くまでにケモミミ娘を見ることはなかった。ちくしょう。

 冒険者ギルドは壁のすぐそばにある。確かに2,3階建ての建物が多いこの都市では5階建ての建物は確かにでかく感じる。

 いやはや冒険者ギルドさんは儲かっているようだ。

 その1%でも俺にわけて欲しい。


「さて冒険者ギルドに着いたわけだけど」

 ……入るのが怖い。

 だってさ、テンプレで言えば絡まれるんだろ? 冒険者歴は長いけど上に行けずに燻ってるおっさんに。こちとら喧嘩もしない一般人だぞ? 絡まれたくない!

 この都市は西洋風でみんな身長高いし、男はいい感じに筋肉付いているしさ。身長172の俺なんて一発殴られただけで死ぬと思う。

 いやステータス見る限り大丈夫だとは思うけど、怖いものは怖いんだよ!


 しかし、入らないとマジで死ぬ。腹減った。

 とりあえず、魔法がいつでも打てるように準備しとくか。


「深呼吸しよう――よし!」

 気合いを入れてドアに手をかける、ドアもでかい。

 しっかりと油がさされているのか音はそれほどならなかった。


 冒険者ギルドの中はかなり広く、受付のような場所と酒場が併設されていた。酒場ではまだ日も暮れていないのに酒を飲んでいる者がチラホラいる。

 いいなぁ、俺も飲みたい。っていかんいかん。受付に向かわないと。

 受付はいくつかあるけど、座っている人はみんな女性のようだ。


「――っ、あれは!」

 俺はついに見つけた。人類の秘宝。日本にいたころは憧れても、恋い焦がれても見ることができない者を。

 ケモミミ娘を、俺は見つけた。

 感極まるとはこういうことを言うのだろう。

 女神様、俺異世界に来れて良かったよ。


 もちろんケモミミ娘の受付に向かう。他に向かうなんて選択肢は無い。

 このギルドの受付には一人しかケモミミ娘はいないようだ。少し残念。

 外で男の獣人を見た時にも思ったけど、獣人って結構ダボッとした服に着てるんだよな。あれ絶対しゃがんだときとか見えるだろ、何がとは言わないけどさ。

 

「すみません、冒険者登録ってここでできますか?」

 ケモミミ受付嬢さんに声をかける。よくよく見るとイヌ科の耳のようだ。すばらしい、これからはイヌミミさんと呼ぼう。


「はいこちらでできますよ、ご新規ですか?」

「そうです」

「かしこまりました、登録料は銀貨1枚です」

「はい、これで」

 よかった~残りの銀貨とっておいて。屋台の誘惑に負けなくて良かった。

 でもあのホットドック、美味そうだったな……


「それではこの機械の一番上に触れてください」

 イヌミミさんが受付の奥から機械を持ってきた。

 一番上は水晶になっている。言われた通り触れる。

 ガタガタと機械が動き出し、機械の下の部分からカードが出てきた。

「ユータさんですね、職業は賢者――お若いのにすごいですね。こちらギルドカードになります」

 異世界の謎機械すげぇ! あれだけで名前とか職業とかわかるの? 

「ありがとうございます」

 カードには

 ユータ 人族 20歳

 職業 賢者

 ギルドランク F

 と書かれていた。


「基本的なことをご説明しますね。ギルドカードを紛失してしまった場合は再発行に大銀貨1枚かかりますのでお気を付けください」

 以外に高いな。登録の10倍もかかるのか。


「ランクはFからSまでありまして依頼を達成するなどギルドに貢献すれば上がります。受けられる依頼はランクの一つ上の依頼までとなります。依頼に失敗されますと場合により罰金や降格処分が科せられる場合もありなすのでご注意ください」

「課せられない事も有るんですか?」

「はい、例えば依頼より圧倒的に討伐モンスターが多い場合や、依頼ランクより2つランク上の魔物が現れるなどの場合には罰則などはありません」

「なるほど」

 そういうものなのか。


「説明を続けますね、ランクが上がると支援制度で借りられる金額が増えたり、都市への入場料が免除になったりと特典もありますのでぜひ上を目指してください。何かご質問はありますか?」

「あ、迷宮に潜りたいのですが、入るための制約とかってありますかね?」

「制約はありませんが、迷宮は厳しいところですのでギルド主催の講習を受けることをお勧めします」

 そんな良いものが有るのか! これは受けるしかないだろう。

 だがその前に金だ! 金を借りないと。


「支援制度でお金を借りたいのですが……」

 美人なイヌミミ受付嬢さんにお金がないと言うのは恥ずかしかったが、背に腹はかえられない。こんな事なら他の受付に行けば良かった……。

 ああ、貧乏が憎い。


「かしこまりました、初期ランクFでは大銀貨1枚まで借りることができますが、いかがされますか?」

「大銀貨1枚でお願いします」

 宿に泊まる必要が有るので限度額いっぱいまで借りることにした。


「大銀貨1枚ですね、返済期限は一月後。返済時に5割の利息が付きます。返済するまで依頼以外で壁外に出られなくなるのでご注意ください」

 一月で5割の利息は法外だけど、この世界では普通なのだろうか。しかしそれでも借りるしか俺に選択肢は無い。

 父さん母さん、異世界で俺は生まれて初めて金を借りました。

 借金と借金の保証人になることだけはやめろと言われてたけど、しかたがない。

「わかりました」

「ではこちら、大銀貨です」

 大銀貨を一枚を受け取る。 


「あと迷宮の講習も受けたいのですが」

「はい、こちらで受け付けていますよ。講習料に銀貨一枚かかります。次の講習は明後日ですね、予約されますか?」

「お願いします」

「では名簿に追加しておきますね、明後日は朝6つの鐘が鳴る前にギルドに来てください」

「朝6つの鐘ですね。わかりました」

 全然わからん。朝六つて何時よ? まあ、後で調べよう。

 大銀貨を渡し銀貨9枚を受け取る。金が減るのはつらいがこれは必要経費だろう。


「他に質問はございますか?」

「いえ、大丈夫です。ありがとうございました」

 外が暗い、もう日が落ちたようだ。さっさと宿を探そう。


 宿を探しに受付を離れようとした俺だったが、肩を掴まれ止められる。


 やばい、他の冒険者に絡まれた!? てかいつの間にそんな近くに来たんだよ。全然分からなかったぞ!


「すこし待ってもらえるかな?」

 若い女性の声だった。恐る恐る声のする方向を向くとそこには、


 金髪エルフの女性がいた。


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