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名もなき村の領地開発  作者: スズヨシ
第一章 やっぱり準備は大事(1年目8歳)
4/25

第一章 01話

本編スタートです。

副題:猫の耳と尻尾もいいよ~


追記:一章5話までは、一話で一日進みます。(例外がある場合は話の前に.5などで分かるようにします。)

(一章は日常シーン中心です)

 少し……本当に少だけど期待していたんだ。


「……やっぱり夢じゃない。……小さいままだったな……」


 寝る前は決意したが、身体を見るとやっぱりちょっとへこむ。

 まぁ、落ち込んでも仕方がない。


「まずは、情報収集だ!」


 気合を入れ窓の外を見ると、ほんのりと明るくなり始めており、すでにみんな起きているのか小さく話し声も聞こえてきた。

 昔は朝は明るくなる前から行動し、夜は日が落ちたら後は寝るだけだったみたいだし、俺もそんな生活になるのかな?

 昔の人達の生活行動を思い出し、リビングに向けて歩き出した。

 部屋に入ると三人は座って歓談していた。

 

「おはようございます」


「おう。おはよう」

「おはようございます」

「おはよー」


 挨拶をすると三者三様に返ってきた。

 

「あらあら、まずは顔を洗ってきてくださいね」


 顔に何か付いてたかな?

 こちらを見るユキさんに言われると、「案内するー」の掛け声と共にお風呂場に案内された。

 見ると湯船に水が張ってあり、教わった通りに桶で水をすくい、顔を洗い、渡されたタオルで顔を拭った。

 昨日は入れなかったのでお風呂について聞くと、お湯を沸かし浸かることもあるが、普段はここで身体を拭くだけのようだ。

 しかし俺は生粋の日本人、一日の終わりには湯船に浸かりたい、どうにかしたい、いやしてみせる! と静かに心に誓った。

 そんなことを考えてお風呂場から戻ると、テーブルには朝食が用意されており、「いただきます」の掛け声と共に美味しくいただいた。


「今日はこの後、お前さんの目が覚めたことを知った村の者が集会場にくることになっている。俺が紹介するから挨拶だけはしてくれ」


 食事が終わると、そうランドさんから言われ、来るのは大人だけだから交友は今後でいい。との補足もあり、時間が来るまではゆっくりしていた。

 ゆっくりしていると、ユキさんとの食器の片付けが終わったのか台所から戻ってきたアキは「またねー」と用事があるのか、元気に飛び出していった。

 少し経つと、準備が整ったのかランドさんが呼びにきたので後に付いて行くと、集会場の場所は村長宅に併設れており、部屋の規模は大人三十人が集まってもまだ余裕がある程だった。

 村人との挨拶は先に話が伝わっていたのか、ランドさんからの紹介と俺の挨拶だけで終了し、滞りなく終わった。




 ―お昼―


「まずはなれろ」


 食事が終わるとランドさんが言葉と共に親指を村に差ていた。

 話を聞くより直接見たほうが村を知ることができるだろうとのことだった。

 ランドさんが外出するのを見送ると、ちょうど良い機会だと俺も村の様子が知りたかったので見て回ることにし、外に出のだが。


「あっ……一人じゃ何もわからないや……」


 ぽつん、と道の中央に立ち尽くすと、俺は一人呟いていた。

 ユキさんに村を見てくることを伝え外に出るまではよかったが、歩いているうちに気が付いた。

 アキは近くにいない、ユキさんに案内をお願いするために戻るか……でも今更恥ずかしい。

 誰かいないかと周りを見渡してみるが誰もいない、いても今の俺が頼めるのは、アキ、ランドさん、ユキさんだけだ。

 迷惑は掛けたくない。気持ちを切り替え、今日は適当に見て回ろうと歩き出した。

 ――まず行ける所まで進んでみよう。

 歩きながらキョロキョロと人が見れば挙動不審な態度としか思えない様相で歩いていると、突き当たりに着いたのか、高さ二メートルほどの柵が並んでいた。

 

「ここが村の外との境界線なのかな?」


 押してみても俺の力ではビクともしない。村の外では大小の動物が出るとも聞いたし、動物よけになっているのであろう。

 ちょうど良いのでこの柵を目印に一周してみることにすると、途中で井戸の前で話をしている二人の女性を見かけた。

 

 一人は百六十センチほど、もう一人は隣の人より若干高い位の共に二十歳位の女性だった。

 ただ、今日までに会った女性と違うのは……二人とも獣耳! さらに一人は尻尾も見える! ことだった。


「あっ、これが獣人!?」


 耳や尻尾の特徴から一人は【狐人】で、隣の人は尻尾は見えないが耳の特徴から【兎人】だとわかった。

 気持ちよさそう……触りたい……。

 じーーーーっ、と周りが見えなくなるほど女性達を見ていると、その視線に気付いたのかこちらの姿を訝しげに見てきた。

 コソコソと何か話しているのだろう。

 女性達から奇異の視線で見られると、失礼な行動をしていたことに気付いた俺は、そこは元社会人、叩き込まれた営業スマイルと会釈で返した。

 顔を上げてみると、こちらを見ていた人達が驚いていたので、なんだろう? と考えてみたが、今は子供だ! 子供はこんな行動をしないと気づき、恥ずかしさに顔を赤くして先を急いだ。


 獣人……想像はしてたが、あの耳と尻尾……もふもふしたい……。

 子供だし、お願いすれば触らせてくれるかな? 今は子供、それにいやらしいことするわけじゃないよな? でも、セクハラになるのかな……。今度アキに聞いてみよう!

 などと考えながら村の調査の続きをするが、だが歩いていれば、時折、別の獣人の人達ともすれ違う。

 その度に耳や尻尾が気になり、すでに探索に身は入らなくなっていた……。

 

 調査開始から二時間後、ヒロは疲労で岩場で休んでいた。

 先日までは大人の身体で営業マンだった俺はいつもの調子で歩いていたが、子供の身では持たなかった。

 休みながらヒロは考えをまとめることにしたが、ついいつもの癖でメモ帳を探してしまい、直後ないことに落胆する。

 

「そっか……メモできないのか。何かメモできる物ってないかな? 今度聞いてみるか」


 メモの事は後にし、二時間で知った情報を頭の中でまとめてみた。




 村の住宅は平屋で百戸ほど、二メートルほどの柵を長方形の形で村を囲ってる。

 各家の形はほぼ同じなので原型は変わらないのかもしれない。それと畑や養鶏場が隣接してるのが多かった。

 出入り口は二箇所で門は開閉式、二人ずつ警備していたので勝手に外に出る事は難しそう。柵も越えるのは無理そうだ。

 牛など乳を出す大きな動物は見なかったので外か別の場所で飼育しているのかもしれない。

 肥料置き場は村の隅に一箇所? ……井戸は、二箇所以上、だったような?

 

 最後は獣人の耳と尻尾命になっていたので、うる覚えであった。

 村の規模も分かったし、必要な情報は改めて調べればいい、と自分に納得させていたが。




 今日はまだ日も落ちていなかったが、疲労も取りきれなかったのでそのまま帰宅することにした。

 夕食の最中、俺は疲労からか眠気を我慢するので精一杯で話ができず、食後お風呂場で体の汚れを落とし、そのまま眠りについてしまった――。

 

 ――翌朝、寝坊した俺は誰もいないリビングで朝食を取っていた。

 獣耳や尻尾の事を聞けずに……。

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