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其は天上の舞姫 1

 

 最初はカムロ視点、次に神楽視点に戻ります。


 リムの言葉に、俺は久方振りにキレた。


『俺がナンパに失敗して傷心中にな~にしてんだ?カムロ。ようやく男見せる気になったのか?なにしろ4年越しの片思い、一目惚れ。あれはすげー分かり易かったぜ!あはははははははははははははははははははははは!!…………………………………………………はぁ、振られてしまえ』


 最後にボソッと呟かれたこの台詞にリムがわざと乱入してきたのだと悟った。


 そしてリムからは強い酒の匂いがした。


 どうやらナンパに失敗した腹いせに自棄酒したのだろう。よく見たら目が虚ろだったが………それこそ俺には関係なかった。


 俺はリムを睨み付けながらその鳩尾に強烈な拳をくれてやった。


「グッフウッ!?」


 反動で俺の肩からリムの腕は外れた。リムは鳩尾の一撃が相当利いたのだろう。両膝を突いて声も出ないのかプルプル震えている。


「ちょっ、カムロやり過ぎ…………て目がもの凄く物騒なことになってるよ!?リム!ほんとカムロになに言ったの!!」


 剣呑過ぎるカムロの、リムを見る視線に慄いた神楽は急いで立ち上がりリムに詰め寄った。


「………せ……おれ…………て」

「え?なに、リム聞こえない」


 リムが何か言っているようだが、小声すぎてカグラには聞こえなかったようだ。俺にも聞こえなかった。


「どうせ俺はモテないって言ったんだよ!うわあーーーーーーーん!!!!!!!」

「!?」

「!!」


 リムは突然カグラに抱きついた。


「リムお酒臭い!もしかして酔ってるの!?」

「うわあああーーーーーーーーーーーーん」


 カグラに抱きつき、本気で泣きが入っているリムに俺はというと………。


「………カグラ、絶対に動くなよ」

「え?」


 リムに抱きつかれ困惑していたカグラが俺を見上げ──────ビクッと身体を震わせ、顔を引きつらせて固まった。


 カグラの様子は気になったが、まずはリムだと思い。俺はカグラとリムから2、3歩距離をとった。



●○●○●○●○


 カムロの見事な回し蹴りを頭に(ここ重要!)受けたリムは悲鳴を上げることなく気絶した………大丈夫だよね?リム、死んでないよね??蹴られた衝撃で白眼を剥き、私から離れた(剥がれた)リムはカムロに首根っこを掴まれてズルズル引きずられていった…………。


(そういえば………さっきカムロは何を言おうとしてたんだろ?)


 カムロの完全に据わりきった凍えた瞳と背後に背負った雷雲の幻覚に、神楽は悪寒と恐怖が止まらなかった。


 おかげでカムロに台詞の続きを促すことが出来ず───そんな空気でもなかったが────神楽は黙ってカムロ(とリム)を見送った。


「すごい音が聞こえたけど、なんかあったのかい?」

「団長」


 カムロ達と入れ替わりに部屋に帰ってきたアーリアは入ってきたすぐに神楽に質問してきた。


「……その、私もよく分からないんですけど………リムがカムロに何か言って怒らせたんですよ」

「何かって、なんだい?」

「私は聞こえなったのでよくは………」


 苦笑しながら首を横に振るう神楽にアーリアはふーん、と腕を組ながらボソッと呟いた。


「…………さてはリムにカグラのことでからかわれでもしたのかねぇ」


 からかわれる所かナンパが上手くいかなかった八つ当たりに告白の邪魔(神楽以外は全員カムロの気持ちを知っている)をされたのだが、長い付き合いのアーリアでもそこまでは分からなかった……。


「まぁ、いいか。カグラ。ちょいとアンタに話があるんだけど今いいかい?」

「別に良いですよ。暇ですし」


 神楽はすぐに頷き、部屋に備え付けてあった果実水を2人分グラスに注いでテーブルに座ったアーリアに渡した。


「おや、ありがとう」


 神楽に礼を言ったアーリアは果実水を口に含んだ。神楽も席に座って果実水を飲む。


(美味しいな。なんの果物で作ったんだろ)


 果実水の美味しさに僅かに顔がほころぶ。


「さてと……カグラ、いきなりで悪いんだけどアンタ来月に王宮で開催される創国蔡に出てもらえないかい?」


 突然言われた言葉に飲んでいた果実水を吹き出しそうになった。


「創国蔡て、確か数十年前、シシル国が隣国アバンギャルドの支配から脱却して新しく国を建てた日を祝う祝典ですよね……?」

「そう。この国を挙げての祭りさね」


 アーリアは疲れたように盛大なため息をつくのだった。





 次回はタイトルそのままで続きます。  


 お楽しみに。

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