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異世界で、のんびり趣味に走りたい  作者: チカ.G
都市ケートン ー 鉱山に行こう
97/345

96.

 レビューをいただきました。凄く判りやすい粗筋風となっています。本当にありがとうございます!

 しかも私が書いた粗筋よりもカッコイイwww

 これって、粗筋入れ替えした方がいいよ、というお告げでしょうか?!? d(*^O^*)b

 

 

 『おはようございます』

 スミレの声で目を覚ます。

 ランタンの明かりは点けたままだったし、ここだと一体今が何時くらいなのかサッパリ判らない。

 「おはよう。スミレ、今何時?」

 『今は6時少し前ですね』

 ん〜・・・って事は7時か。

 まあ朝起きるには丁度いい時間だな。

 「ミリーは?」

 『もう起きてますよ』

 「えっ、もう?」

 『と言ってもコータ様より15分ほど早いだけですけどね』

 言われてキョロキョロと周囲を見回すと、丁度着替え終わったばかりに見えるミリーが広間の端っこから歩いてくるのが見える。

 「おはよ、コータ」

 「おはよう、ミリー。早いな」

 「コータが、遅いだけ」

 あれ?

 「お茶のお湯、沸かしてるよ」

 「おっ、そうか、ありがとな。んじゃ俺も着替えてくる」

 いつもなら引き車で交代に着替えるんだが、今日はこんなところだから隅っこに移動してチャチャッと着替えるだけだ。

 とはいえ代わり映えのないいつものシャツとズボンなんだけどさ。

 「都市ケートンに戻ったら服屋に行ってみようか?」

 「服屋? なんで?」

 『服なら私が作りますよ』

 「うん、スミレが作れるのは知ってる。でもさ、似たようなものばっかりだから、服屋に行ってどんな服があるかをみてみるのもいいんじゃないかなって思ってさ」

 『いいですね。それでしたら子供用の服屋にも行って、ミリーちゃん用の服も色々見たいです。その時に服のデザインもデータとして収集すればいつでも作れますから』

 俺の服だと思ってた時はめんどくさそうだったのに、ミリーの服だと言ったらやる気になったスミレ。

 なんか最近俺の扱い、雑じゃないか?

 「でもまぁ、今は朝ご飯だな」

 「うん」

 「ご飯食べたら何したい?」

 「ん? コケ、採取?」

 「ん〜、それは数は揃ったから今日はもういいかな? 一応明日ここを出る予定で来たからさ、だったら今日は何か違う事がしたいな、と」

 闇纏苔やみまといごけ採取はもう疲れたよ。あれ、結構精神的に疲れるんだよ。

 なんかもっと違う事がしたい。

 「じゃあ、討伐?」

 「討伐?」

 「うん、カルッチャとか、カルパッドとか、の討伐」

 「はい、却下」

 「コータ・・・・」

 「いや、なんでそんなもん討伐したがるんだよ」

 あんな気持ち悪いものと顔を合わせるのは最低限にしたいぞ。

 「お金に、なるよ?」

 「ああ、あの触覚か・・・確か魔法具の触媒になるだったっけ?」

 「うん、1本500ドラン。今、4本あるから、2000ドラン、だよ。カルパッドの触覚は1本2000ドランだよ」

 まあな、イズナ草とかに比べるといいお金だよ。

 でもな、虫を狩って触覚を集めなくちゃいけないほど、俺たちは金には困ってないんだよ。

 「コータ、虫、怖い?」

 「怖くないぞ。でも、嫌いだ。あの見た目が嫌だよ」

 そう、怖くはないんだ。ただ、生理的に受け付けないんだよ。

 「大きいもんね、仕方ないね」

 「おい、だから怖いとは言ってないだろ」

 『言ってるようなものですよ。全く仕方ないですね』

 「おい、スミレまで一緒になって変な事言うなよ」

 俺は本当に怖くないんだぞ。

 『それでは鉱石採取に行きますか?』

 「それは明日の午前中にする予定だろ?」

 それほど量はいらないから、明日ここを出る時に寄り道しながら少しだけ採取するって話じゃなかったっけ?

 『はい、鉄鉱石や銅鉱石はそのつもりですよ。でもこの鉱山ではもっと違うものも出るんです。もちろん運が良ければ、ですけどね』

 「運が良ければ? って事は珍しい鉱物って事か?」

 『はい、まあ目的は鉱石ではなくて、それに生えている植物なんですよ』

 「植物? んなもん鉱石に生えるのか?」

 『生えますよ。と言っても鉱石を好んで生えるような植物はルミネリアムくらいなものですけどね』

 「なんでそんなものを採取しようって言うんだよ」

 『ポーションの材料になるからですよ』

 あっさりとポーションの材料になると言うスミレを俺はじっと見る。

 「ポーションの材料って、なんのポーションだよ」

 『特級魔力回復ポーションです』

 「特級? でも俺には作れない筈だろ? なんで材料を知ってんだ?」

 『私の予想ですが、コータ様がレベル5になった時に特級ポーション作成ができるようになると思います。その時に既に材料が揃っていれば、すぐにでも作れますよね』

 「でもさ、作れるとは限らないだろ?」

 『その時は売ればいいんです。ルミネルアムは希少価値の高い植物で、年に数株しか市場に出回らないんです。ですので売る時はオークションにかけるんですよ』

 オークションといえば某ウェブサイトが頭に浮かぶ。

 あれ、結構ヤバいんだよ。値段につられて俺のオークション熱も一緒につられて上がっていくんだよな。

 んで、勝ち取った時は勝利の雄叫びをあげるんだが、その熱が冷めた時の後悔はなんとも言えないものがあった。

 なんせそういう時って予算なんか無視でガンガン攻めていくからさ、酷い時は予算の倍なんて事もあったよ。

 でも、だ。これなら俺は売る方で、痛い目に遭う方じゃない。

 「オークション? いくらくらいになる?」

 『その時の需要にもよりますが、おそらくは最低でも100万ドランにはなると思います』

 「・・・・へっ?」

 『タイミングが良ければ120−150万ドランになってもおかしくないですね』

 「ちょ、ちょっとなんなんだよ。金額間違ってんじゃないのか?」

 100万ドランって日本円で1千万円だぞ? 

 たかが植物1株にその値段はおかしいだろ。

 『間違ってませんよ。特級魔力回復ポーションは100パーセントの魔力を回復する事ができるんです。それにルミネリアム1株で特級魔力回復ポーションは200本作る事ができますから、1本5万ドラン前後で売買されるポーションという事を考えれば妥当な値段です』

 「マジか。1本5万ドランのポーションって、そんなの売れんのかよ」

 『予約待ちの状態ですよ』

 1本50万の薬なんて買う奴いないだろ、って思ったら予約待ちかよ。

 「なんのためにそんなの買うんだよ」

 『もちろん魔力が枯渇した時のために決まってますよ』

 何馬鹿な事を聞いているんだ、と言わんばかりのスミレ。

 「いや、だからさ、魔力が枯渇してから使うっていうのは判るけど、どういう時にそんな状態になるんだよ? ってか、魔力って枯渇するのか?」

 『コータ様、ご自身が非常識だからと言って、普通・・の人もコータ様と同じだと思わないで下さいね』

 「・・・なんか言葉に棘がないか、スミレ」

 『コータ様の魔力量は異常なんです。非常識なんです。普通の人はコータ様の1パーセントあるかどうかですよ? 能力の高い魔術師でさえコータ様の魔力の10パーセントあれば上級魔術師と自慢する事ができます』

 「あれ・・・?」

 なんで、俺、ディスられているんだ?

 『コータ様の場合はスキルがスキルなので、それを使うために非常識なまでの魔力量を誇っているんですよ。ですからその非常識に普通・・の人を当てはめても意味はありませんよ』

 「いや、その、スミレ? 俺、別にそんなつもりじゃあ・・・」

 『そうですね、コータ様は知らないから仕方ないですね。でもその点は自分を基準に考えないための戒めとして、ちゃんと常に頭の隅にでも置いておいてください。 まぁ、つまりそういう事ですよ。普通・・の魔術師では幾つもの魔術を使った時や普通・・の錬金術師が魔法具を作成した時など、魔力が枯渇する事があるんです。そういう時に手っ取り早く魔力を補充するために魔力回復ポーションを使うんですよ』

 「ああ、それもあって魔法具は高いのか。そういや魔力を使いながら魔法具を作るって言ってたな」

 あんまりよく覚えてないけどさ。

 『以前、グランズランの毛皮を修復した時の事、覚えていませんか?』

 「グランズラン・・・? ああ、あの臭かっ・・・傷みが酷かった毛皮だな」

 思わず腐って臭かったと言いかけて、ハッと気づいて言い方を変えた。

 グランズランの毛皮は確かに腐ってたし臭かった。でもあれはミリーの父親が彼女を守るための防備として与えたものだった。自分は死んでも何としてもミリーだけは助けようと思った父親の想いが込められたものだ。

 そんな大切なものを腐った、とか、臭かった、なんてミリーの前で言っちゃ駄目だよな。

 『そうです。あれを修復する時にコータ様は魔力がごっそりと抜けたのを覚えていませんか?』

 「ん〜・・・そういやなんか一気に脱力したんだったよな。そしたらおまえが6割の魔力を一気に使ったからだって言ってた」

 『ちゃんと覚えてましたね。あの時はコータ様の魔力を約6割使いましたが、普通・・の錬金術師であれば、20人ほどいなければできなかった修復作業です。もし1人の錬金術師が修復しようとすれば20本ほどの特級魔力回復ポーションが必要だった、ということになりますね』

 「・・・・マジか」

 『これで特級魔力回復ポーションの有用性は理解できたでしょうか?』

 「・・・はい、すみませんでした」

 にっこりと笑みを浮かべてドスの利いた声で聞いてくるスミレに返す言葉は優等生の返事だけだよ。

 マジで怖くて言い返すなんて事はできない、ってか、言い返す言葉すら思いつかないよ。

 でもそんな俺とは反対にミリーは目をキラキラさせてスミレを見上げている。

 「スミレ、それ見つけたら、お金、たくさん?」

 『たくさんですよ〜。暫くのんびりしていろいろ買い物をしても使い切れませんよ』

 「お金たくさん、コータ、嬉しい?」

 「へっ? おお、お金があればいろいろ助かるもんな」

 さっきの話じゃないけど、それだけのお金があればミリーにもいろいろ買ってやれる。

 「そっか。じゃあ、頑張る」

 「ミリー?」

 「お金たくさん、コータ嬉しい。わたし頑張る」

 なんかミリーのやる気スイッチが入ったぞ?

 「でもな、ミリー。スミレは見つかるかもしれない、って言ったんだぞ。絶対に見つかるとは言ってない」

 「うん、でも頑張れば、見つかるかもしれない、よ」

 「そりゃまあそうなんだけどさ。スミレ、勝算はあるのか?」

 『60パーセントくらいの確率ですね』

 う〜ん、五分五分よりは気持ち確率が高い、ってとこか。

 「なんでわかったんだ?」

 『昨夜コータ様とミリーちゃんが眠っている間に、旧坑道を中心にこの鉱山の中を調べてみました。その結果、2つほど魔力溜まりを見つけたんです。鉱山の中で魔力溜まりは珍しいんです。特に旧坑道では特に。そこで思いついたのがルミネリアムです。ルミネリアムは鉱山のような暗くて鉱石がある場所を好みます。そして成長するためには魔力を必要とするので、私が見つけたような魔力溜まりは最適な環境となります』

 「だから、もしかしたらそこに行けばルミネリアムを採取できるかもしれない、って事か」

 『その通りです』

 「でもさ、そんなに簡単に見つけられるかな? 見つけるのが難しいから破格の値段がついているんだろ?」

 『はい、ですが、条件を考えれば十分有り得ると私は思っています』

 スミレは俺のスキルのサポートだからか、基本的な考え方はコンピューターを使っての確率式のようなものになる。

 ま、それもスミレの個性だと俺は思っているし、そんな彼女の個性は大事にしたい。

 「そっか、スミレがそう言うんだったら本当に見つけられるかもな」

 「じゃあ、コータ、行く?」

 「おうよ。こんな鉱山にまた来る機会なんて滅多にないからな。だったらさ、せっかくここにいるんだからさ、ダメ元で探してみよう」

 「頑張る」

 ぐっと拳を握って決意表明するミリーの頭をポンと叩いてからまずは朝ごはんを作る事にした。





 読んでくださって、ありがとうございました。


 お気に入り登録、ストーリー評価、文章評価、ありがとうございます。とても励みになってます。


Edited 05/05/2017 @ 16:55CT 誤字のご指摘をいただいたので訂正しました。ありがとうございました。

鉄鉱石は銅鉱石はそのつもりですよ → 鉄鉱石や銅鉱石はそのつもりですよ

10パーセントあれ上級魔術師 → 10パーセントあれば上級魔術師

非常識なまでも魔力量を誇って → 非常識なまでの魔力量を誇って

旧坑道を中心にこの鉱山の中を探索してみました → 旧坑道を中心にこの鉱山の中を調べてみました 

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