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名もなき村の領地開発  作者: スズヨシ
第一章 やっぱり準備は大事(1年目8歳)
7/25

第一章 04.0話

4話は2回に別けての投稿となります。

全ては書ききれませんでした…すみません。

 ――今日はアキより先に起きれた。

 

 二日連続であの衝撃はさすがにキツイ。

 で、その本人はというと……うん、まだ寝ている。

 浴衣みたいな和服姿で寝ているのにお腹も出ていない、寝相も良いみたいだ、それに……おおっ、可愛いな。

 静かに寝ているとまるで天使のようだ。良く子供は天使だ、という人がいるけどこういう姿も含めてのことなんだろうな。

 うん、新しい発見。

 それに、よく眠れたのか眠気もない。


「……うぅ~ん……ん…………」


(おっと、気持ちよく眠ってるし、起こさないようにしないとな)


 身体を動かした衝撃に反応したのか、声を上げたアキに気をつけ、そっと布団を出た。


「おはようございます」


「おう。おはよう」

「おはようございます」


 リビングに行けば『いつもの挨拶』。

 いつもの挨拶? ……自然に感じたこの感覚。

 一緒に暮らしてまだ日が浅いが長い間一緒に暮らしているような感じだ……まるで両親と。

 考えていたことが顔にでたのか「どうした?」というランドさんに「今度教えますよ」と楽しげに返した。



 俺はこの世界に来る前には既に両親がいなかった。

 小さい頃に両親は離婚、引き取ってくれた母親は十六歳の時に亡くなった。

 ただ、母方のばあちゃんが良く面倒を見てくれてたので寂しさはない。……心配を掛けてないだろうか。

 この世界に来たことで自分では感じられなくとも多少不安もあったのかもしれない。

 二人は共に五十代前半、転生前の年齢なら親子としての年齢差も問題ないし、よく気にも掛けてくれた。

 だから余計に今の状況が心地良かったのだろう。



 二十分程すると、アキが寝ぼけ眼で「おはよう」と入ってきた。

 各々が返事を返すと、アキはまだ眠いのかテーブルにうつ伏せになり「ふみゅう」とまた眠ってしまった。

 その行動に三人とも顔を見合わせ苦笑していた。

 三十分もすると動き出したので朝食となる。

 

「ねぇアキ、昨日言ってた楽しみにすることって何?」


 昨日の夜にはぐらかされた件を思い出したので聞いてみた。


「ふふん~。それはね、今日私の友達を紹介してあげるって話だよ」


 得意顔だ。


「えっ? 何それ? そんな話聞いてないよ?」

「うん、言ってないよ! 驚かそうと黙ってたもん!!」


 アキは昨日の朝食の時に、まだヒロがランド、ユキ、アキ、三人以外の村の住人と知り合った話を聞いたことがないのに気づいた。

 それならば、私の友達なら仲良くなれるのではないかと思いつき、声を掛けて回った。

 朝食の後に一時間ほど不在にしたのはこのためだった。

 

 急な話と展開に驚いたが、何故紹介してくれたかを説明してくれた時には、より一層驚いた。


(一人が寂しく映ったんだろうな)


 アキも今は一人で暮らしている。

 俺は提案に乗ることにした。

 アキの友達は朝は家の手伝いをしている子も多く、待ち合わせは昼食を食べた後となっていた。


(やっぱりユキさんと二人だけだとまだ恥ずかしいんだよな)


 朝食を食べた後、アキはランドさんの手伝いで一緒に出て行ったので、お昼までは部屋で待っていることにした。


 部屋には本は置いてないしプレイヤーもないので音楽も聴けない。

 小一時間もすると飽きてしまい、この後会う予定の子を想像してみることにした。


「あっ! 獣人!!」


 最初は以前の癖で人族の子供を考えていたのだが、この村には獣人が多いのを思い出した。

 アキの友達は人族だけではないはずだ。

 あの獣耳と尻尾を見れる。そして、さわれるのか? どうさわるか? 次から次へと妄想が渦巻いていた。

 元二十二の青年は、今日はただの子供バカ転職ジョブチェンジしていた。




 妄想しているとお昼の準備が整ったのか呼ばれた。

 リビングに入るとランドさんはいなかったがアキは帰っており、ユキさんと歓談していた。

 にやついていた俺が入るまでは。


「……ヒロ、どうしたの? 気持ち悪いよ……」

「あらあら、何か楽しいことでもあったの?」

「いやぁ、この後のことを考えていたら楽しくなってしまって」

「この後? 私の友達と会うことー?」

「そう。そのこと。」


 アキは最初は変な人を見る目で、次に朝とは違う態度に首を傾る。

 ユキさんはいつものようにニコニコしていた。


「今日は何人位に紹介してもらえるの?」

「急いでたんで、会えるのは五人位かなー? 村の外に手伝いがある人もいたんで無理は言えなかったし」

「いや、五人も紹介してもらえるのなら十分だよ……ところで、紹介してもらえる人達の中に獣人っている?」

「獣人? いるよー? それがどうしたの?」

「いるの!? じゃあさ、獣耳と尻尾ある人もいる!?」

「……いるけど……どうして?」

「初めて村を見て回った時に獣人の女性と会ったんだよ。その時に見た獣耳と尻尾がもふもふしたくなるほどの毛並みだったんだ!」

「……もふもふ? 何それー」

「えーと……何て言えばいいかな? ……やわらかくさわり心地がいい? さわりたくなる? ような感じの毛並みや可愛い物のことだよ。それで、どうなの? いるの?」

「……いるけどさ……今日会う獣人は女の子だよー? 男の子は人族だし」

「……女の子だと何か問題があるの?」

「ありありだよー。普通異性の人にはさわらせないもん! 尻尾なんてお尻のそばだよー。恥ずかしいよー」

「え?」

「さわれるのは、恋人さんとか家族の人だけだよー。家族でも大きくなったら父親や兄弟にもさわらせないもん。ギリギリで親しい友達で本人がいいと言った時だよー。まず今日会ったばかりのヒロはさわれないよー」

「…………本当に?」

「うん。本当だよー」

「……」


 しゅう まく

 その二文字が今日の最大の楽しみをバラバラと壊していく。

 ――どよ~ん

 さっきまでの陽気な気分は急転直下。

 アキも会話中に向けてた奇人を見る視線から、あまりの落ち込み方に哀れな人を見る視線へと変わる。

 ユキさんはというと、相も変わらずニコニコしていた。


「あらあら、大丈夫よ。恋人いっぱいいればさわりたい放題よ」

「……恋人?」

「そう、恋人。それに、仲良くなれればさわらせてくれるかもしれないわよ。そのためにも、甲斐性のある男の子にならないとね! (獣人は男の人もいるんだけど、これは言わないでもいいかな?)」


 ユキは面白くなりそうだと、茶目っ気たっぷりのウインクで答えた。


 この世界は一夫多妻制でハーレムを作るのも夢ではなかった。

 そのことをこの直後に知るヒロは、恋人いっぱい? ハーレム? 作れるの? と獣人とは別の衝撃に襲われていた。

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