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すみません、なぜかネットに入れなくなりました。
レンタルWiFiを1ヶ月契約で借りてるのに・・・なので今回の話はネカフェに行って予約投稿しました!
感想なども頂いており、誤字脱字連絡もいただいておりますが、返信や誤字脱字訂正は向こうに戻ってからになると思います。お手数おかけしますが、ご了承いただけると助かります。
(でもなんとか機会を見つけてネカフェはホットスポットに潜り込んで続きを投稿できる機会を作ります!)
銃って、拳銃とかライフルとか、っていうあの銃、だよな?
「銃って、いろいろあったよな?」
「はい、ライフル、散弾銃、拳銃、ほかにもバズーガに機関銃などいろいろな種類がありますが、その中でも小型の拳銃を元にした武器を作るのはどうだろう、と思ったのですけど」
「小型の拳銃かぁ・・まぁ大きなものだとジャックの手に余るもんな。でも、作れるのか?」
「もちろんです」
「じゃあ、俺のパチンコみたいに弾に魔法陣を刻む?」
「はい、でも、銃を作るんじゃなくて、銃を元にした武器はどうかな、と思ったんです」
銃を元にした武器、と言われても俺にはさっぱり判らないぞ?
「スミレ、具体的にどんなものを考えてる?」
「はい、コータ様の記憶データの中に“水鉄砲”というのがありましたので、それを参考にして作ろうかな、と」
「水鉄砲・・・・?」
あれ、おもちゃなんだけど?
ってかさ、ジャックの新しい武器が水鉄砲というのはちょっと・・・・なあ。
ちっとも強そうじゃないぞ、ジャック。
「なんで水鉄砲?」
「えっとですね、さっきコータ様の新しい弾の話を聞いていて思ったんです。水鉄砲なら水が出ますよね? その水に続いて電撃の魔法陣が刻まれた弾が射出されるようにすればいいんじゃないかと。水でずぶ濡れになった獲物は水で怯んでいておそらくすぐに動かないですから、そのタイミングで電撃を浴びせられると無傷で倒す事ができると思うんです」
ああ、さっきの俺が言っていた電撃弾の事か。
「でもどうやって水と弾を出すようにするつもり?」
「銃についている引き金を引く事で両方が出るようにすればいいんじゃないかと思います。最初に水がでるようにして、それから1秒ほど遅れて弾が送り出されるようにすれば濡れてから電撃攻撃ができます」
「ん〜、どうだろうなぁ。1秒って短いけど、結構長いと思うよ?」
「それはどういう意味でしょう?」
スミレなりに考えているみたいだけど、俺的には無理がある設定だと思う。
「だからさ、離れた位置にいた獲物がいきなりこちらに向かって来たとするだろ? すごい勢いでやってくるから、まずはダメージを与えるために銃で撃つとする。でもさ、1秒も構えていられるかっていうと無理があると思うんだ」
「えっ、でも私の結界がありますから狙いを外しても安全ですよ?」
「そうじゃなくって・・えっと、もし向かってくる相手が1匹じゃなかったら? 続けて2匹仕留めたいと思った時に、この狙い続けなくちゃいけない1秒は無茶苦茶長く感じると思うんだ。それにその1秒の間に接近仕切れるほど早く移動できる獲物だっているかもしれない」
なんせここは異世界だ、どんな生き物がいても不思議じゃないと思ってる。
「そう言われるとそうかもしれません。じゃあ・・無理ですね」
「スミレ、そんな事ないよ」
「いいえ、コータ様。私の考えが浅はかでした。ですのでもう少しじっくりと考えさせていただけば、何か有用な武器や手段を思いつけるかもしれないです」
「違うって。スミレの考える方向は良いと思うよ。ジャックの武器は片手で扱えるものだから、空いているもう片方の手で銃を使うっていうのは良いアイデアだと思う」
「でも、役に立たなければ意味がないですよ」
「うん。だからさ、ちょっと考えを変えれば良いんだよ」
「それはそうですけど・・・」
スミレは多分データバンクの情報を使って考えているから、ちょっと考えが固まりすぎているんだと思う。
だから、少しだけ考え方を変える手伝いをすればすぐに判る筈だ。
「だからさ、水と同時に弾を射出すればいい」
「えっ? でもそうすると水より先に対象物に到達しますよ?」
「普通なら、な。だから、速度を変えるんだよ。水の方はジェットノズルにして水圧をあげてスピードをあげる。反対に弾の方は弾自体に電撃の魔法陣を刻む時に、一緒に速度低下の魔法陣を刻めば良いんだよ。そうする事で水とタイミングを合わせる事ができるんじゃないかな?」
「それは・・・確かにそうですね。水と弾を同時に射出すれば1秒という構え続ける時間を無くす事ができるから、次の対象が現れてもすぐに対処できますね」
大きく目を見開いてから、スミレはぱあっと笑みを浮かべる。
「それでしたら水も銃の方に魔法陣を書き込んでおけば、水圧で作り出せる以上の速度を生み出す事も可能になりそうです」
「そうそう」
「どうもデータバンクにあった水鉄砲の情報とハンドガンの情報だけを元に考えすぎていたようですね」
「うん。でもさ、スミレはデータを解析しながら開発するサポートシステムだから、どうしてもそうなるのは仕方ないよ。でもこうやって1度でも考え方を変える、という試みをしておけばそれも今後のデータとして使えるようになるよ。だから次に何か開発って時にはスミレならできるよ」
なんせ俺よりも頼りになるもんな。
考え成長する電子頭脳なんていうのが元の世界にあったけど、スミレだって同じように成長していくと思うんだ。
だからこれはただのきっかけで、次からは俺が指摘しなくてもちゃんと色々な方向に思考を持っていけると思うし、俺が考えるよりも良いものを思いつけるようになる事だってある。
そう考えると、楽しくなってきた。
「じゃあ、ジャックの新しい武器はスミレに任せちゃっていいかな?」
「でもコータ様が考えたんですから、最後まで仕上げたいんじゃないんですか?」
「ん? ちがうよ。水鉄砲を元にしようって考えたのはスミレじゃん。だったらスミレが最後まで仕上げるべきだろ? もし行き詰まったらまた一緒にかんがえような」
「コータ様・・・はい、判りましたっっ」
逡巡したのはほんの2−3秒で、スミレは嬉しそうに頷いたのだった。
「と、いうわけで、できたんだ」
「はっ? 何がだよっっっ」
朝起きてきたジャックをすぐに捕まえて、俺とスミレはニコニコ笑顔で話を始めた。
「だから、おまえの武器だ」
「なんで武器? 俺は既に武器は持ってるぞ」
「ん〜、でもそれって接近戦でしか使えないじゃん」
「馬鹿にするなよっっ! 俺は騎士なんだぞっ! 姫を守る騎士が剣を持たずにどうやって戦えというんだっっ!」
いや、誰も剣を持たずに戦かえなんて言ってないんだけど?
「でもさ、ジャック。おまえいつだって騎士はどうすべきか、って言ってるけど、そんな矜持のために大切な人を守れなかったらどうすんだよ」
「そっ、それは・・その時は俺の身を呈してでも戦って守ってみせる」
ジャックは片手を剣の柄にかけて胸を張る。
まあ、その心意気は認めるよ、うん。
「そうだな、命をかけて守る時は守る、って事だな」
「当たり前だ」
「でもさ、おまえが命を投げ出して守っても、肝心のおまえが死んだら守った相手はどうなる? そこが安全な場所だったらいいけど、身を守るものがない場所に1人取り残されたら? おまえ、無駄死にになるぞ」
「なっ・・・・」
「それよりも、2人一緒に生き延びる事の方が大切だと思う。それに、だ。守られた方だって、自分のせいでおまえが死んだって事がトラウマになったらどうする?」
「とらうま・・・?」
「あ〜・・・心に傷ができたらどうする、って聞いてるんだ」
「それは・・・」
ちょっと会話の途中が締まらなかったけど、それでも俺が言いたい事は伝わった筈だ。
「しかし・・・俺は騎士なんだ。騎士が剣を使わないなんて・・・」
「だ〜か〜ら〜、ちゃんと人の話を聞けよ。おまえに剣を使うなんて言ってないだろ?」
「そ、そうか?」
「うん。たださ、剣以外の手段も持っていた方がいいだろうと思ってスミレが作ってくれたんだ」
「そ、それは一体・・・その、どんな武器なんだ?」
スミレが作った、というとハッとした顔で俺の肩に止まっているスミレを見る。
なんだよ、俺が作ったのは気に入らなくてもスミレが作ったんだったら良いってか?
「おまえが見た事もないような武器だよ。水鉄砲っていうんだ」
「みずで、っぽう・・・?」
なんか発音がおかしいが、気にして突っ込んだって通じないだろうから、スルーだ、スルー。
「スミレ、出してやってくれ」
「判りました」
ストレージから取り出した水鉄砲を受け取ると、俺はジャックに見えるようにかがんでから構えてみせる。
「ほら、これは安全のためのものだから、使うまではおすなよ。まずはそれをこうやって押して・・それから今度はこっちのレバーを下げる」
引き金のすぐ上についている小さな赤いボタンを押して見せて、それから引き金のすぐ横に備え付けられたレバーを下げてみせる。
本物のハンドガンとは違う安全装置だけど、ジャックの猫の手でも操作ができるようにスミレが考えてくれたんだ。
「それで準備は完了だ。あとはその引き金を引くだけで、水が勢いよく出る。それと一緒に俺のパチンコの弾みたいなのも一緒に飛び出すからな」
「コータのパチンコの弾って石か?」
「俺のは石もあるけどほかにもいろいろあるんだよ。おまえのは金属製だよ。じゃないと威力が軽減するんだってスミレが言ってたからな」
「そ、そうか・・・それで、威力って?」
「チンパラやゴンドランドなら1発だな」
「本当かっっっ?!?」
半信半疑な口調だけど、身を乗り出して聞いてくるあたりポーズかな。
ただなんでパチンコの弾みたいなのが出てくるのに、一緒に水まで出るのか判ってないみたいだけどさ。
「中に弾は8発入っているから、8回までの攻撃はできる。そのあとは弾を詰めないと使えないぞ。ああ、でも水は魔法陣が作り出してくれるから心配しなくても良い」
「水? 水がいるのか?」
「うん。だから水鉄砲っていうんだよ」
全く、水鉄砲って言ったの聞いてなかったな、こいつ。
道理でさっきの反応がおかしかった筈だ。
思わず小さく溜め息を吐いてからちょっと周囲を見回してみたものの、これといったターゲットになりそうなものはない。
「良い標的がないな。じゃあ仕方ないな。どうせまたチンパラを狩るつもりだから、その時にでも使い方とその威力を教えるよ」
「えぇ、今じゃないのか?」
「いや、だって、標的になりそうなもん、ないじゃん」
「そ、それはそうだけど・・・」
使い方を説明しているうちに興味がでたのか、何気に残念そうなジャック。
んっとに素直じゃないんだよな、こいつ。
「朝飯食ったら移動だから、獲物が出た時に使ってみせるから、それまでのお楽しみだ」
「ちぇーっ、仕方ねえな」
いや、だからさ、おまえ、態度がデカいって。
スミレがイラっとしたのが俺でも判ったぞ。
「とにかく、あとだあと」
俺は手を振ってジャックの背中を押して朝飯を作るために引き車に戻る事にした。
戻ってから、はしゃいだ俺が後先考えずに見せたのが悪かった、とあとでスミレに叱られたのは仕方なかったんだろうな・・・はぁ。
読んでくださって、ありがとうございました。
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Edited 05/05/2017 @ 12:35CT 誤字のご指摘をいただきましたので訂正しました。ありがとうございました。
でもさ、おまえが命を投げ出して → 「でもさ、おまえが命を投げ出して




