第25話:事実は小説よりも奇なり
この小説は嘘のようなのが実話で、実話のようなのが嘘で、実話のようなのが実話とどれが実話かは分かりません
「学校の七不思議探しません?」
亜紀は突然不可思議な事を言った
「七不思議探して知ったら死ぬんじゃなかったけ?」
達也は怪訝な顔をした
「じゃあ、六個まで探すとか」
「六個まで探す意味が分からないし、六個まで探しといて偶然に七個目見つけちゃったら死ぬじゃん」
そうである
授業に三回までなら休んで良いと言われて三回さぼった時、四回目高熱が出て休んでしまって単位が取れない事だってあるのである
だから、授業にはぎりぎりまで休むんじゃなくて、毎回出た方が良いのである
「そんな危険をさけてちゃ何もできませんよ」
「六個まで探しといて止めるって言う方が危険をさけてると思うけどな」
「だから、七個全部探して死ぬかどうか確かめましょう」
「俺はこんな若い身空で死に急ぎたくはないな」
「それは達也さんが苦しいと思ってなくて、幸せだからですよ」
「意味合いが違うと思う
それは自殺の話しであって、わざわざ呪いとかで殺されにいくのとは違うと思う」
達也は苦笑いである
「とか何とか言って、本当は怖いでしょ
だから一々否定するんですよ」
「ファイナルアンサー?」
炎夏はどこからかやって来た
「うーん
テレフォン使います」
「テレフォンって誰に電話するんだよ」
達也がすかさず突っ込む
「達也さんで」
「俺?
普通本人にしないよ」
「もしもーし
そこに誰がいますか?」
炎夏が手をグーにして耳にあてた
「え?
電話してる設定なの?
しかも俺って分かってるじゃん」
「これから亜紀さんが質問しますので、30秒以内に答て下さい」
「達也さんが学校の七不思議を探索する事を一々否定するのはなぜでしょう?
a.怖いから
b.びびりだから
c.小心者だから
d.ヘタレだから
さあどれ?」
「言葉は違うけど、意味はほとんど同じじゃん」
「終了」
炎夏はそう言って、電話を切った振りをした
「うーん
じゃあ、50/50使います」
亜紀は悩みながら言った
「どれ消したって一緒でしょ」
「コンピュータが二個選択肢を消します
テンレン
おおっと
cとdが消えました」
「aとb完璧意味同じだよ」
さっきから一々達也は突っ込んでいるがことごとく無視されている
「うーん
悩みますね
じゃあ、オーディエンス使います」
「これで全てを使ってしまったー」
炎夏はどこぞのサッカー解説者のように熱い
「どうやってオーディエンスするんだよ」
「今コンピュータに集計結果が出ました
aが51%でbが49%とチョコレートケーキを食べながら、オレンジジュースを飲むぐらい微妙だー」
あるサッカーの解説者と同じように時間が経つとうざくなってきた
「意味分かんねえよ」
無視されながらも一々突っ込むとは、なかなか律儀な男である
「じゃあ、bで」
「ファイナルアンサー?」
炎夏はさっきのテンションから一転して重々しい口調に変わった
「ファイナルアンサー」
亜紀がそう言うと、ギネスブックに載った司会者ばりに凄い間を作っている
まだなお亜紀の顔をじーっと見ている
「正解
賞品は達也との一日デート権です」
「え?
本当ですか?
凄い嬉しいんですけど」
「勝手に俺の日常を売らないでくれ」
「いつにしよっかな?」
亜紀は嬉しそうに悩んでいる
「え?
もうデートは決定なの?
俺に拒否権はないの?」
「被告人が裁判員裁判を拒否できないように、達也にも拒否権はありません」
なぜか炎夏はそう断言した
「人権侵害で訴えるぞ」
「そんな事したら、最強の弁護士を雇って、社会的に抹殺してあげますよ」
と亜紀が言った
「そんな弁護士を雇う金がどこにあるんだよ
お前は政治家か金持ちの娘かよ」
「そんな事しなくたった大丈夫だって
ちょっと噂流せば、すぐ社会的に抹殺できるから」
炎夏は平然と言った
「あっ
そうですね」
「いや納得しちゃダメだからね
それ犯罪行為だからね」
「黒板に達也さんのない事やない事書きますか?」
「いやいや
ない事やない事って?
普通ある事ない事じゃない?」
指摘する所が間違っている
「それだと誰が書いたか分かるんじゃない?」
「違う教室に書きに行けばいいんじゃないですか?
誰もいない時に」
意外と計画的である
「手紙ばらまいた方が皆にしれ渡るんじゃない?」
「でもばらまくんだったら、コピー代がかかるじゃないですか?
お金をかけずに抹殺したいですから」
「凄いせこいぞ、それ」
せこくなかったら、良いのだろうか?
「生徒会室にコピー機あるから、それ使えばいいんじゃない?」
「ああ
そうですね
でも何枚ぐらい刷ればいいんですかね?」
「うーん
50枚ぐらいでいいんじゃない?
その手紙を友達とかに見せると思うから」
「合成写真とかも作りましょっか?」
「お前そんな技術持ってるのかよ」
合成写真はちょっとしたぐらいなら、初心者でもできるが、ある程度以上をしようとすると、それ相応の技術が必要だ
「でもどう言うの作る?
やっぱり面白いのがいいよね?」
「絶対いじめだよ、それ
マスコミに訴えたろか?」
「何で学校じゃなくてマスコミなんですか?」
亜紀は首を傾げながら聞いた
「わあー、やっと話しかけてくれたよ
こんなに無視されるのが辛いとは思わなかったよ」
達也は苦笑いをしながら半ば棒読みで言った
マ○ーテレサいわく、愛の反対は憎しみではなく、無関心だそうだ
「いつまで言うのか見てて面白かったよ」
「うん
お前は最低だ」
「だから、なんで学校じゃなくてマスコミなんですか?」
三人は話しが噛み合っているようで噛み合ってない
「学校や教育委員会にいたって揉み消されるかもしれないだろ
教師に言ったって無駄だからな
マスコミは全盛期は過ぎたが、まだ学校のいじめに対しては敏感だからな
マスコミに言った方がいじめが世間に知れ渡る可能性が高い」
「でもそう言うのって後で仕返しくらうんじゃない?」
「その為に社会的に抹殺するんですよ
そして、いじめをしたのを自殺に追い込む」
「それって殺人だろ」
「いじめをした奴なんか死んでいいんですよ」
「確かにそんなのは死んでもいいのかもしれないけど、もし殺したら警察に捕まるよ
そんなの奴の為に捕まるなんて馬鹿らしいだろ」
「警察にばれなきゃ良いんだよ」
「そんな警察は甘くないと思うがな」
殺人の検挙率は戦後から現在まで90%を超えているつまり、人を殺せば、ほぼ確実に捕まると言う事だ
「達也さんってびびりなんですか?」
「何か話しがずっと前に戻ったー
……はあ、お前と話すと疲れるわ」
達也はため息をついた
話しがころころ変わるので着いていけないのだろう
「達也って凄いびびりだよ
だって、お化け屋敷に二人で入った時、幽霊の格好した人が出て来たら、びっくりして先に走って行っちゃったから」
炎夏は楽しそうに言った
「女の子を置いていくなんて最低です」
「しょうがねえだろ
怖いもんは怖いんだから
それに大丈夫だ
炎夏なら幽霊だって倒せるから」
「幽霊って肉体ないんだから、倒せないと思うけど」
「大丈夫
炎夏は霊力持っているから」
「え?
霊○とか撃てるんですか?」
「私は漫画の登場人物じゃないし
それに選ぶのが古い」
「精神統一すればできるんじゃない?」
「ああー
大昔の信者とかが神を見たり神の声を聞いたって言うのは麻薬見たいなの吸ったり、厳しい修行をし過ぎて聞こえるようになるらしいですよ
要は幻覚って事ですね」
「微妙に話しがずれでるよ」
炎夏はそう言った
「話しがずれてるのはいつもの事ですから大丈夫です」
「大丈夫がどうかは知らないが、確かに話しがずれるのはいつもの事だな」
「物事は色んな所から攻めないと」
「使い方間違ってると思うよ」
炎夏はそう指摘した
「使い方なんてその時代事に変わるんですよ
全然を肯定で使っていた時代もあるんですから」
今の若者は普通に使っているが
「あ、もうすぐチャイム鳴りますから行きますね」
そう言って亜紀は教室を出て行った
「あいつに口で勝てないと思うな」
「それは男の場合でしょ
私なら勝てる」
炎夏は手を堅く握りしめながら言った
「まあ、確かに男より女性の方が口がたつけどさ」
基本的に言えば、男より女性の方が口がたつ傾向にある
そうすると、男は女に口で勝てないので、暴力を振るう
「さっきは様子見だったけど、次からはそうはいかないんだからね」
ここにいない亜紀に向かって宣言した炎夏
そう宣言すると、炎夏は自分の席へと戻って行った
「お前は例外だと思うけどな」
基本的には女の方が口がたつが、炎夏は口より先に手が出るタイプだから、男とそうたいして変わりはない
キンコーンカーンコーン
キンコーンカーンコーン
とチャイムが鳴った
先生が来たのかと思ったら、太一は教室の外からきょろきょろと教室の中を見回している
何をしているのか分からないが、太一はほっとしたようで、自分の席へと向かった
「あいつは何やってるんだ?」
達也は呆れた顔をしながら、小声で呟いた
「(そっか
亜紀がいないかどうか確かめたんだな)」
太一は泣かされたせいか、亜紀が凄い苦手らしい
前に亜紀に立ち向かうとか何とか言っていたが、文化祭の準備などで会う場合は仕方ないが、それ以外は何とか亜紀と会わないようにしている様である
「(しっかし、あいつは亜紀が来る時間どこに行ってるのかね
あいつ俺以外に友達いねえしな
これぞ学校の七不思議ってか)」
気の聞いた台詞を思いついたつもりなのだろうが、何にも面白くない達也
「(そう言えば、あいつ、あおいちゃんとどうなったんだろう?
授業終わったら聞いて見るか)」
授業は歴史だったので、真面目に聞いた達也
授業が終わると、(亜紀がいない時の)いつものように太一が達也の所までやって来た
太一が来たので、達也は
「なあ、太一ってさ、あおいちゃんとあれからどうなってるの?」
と聞いた
「俺とあおいちゃんはラブラブだぜ」
達也は明らかに顔をしかめて、吐く振りをした
「気持ち悪い事言うのやめてくれない?」
「ラブラブのどこがいけないんだよ」
「別に言いけど、お前が言うと気持ち悪い」
「お前それ差別だぞ
差別はだめだよと小学校で教わらなかったか?」
「差別はだめだよと言っている奴が差別している事ってあるよな?」
「話しがずれてるぞ」
「いつもの事だから気にするな」
達也はそう言ってから、ふと思った
「(俺、何が聞きたかったんだったけ?)」
ちょっとの間をあけてから、思い出したようで
「太一とあおいちゃんってさ、交換日記してるんじゃなかったけ?
それ見してくれない?」
「いいぜ」
太一はそう言って、自分の席へと向かって、自分の机をごそごそと漁った
やっと見つかったらしく、ノートを持って戻ってきた
達也は太一からノートを貸して貰うと、そのノートを開いた
そこには
○月○日
森山あおい
1時間目:理科総合A→仕事と熱
2時間目:体育→サッカー
3間目:オーラルコミュニケーション→ALTの先生と会話
4間目:現代社会→需要と供給
5時間目:美術→自由に絵を描く
6時間目:国語総合→走れメロス
と、絵とかも何にもなく、色ペンなども使わずにシャーペンで書かれていた
次のページには太一が書いているが、同じような事が書いてあった
次のにも今度はあおいであるが、これまた同じような事が書いてあった
「これ、交換日記じゃなくて、日誌じゃん」
自分のコメントなどを入れてたら、交換日記に見えなくもないが、これでは学級日誌に見られても仕方がないだろう
欠席者も書いてあれば完璧な学級日誌である
「え?
交換日記ってこんなんじゃないの?」
「今日何々があってこうだったよとか、あの先生うざいよねとかしょうもない事を書くのが交換日記だと思うが」
「え?そうなの?
あおいちゃんが書いてるから、そうなのかと思ったんだけど」
「あの子も交換日記って書いた事ないんじゃないか?」
「ああ、携帯も持ってないしな」
「携帯持ってないからと言って交換日記をしない意味が分からない
むしろ逆じゃないか?」
「そこには崇高な理念があるから気にすんな」
「お前がそんな難しい言葉知ってた事に驚いたよ」
「馬鹿にすんなよ
愚公移山って言う四字熟語だって知ってるんだぜ」
「意味は?
意味が分からなきゃ熟語知ってても意味ないぜ」
この意味には二重の意味が含まれているようだ
「馬鹿が山を移す?」
「まあ、間違いではないが、当たりではないな
何か疲れたからさ、話し元に戻すけど
交換日記の書き方分かったんだから、今からあおいちゃんの教室に行って交換日記の仕方言いにいけば?」
この言葉に自分はいかないと言う意思が表れている
「それは駄目だ
水樹がいるからな」
「はあ?
お前まだ亜紀の事怖がってるのかよ?」
「しょうがないだろ
怖いもん怖いんだから」
どこかで聞いたセリフである
「まあ、別にいいけどさ
じゃあ、どうやって日記交換してるんだ?」
「それは、昼休みに焼却炉で会って交換してるんだよ
天才的なひらめきだろ?」
「ただの馬鹿じゃん
なんでわざわざそんなめんどい事するんだよ
廊下とかで渡せばいいだろ」
「あおいちゃんが恥ずかしいって言ったからだよ」
「ああ
そりゃ、お前と付き合っているって言うのが分かったら、恥ずかしいわな」
「お前本当に友達かよ
普通に友達にそんな事言うか?」
「友達には言わんが、親友には言うよ」
「そっか
親友だから、そんな事言うのか
納得したよ
……って、おい
親友でもおかしいだろ」
「微妙なノリッコミだな」
「うるせえよ
別にいいだろ
芸人じゃないんだから
ああ、もうまた話しがずれた
あおいちゃんが恥ずかしいって言ったのは、俺と付き合ってる事じゃなくて、冷やかされたりするから恥ずかしいって事だよ
義理チョコは教室で渡すけど、本命は隠れて渡すのと一緒だよ」
「義理チョコさえ一度も貰った事がない奴に言われても説得力がない」
「うっせえよ
言いんだよ
そう言うもんだと納得すれば」
「すげえ強引」
「うるせえよ
女の子にはちょっと強引な方がいいんだよ」
「ちょっとだろ
お前はちょっとを外れてると思う
それにお前に強引さはないと思う」
「それなら、さっき言った達也の言葉が嘘になるぜ」
「訂正しよう
お前は特殊な事に対しては強引な理論を持っているが、女の子に対して1ミリでも強引にはなれないと言う事だ」
「それなら納得しよう」
随分潔い奴だ
「だろ?
あれ?
俺達何について話してんだっけ?」
「俺も分からんくなって来た
だって話しがどんどんずれてくからさ」
「思い出した
お前が今から交換日記の説明にあおいちゃんの教室に行くんだったな」
「絶対亜紀がいる限りいかねえよ」
面倒くせえ奴と思う達也
こいつは何言っても無駄だなと思ったのか、達也は席から立ち上がって違う人の席に座っている太一の前に立った
「な、何だよ」
ちょっとひびっている太一
「おりゃ」
達也は太一の(男の)急所を正面から蹴った
太一はうっと唸って、バタンと倒れた
達也は一歩下がっていたので、ぶつからなかった
「本当は下から蹴る方が効果的なんだけど、座ってるからしょうがねえ」
「no、……no more war
(もう戦争は嫌だ)」
と途切れ途切れに呟いた
「おおー
今日は新発見の連続だな
お前がそんな言葉知ってるなんてな」
「知ってるよ
鑑真が言ってたんだろ?」
太一はまだ痛いのか顔をしかめているが、話せるようにはなったようだ
「それって、もしかしてマ○トマ・ガンジーの事言いたいのか?」
「おおー
それそれ」
「鑑真とマハ○マ・ガンジーは違うよ
まず、時代が違うし、鑑真は唐から来た僧で、マハトマ・ガ○ジーは非暴力・不服従で独立運動をした人だよ」
「でも、マ○トマ・ガンジーが言ってた事は確かだろ?」
「マハトマ・ガン○ーとずっと一緒にいた訳じゃないから分からないけど、ガ○ジーは言ってないと思うよ
その言葉が日本に広まったのって、ガ○ジーが死んだ後でしょ」
「あの◯◯め
嘘教えたな」
◯◯には先生のあだ名を 御自由に入れて下さい
「いや
ただ単にお前が聞き間違えただけだろ」
「それでもいいんだ
俺は雨にも風にも負けないぜ」
「前から変だったけど、より変になったな」
かわいそうな奴と上から目線で見た達也であった




