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名もなき村の領地開発  作者: スズヨシ
第一章 やっぱり準備は大事(1年目8歳)
11/25

第一章 05.7話

お待たせしてすみません。

3回に分けての投稿となってしまいましたが05話完結となります。

よろしくお願いします。


 今日はアキは同席していない。

 俺が何気にアキの席を眺めると。


「今日は友達のお手伝いですよ」


 丁度、目の前にお皿を置いていたユキさんが教えてくれた。


 俺は食事が始まり五分程するとランドさんに話を切り出した。

 唐突だったのか眉が少し動いたが、快く教えてくれた。

 どう伝えるか二十秒程悩んでいると、まとまったのか口を開く。

 

 依頼の方法はこうだ。

 生活に使う道具についてはダグザさんへ直接頼みに行っても大丈夫。

 しかし、住民共有の道具、公共施設はランドさんへ報告。その後、ランドさんがダグザさんへ依頼する。

 これは村長としてランドさんが道具や施設の状態を把握するのに必要だからだ。

 そして、依頼時には報酬が必要となる。報酬は食料。もし貴重な材料(木や鉱石以外)があれば、材料との交換も可能となる。

 稀にお金との交換もあるが、この村ではまず使い道がないので“現在”は価値がない。

 この取り決めは、ダグザさんに鍛冶職人として専念してもらうためだ。

 食料を耕作しながら鍛冶を行うのでは、道具一つ作るのにも時間が掛かりすぎる。ならば、食料との交換で道具作りに専念してもらおうというのが主旨だ。

 人は食料がなければ活きられない。

 交換に必要な報酬量は、各自でダグザさんと相談し決めるので決まっていない。

 例外は木材と鉱石だ。

 常に必要なので、ランドさんとダグザさんが相談し、定期的に村の者が必要量を伐採・採掘していた。


「まぁ、こんな感じだ。何かわかんねえ内容ところはあったか?」

「いえ、大丈夫です。ありがとうございました」


 ……! お金!?

 話の流れの中で逃していたが、そう、懸念していたお金の話が混じっていたのだ。


「ランドさん。この村にお金ってあるんですか?」

「ん? あるぞ。ただ、街へ買い出しに行くのは少ねえからな。ほとんど使わねえし、そんなに持ってねえなぁ。大抵は街に着いた時点でこの村の農作物も のを売って路銀にしてるしなぁ。まっ、村では使い道ねえわな」


 ランドさんは薄く目を細め、顎を摩っていた。


 お金は存在するが貯えは少ない。

 それでも存在するのは分かった。

 特に“路銀”の言葉、街ではお金で物資を売買することも。

 必要な情報は確認できた、再度お礼を伝え食事の続きをする。


 話からすると、今は依頼ができないのがわかった。俺は、何も耕作してはいないのだ。

 今後のことを考えると、ランドさんと相談して耕作させてもらう必要もでてきた。

 どちらにしろ 道具の製作にはランドさんの許可が必要になる物もある。

 この村に存在しない道具の話をすれば、情報元を聞かれるであろう。

 それが一つや二つなら誤魔化せるだろうが、その数が増えていけば誤魔化すのは難しくなる。

 俺が隠している現代日本の記憶を話してしまえば悩みの元はなくなるだろうが……。


(与太話、か。俺でも気が狂ったと思うな……)


 今はこの世界での唯一の味方だ。見放されれば行く当てもない。それでも、いつまでもお世話になり続けるわけにはいかない。

 耕作の経験はないし、すぐに習得できるかもわからない。


(最悪は知識どうぐを報酬とすることも考えなくてはいけないのかな……)


 この言葉が俯く俺を悩ませていた……。

 悩みが顔に出ていたのか、ユキさんは眉を下げた心配顔で覗いてきた。

 今は構想かんがえをまとめるだけにして、面倒なことは後に回してしまおう。

 俺は日本人らしく現実じじつから逃げだし「大丈夫です!」と顔を上げた。




 午後、ランドさんは湖に漁に行くというので付いて行くことにした。

 俺の目標には、娯楽品の製作もある。

 いつか釣具を製作するぞ! と意気揚々と獲れる魚の種類や大きさに期待を膨らませていた。

 ちなみに、本日の漁にはユキさんも同行することになっている。


 村を出て北方に一時間程歩くと目的の湖に着いた。

 道中東に大きな柵も見えたが、それは農耕や畜産をしている場所だと教えてもらえたので、心に留め置いた。

 湖の大きさは琵琶湖ほどだろうか、五本の川に繋がってた。

 奥には広大な森が広がっており、ウグイ、イワナ、ヤマメなどが獲れるそうだ。

 近くの沖には五メートルほどのボートが置いてあり、オールが乗っていた。


「ヒロ、手伝え」


 準備が終わったのか、ランドさんに促されボートに乗ることとなった。

 注意することとか教わってないので大丈夫なのか心配になったが、一先ず乗船することにする。


「気を付けてくださいね?」


 ユキさんは沖で事故があった場合に備えてロープを用意していた。……ただ、時折俺を視認している姿は観察しているようでもあったが。


「これでどうやるか分かるか?」


 漁は投網漁(網を投げ入る)だ。

 ボートを動かし暫くすると漁の場所に到着したのか、ランドさんは置いてある網を両の手で持つと、腕を突き出してきた。


「わかります」

「なら一度やってみろ」

「どこら辺なら獲れるんですか?」


 ランドさんに狙い目を教えてもらい、それっ! の掛け声と日本で体験した時の事を思い出し投げ入れてみたが、結果は散々だった。

 一投目では魚は掛からなかったが、俺は久々の娯楽に浮かれていていた。


 ――ランドはまだ手順を教えていない。最初は大なり小なり戸惑うものだ。ヒロの迷いのない動作を確認すると、目を細め口の端を上げた。


「お前さん、よく知ってたな」

「えっ?」


 何か失敗してしまったのだろうか?

 ランドさんの笑顔が顔から離れなかった……。

 そして俺は気付けなかった。ユキさんもこの時は微笑んでいなかったことを。




 漁の成果はまずまずで、二時間で五十匹ほどの魚が獲れた。

 これは本日の夕食と住民へのお土産となる。

 帰り際、湖に流れる五本の内一本が村の近くを流れているのが遠くからだが見えた。

 水道計画に使えるな、と心に留める。


 村長宅い えに帰れば食事となる。

 夕食はいつも通りアキも一緒にとっている。

 食事中はアキの希望で漁の話をしていたが、まずまずの成果に喜んでいた。


 食事が終わると、道中で教えてもらえた柵の内側の様子が気になりアキに同行をお願いしてみると、快く承諾してくれた。


「明日はお昼が終わってからにしよ!」


 アキが朝からだと作業の邪魔になるからと、昼食後から見て回ることを決めて別れた。


「米作りって日本と同じなのかな?」


 畑は村の中でも見ることができたので作法に違いが少ないことはすでに知っていた。

 稲作も違いが少ないのでは? と考えるが、日本人として、米好きとして、どうしても気になってしまう。

 畜産は置いといてまずは米。明日を楽しみに待つことにした。

ここまでお読みいただきありがとうございます。

第一章ですが07話で完結となります。

06話と07話は今回みたいにならないように1回の投稿で完結させます。

第一章をもう少しだけお付き合いください。

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