プロローグ01 (改)
プロローグ編開始です。拙い内容ですがよろしくお願いします。
※以前後書きに記載していたプロローグ編 01~03 の見直し・修正ですが、10/6深夜に行いました。
投稿開始して10日ですが、ここ数日で想像以上にアクセス数が増えてきておりましたので、読んでいただけるのなら、拙いながらも思うところは直して、少しでも気に入っていただけるようにと行いました。
話の大筋に変更はありませんが、文字数も01~03の合計で1000文字ほど増えております。
一度読んでいただいた人でも楽しんでいただけるのではないかと思います。
楽しんでいただけたら本人的にも嬉しいです。
10/6 1時50分頃更新
――?
(…………ここは? ……どこだろう……?)
俺が目を開けると、そこには見知らぬ天井があった。
昨日は自宅で休日を過ごしてコンビにすら行ってない。
いくら思い返しても記憶がないその光景をよそに、小さい身体を起こす。
――ズキッ!
まるで高熱が出た時のようないやな痛みが頭の中に響いた。
「イツッ!」
自然に漏れる声。
「気が付いたか」
偶然か、はたまた起きた気配を感じたのか、部屋に入ってきた直後の格闘家を彷彿させる屈強な体格をしている五十歳位の男性がドアの無い入り口に立っていた。
「……ここは? ……何でこんな場所で寝ているのでしょうか?」
「それよりも、身体の調子はどうだ? どこか痛む所はないか?」
俺は身体を見回し手足を触ってみるが痛みを感じる箇所はなかった。
「大丈夫みたいです。ただ、頭が痛くて……」
「頭を打ってたか? ……俺が調べた時に傷はなかったが……」
「打ったとかではないですね。風邪を引いた時のような感じです」
「……少し様子を見なくては分からんな。……少し待ってろ」
調べた時の状況を思い出しているのか考える仕草をすると、思い出したように言葉を言い残し部屋を後にした。
(ここは何処だろう?)
周りを見渡しても六畳ほどの部屋に今座っている布団だけが敷かれていた。
窓から陽が入ってきていることから日中だというのは判断できるが時間まではわからなかった。
「それに何故こんなにも身体が小さく見えるんだ? ――声も高いし、まるで七、八歳位? の腕や足、だよな?」
改めて身体を調べると、起きる前とは腕も足もサイズが違う。
どうなっているのかとこの現状が分からずにいたが、その思考を打ち消す追い討ちを掛けるような複数の足音が聞こえてきた。
ドタドタドタ
トントントン
「大丈夫! 怪我とかない!?」
駆け込んできたのは八歳位の活発そうなショートカットの女の子だった。
服装は、浴衣っぽい? 帯を締めた和服姿で、例えるならアイヌ民族が着てたような服だ。
「だ、大丈夫だよ? ちょっと頭が痛いだけだから」
「頭が痛い!? ねぇ、本当に大丈夫なの?」
急な展開に驚いていたが、言うが早いか、女の子は俺の頭を強引に押えて傷がないかを確認している。
(……ちょっと痛い)
「あらあら、そんなに乱暴にしていると傷が増えてしまうわよ」
「心配していたのは分かるが、少しは落ち着け!」
女の子と同じタイミングで部屋に入ってきたのだろう。
押えられている頭を少しだけ動かすと、落ち着いた雰囲気の髪の長い見た目三十代後半位の女性が立っていた。
この状況が可笑しいのか微笑む口元に手を当てている。
もう一方の手には湯気の立つ器ともう一つの器、二つの器を乗せたお盆を持っていた。
ちょうど戻って来たらこの場面なのだろう。
先程の男性が女性の後でやれやれといった表情をしていた。
「仕方ないじゃん! 三日も目を覚まさなかったんだよ!!」
落ち着けとの言葉に反応し頭から手を離した。
男性に向けた口調も厳しく、俺の心配をしてくれていたのだろう。
「……三日?」
その言葉に反応する。
「そうだよ。三日も目を覚まさなかったんだよー」
「それに、どうして遺跡の前に倒れてたの? 見たことないけど、あなた何処から来たの?」
「……遺跡?」
連続で浴びせられる質問に頭が追いつかない俺だったが、覚えのない場所で倒れてたと聞き、質問を質問で返してしまった。
「そう、遺跡。森の奥にある遺跡だよー。果実狩りしてる時に遺跡の前に倒れてたのを私が見つけたんだよー。あそこは村のみんなもあまり近づかない場所なのに」
「ごめん、遺跡と言われてもわからないや。それに何処から来たと言われても……ここは何処?」
「ここは――」
「【アキ】そこまでだ!」
男性の一言でアキと呼ばれた女の子がビクッ! と身体を硬直さえた。
「悪いがここが何処だかはまだ言えねえ。お前さんが何者で、ここまで何の目的で来たのかが解るまではな」
先ほどまでとは違い、男性は年齢相応の気配を纏う鋭い視線で俺の全身をサーチしていた。
「あらあら、いきなり大きな声を出しては駄目でしょ? この子は、さっき目を覚ましたばかりなんだから」
「それは分かってるがよ……こいつが何者で、何の目的でここまできたかを確認しねえと。この坊主を探しに他のやつらが近くまで来てるかもしれねえし……」
小さいとはいえ盗賊や山賊の仲間である可能性もあるしその件以外にも……。
女性に対して強くでることができない男性は少し困った顔で答えると、俺とアキを視認しつつ、少し考えるような表情をする。
「それでもよ。まずは体調を整えないとね」
俺の体調を心配すると布団の傍まで近づき、お盆を置いた。
二つの器の内一つは温かいスープが注がれており、もう一つにはパンが乗せられていた。
「味を薄めにしたスープよ。三日間、水以外何もお腹に入れていないから少しずつ飲んでね。パンも、もし食べられるようなら食べて。夜にはもう少し栄養のある物を用意するから、それまではゆっくりしてて」
まずは用意した食事を食べるよう促し、目線を合わせながら俺の頭をなでると、後ろの二人に振り返った。
「あなた行きますよ。アキも今はゆっくりさせましょう。詳しい話は夕食の後でね」
「わかったよ」
「はーい! じゃあ君また後でねー」
優しそうな笑顔の裏で反論は許さないと雰囲気で諭すと、二人は素直に部屋を出て行った。
「ごめんなさいね、騒がしくして。あの子、君を見つけてからずっと心配してたから」
「いえ、こちらこそ助けて頂きありがとうございます。……すみません、ここは、何処なのですか?」
「あらあら、大人っぽいものの言い方をするのね、そのことは後にしましょう。今は少しでも食べてゆっくりしましょう。夕食の時間になったら呼びに来るから横になっててね」
俺の問いには答えず、微笑みながら伝えるべきことを伝えると部屋を出て行った。
賑やかだった部屋は静寂に包まれる。
先程よりは落ち着いているが頭の痛みは続いていた。
「本当にここはどこなんだ……。昨日は、久々の休みで自分の部屋にいた……よな? それにどう見渡しても俺の部屋じゃない。……田舎のばあちゃん家でもこんなに古めかしくない」
まずは言葉にすることで現在の状況を確認する。
まるで江戸時代の家屋のような室内が余計に状況を複雑にしていた。
一度落ち着くためにも少し冷めたスープとパンに口を付けたが、スープの味は薄く、パンはちょっと硬かった。
まずは一口ずつ確かめるように食べるが、久々の食事にお腹が反応したのか、急かされるように食べきってしまった。
(――足りない。それに、やっぱり味が薄い。)
お代わりを頼むことも浮かんだが、今は迷惑を掛けるべきではないと思いを振り払った。
(しかし、三日か……そりゃ三日も寝てれば頭も痛くなるか……)
食事を終え横になると、まだ眠気が残っていたのかすぐに意識も薄れていった……。