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【交響詩】竜の姫と絆のユニゾン ~最強の力は絆の中に。人類に裏切られた天才軍師の俺は、六竜姫の激情を調律し和音を奏でて覇道を往く~  作者: ざつ
本編 第一部 竜の内戦 編

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第四十話:最終会議:闇の呪いと王妃たちの抗議

 偽光の宣教師フォールス・プリーチャーを退け、士気が最高潮に達する中、調和の座(ハーモニー・スローン)(ヒカルの城)の外郭の司令部で闇の王女ヴァルキリアとの最終決戦に向けた戦略会議が開かれた。ヒカルは、知識の守護者(エルダー・ソフス)から得た、ヴァルキリアの真実に関する極秘情報を五龍姫たちと共有した。


「よく聞け。ヴァルキリアは、裏切り者ではない」


 ヒカルの言葉に、紅蓮の激情竜姫レヴィアは、激しくテーブルを叩いた。


「何を言うの、夫! 姉さまは、私たちを捨てて古王に組した! それが裏切りでなくて何だというの!」

「違う。彼女は、古王によって精神的に支配され、『愛と調和への絶対的な拒絶』という名の呪いを植え付けられた、悲劇の王女だ」


 ヒカルは、ヴァルキリアの孤高の闇が、彼女自身の意志ではないことを、レヴィアへの愛の調律を通じて訴えかける。


 蒼玉の理性竜姫アクアは、冷静な瞳でヒカルを見つめた。


「王よ。その極めて重要な情報を、なぜ今まで伏せていたのですか? 論理的に見て、情報が共有されていれば、我々はもっと早く長姉を救出できたはずです。本当に信じられる情報なのですか?」


 ヒカルは、アクアの理性的な問いを正面から受け止めた。」


「ああ、これは確かな情報筋からの信頼できる情報なんだ。そして、その情報こそが、彼女の命綱だったから今まで明らかにできなかったのだ。ヴァルキリアが裏切り者でないと古王に知られれば、古王は彼女を即座に処分しただろう。我々が十分な力を得るまで、彼女が古王に忠誠を誓っていると思わせる情報そのものが彼女の命の保証だった」


 レヴィアの激情の炎は、ヒカルの言葉に揺らぎ、悲しみと安堵という複雑な音色へと変わる。他の姫たちも、ヒカルの孤独な決断に言葉を失った。


 


 ヒカルは、この悲劇を終わらせるための最終戦略を告げた。


「ヴァルキリアの呪縛を破るには、闇と光の二つの六征竜を同時に討ち、古王が温存する古代の魔術を、六龍姫の究極の調和で上書きしなければならない。我々の最終戦略は、討伐ではない。長姉の解放と、六龍盟約の完成だ」


 アクアが冷静に戦局を分析した。


「なるほど。そこまで王がおっしゃるのであれば、作戦を軌道修正いたしますわ。すでに機は熟しています。我々が古王を討つ好機は、レヴィアとの最初の盟約からちょうど一年となる、この時期が最適です」


 だが、テラが不安を滲ませながら尋ねた。


「解放には、闇の王女を我々の盟約に迎え入れるということでしょうか。これ以上、王妃の座を巡る競争が増えるのは……」


 レヴィアの激情が爆発した。


「そうよ、そうよ。テラの言う通りだわ、ヒカル! 六龍盟約なんて、私以外の女を正妻候補として認めるということだろう! これ以上、姫を増やすなんて、正妻たる私の愛を軽んじる気!?」


 レヴィアの激情を浴び、ヒカルの絆の共感者には、他の姫たちの動揺(戦闘能力数値Battle Power Index:BPI: 嫉妬 +40%)が激しく響いた。


 ヒカルは、レヴィアの瞳を真っ直ぐに見つめ、王の義務として言い切った。


「これは王妃の座の決定ではない。軍団の生存戦略だ。ヴァルキリアの闇の力と、彼女の配下であるシェイドの諜報能力は、魔王軍との最終決戦に不可欠だ。彼女の闇こそ、古代の魔術への最高の盾となる」


 アクアは、冷静にヒカルを擁護した。


「王の判断は論理的に正しいわ。六龍の属性(光、闇、炎、水、土、風)の完成は、軍団の継戦能力を最大化する。感情的な問題は、戦争が終わってから論理的に解決しましょう」


 セフィラは、アクアの論理が提示された直後、一気に空気を変えた。


「ヤッター、団長! 最高の冒険で、姉さんを救出しちゃうぞ!」


 セフィラの自由奔放な愛が、重い義務という空気を一掃し、家族の絆という使命に加わり、盟約軍の士気は極限まで高まった。




 姫たちの間で愛の火花が散る中、六天将たちは静かに王の決定を支持した。


 磐石の防衛将ガイア(テラの補佐)が、テラの横で重々しく頷いた。


「テラ様の懸念はごもっともです。ですが、王のお考えの通り、闇の防御力は、我らが土の基盤をさらに強固にする。盟約の完成は、軍の安定という論理において絶対的に必要です。我ら土の部隊は、王の決断を支持すべきですぞ」


 無垢なる浄化使アウラ(ルーナの補佐)が、淡い光を纏いながら、機械的な声で続けた。


「光の論理からも、王の判断は合理的です。六属性が揃わなければ、究極の調和はできません。論理的な欠陥を補う闇というピースは、魔王軍との対決という数学的リスクを最低限に抑えます」


 空虚の斥候王ゼファー(セフィラの補佐)は、腕を組み、ニヤリと笑った。


「闇のシェイドが加われば、諜報・密輸ルートはさらに強固になる。最高の冒険には、最高の情報網が必要だ。団長ヒカルの判断は、自由を愛する者として歓迎します」


 その場で最も激しく動揺したのは、爆炎龍将軍フレア(レヴィアの補佐)だった。彼の体からは、新たな姫への憎悪と王への屈辱が冷たい魔力となって噴き出す。


(まただ。また、この人間はレヴィア様の愛の権利を侵害する! これ以上、王の愛を独占する女が増えるなど…………許せん!)


 しかし、レヴィア自身がヒカルの「命綱」という言葉で沈静化し、アクアが「論理的に正しい」と支持している以上、彼は王の命令として反論できなかった。フレアは、唇を噛みしめ、憎悪を「軍の安定のための静かな忠誠」という仮面の下に押し込めた。


「……王の命令、御意。レヴィア様の矛として、その決断に従います」




 ◇◆◇◆◇


 戦略会議が終わり、ヒカルを擁護する竜姫たちと将軍たちが去った後、爆炎龍将軍フレアは、療養中の深海の戦術師シエルの病室を訪れた。


 シエルは右翼の傷を覆いながら、いつもの冷静な表情を保っていたが、フレアの姿を見ると、その瞳に一瞬だけ理性を超えた安堵が浮かんだ。


「フレア将軍。王の命令通り、闇の王女の解放は論理的に必須です。我々が最終決戦を乗り切るための最善手であり――」


 フレアは、シエルの言葉を遮るように、乱暴に病室の扉を閉めた。


「貴様のその論理が、俺の腹を苛つかせている。なぜ、貴様はヒカルの残酷な愛の調律をそこまで支持する! 貴様は、レヴィア様への忠誠心を装った、俺の心の中の不協和音を理解しているはずだろう!」


 シエルは、静かに笑った。眼鏡を外し、その冷徹な瞳を、フレアの激情と孤独を映し出すように向けた。


「ええ、理解していますわ、フレア。貴方の憎悪は、王の愛の独占という非合理への純粋な反発。それは、論理を逸脱した、貴方だけの正義です」


 シエルは、身体の痛みにもかかわらず、ベッドから手を伸ばし、フレアの熱を帯びた手を優しく握った。


「そして、私にとって、貴方のその論理を逸脱した激情こそが、最も解析不能で、最も愛おしい存在。私は、王の戦略的頭脳として貴方を操っているのではない。貴方の純粋な心が、私の冷たい理性を溶かしてくれることを、一人の女として願っています」


 フレアの憎悪の炎が、シエルの冷たい水の愛に触れ、一瞬、甘い蒸気となって消える。彼は、シエルの献身的な愛が、ヒカルの戦略ではなく、自分自身の孤独に向けられているという、驚くべき真実に直面した。


「シエル…………貴様…………」


「ええ、フレア。貴方の隣は、私の愛の戦場です。王の戦略は、私が論理でサポートする。貴方は、レヴィア様の矛として王の隣に立ちなさい。そして、私に、貴方の心の安寧という非合理な報酬を許して」


 フレアは、シエルの驚くほど大胆な愛の告白と、その後の静かな優しさに、何も言えなくなった。彼は、ヒカルへの憎悪という炎を抱えながら、シエルという理性の仮面の下にある究極の愛情という、新たな愛の絆に囚われたのだった。






 古王の城塞、地下金庫。ギルティアは、ヒカルがフレアの裏切りとヴァルキリアの精神攻撃を愛の調律で打ち破ったデータを解析していた。


「ありえない。力による支配(古王の理念)は、絆(ヒカルの理念)の非線形な力の増幅を計算に入れないため、戦略的に破綻している」


 彼女は、古王の理念が論理的に非効率であることを確信した。ギルティアは、古王の玉座を見上げ、冷たく呟いた。


「王よ、貴方の理念は経済的に破綻した。私は最も効率的な王に投資する」


 彼女は、古王の財宝の帳簿を焼き、盟約軍側への情報提供を決意し、城を後にした。





 ヒカルは、五龍姫たちの愛と、闇の竜姫という最後のピースを欠いたままの五龍ユニゾンを完成させるという王の孤独な覚悟を固める。


「俺は、必ずヴァルキリアを愛で解放する。そして、五龍盟約軍を完成させる」

 五龍盟約軍は、愛と絆の力を結集し、竜族の悲劇的な歴史に終止符を打つ、最終決戦へと向かう


【第41話へ続く】


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