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【交響詩】竜の姫と絆のユニゾン ~裏切られた天才軍師は愛の和音で成り上がる  作者: ざつ
本編 第一部 竜の内戦 編

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第十五話:定例幹部会議と風の竜姫の探索

 鉄壁の将 (アイアン・ウォール)を打ち破った勝利から一夜明け、城塞内には束の間の静寂が訪れていた。しかし、ヒカルの心身は極度の疲労に晒されていた。


(レヴィアと会ってから、まだようやく数か月と少ししか経っていない…………このペースだと、俺の精神が持たない。俺は、一年間、耐え抜けるのだろうか……)


 ヒカルは自室の椅子に座り、額を押さえた。連日の戦闘と、三龍ユニゾンにおける愛の感情の強制的な調律、そしてMVP報酬としての激しい情熱の受け入れは、「絆の共感者」の異能を持つ彼にとって、魔力以上に精神を削る行為だった。


 夜。王の義務としての当番制は、ヒカルにとって戦場と同等の重圧だった。


 レヴィアの当番。彼女はヒカルをベッドに引き寄せ、強い独占欲を露わにした。


「夫どの! 戦場では王の義務だと言って私を抱きしめるのに、二人きりだと冷たいわね? もっと、もっと情熱を注いでくれなきゃ! 私の炎は、あなたの愛がなければ、すぐに消えてしまうのよ!」


 ヒカルは、疲労困憊しつつも「王の義務」として、彼女の熱情に応じなければならない。それは、軍の心臓であるレヴィアの感情を安定させるための戦略的な行為だった。


 アクアの当番。二人きりになると、蒼玉の理性竜姫アクアは、日中の厳格な表情を崩した。


「王。私はあなたの休息の必要性を論理的に理解しています。ですが……たまには、私の計算が外れるくらいの、不合理な愛を注いでください。私の理性が制御できないほどの感情の奔流を、私だけに」


 アクアは珍しく、ヒカルの胸に顔を埋め、理性で抑えきれないわずかなわがままを見せた。


 テラの当番。彼女は静かにヒカルに寄り添う。


あるじ。戦闘後の王の体は、このテラの母性の愛でなければ癒せません。今夜は、テラだけの時間として、王の疲労を全て預けてください。そして、少しだけ、甘えさせてください」


 テラは、ヒカルの髪を優しく撫でながら、穏やかながらも強い独占欲と、献身の裏にある甘えを求めた。


 ヒカルは、三人の姫の愛の要求と、それに伴う感情の奔流を処理し続けることに、限界を感じ始めていた。


(この愛の奔流は、戦場よりもずっと恐ろしい……俺の肉体と心は、いつまでもつのか……)


 ◇◆◇◆◇


 翌朝、ヒカルは、軍団の継続的な安定を図るため、第一回の定例幹部会議を招集した。会議には、紅蓮の激情竜姫レヴィア、蒼玉の理性竜姫アクア、磐石の守護龍テラという三龍姫全員に加え、深海の戦術師シエル、不動の防衛将ガイア、そして爆炎龍将軍フレアが揃った。


「皆。今日の議題は、勝利後の戦略的脆弱性の確認と、次なる行動の決定だ。疲弊している者もいる。会議は全ての議題を合わせて一時間を厳守する」


 ヒカルは疲れた声で号令した。


【議題1:資源・兵站の安定化と課題】


「磐石の守護龍テラが統括する防御と内政の部門により、食料備蓄と城塞の維持は確保しました」


 テラが自ら、自信に満ちた声で報告した。


「ただし」蒼玉の理性竜姫アクアが引き継ぐ。


「城塞周辺の泥濘地は戦場としては優秀ですが、迅速な補給路の再構築の妨げになっています。このままでは、戦闘が長引いた際の補給に遅延が発生します」


 不動の防衛将ガイアが補足した。


「泥濘地を永続的に利用するには、爆炎龍の魔力による硬化が必要です。迅速な物資の輸送路確保が、次の課題です」


【議題2:戦略的な穴と次の行動の決定】


「そして、最も致命的な戦略的弱点です」


 アクアが声を張り上げた。


「我々は、偵察や後方攪乱を行う高速の斥候せっこう部隊が決定的に不足しています。敵の謀略に先んじるための情報収集能力と機動力が、現在の致命的な穴です」


 紅蓮の激情竜姫レヴィアがテーブルを叩いた。


「そんなものは、この私が一気に焼き尽くせばいい! 情熱と力こそが、王の軍団の戦略だ!」

「レヴィア。あなたの情熱は不可欠ですが、燃費が悪すぎます」


 アクアが冷静に反論した。


「この穴は、我々の炎・水・土の属性だけでは補えません」


 ヒカルは、二人の分析に深く頷いた。戦略的な穴は情報と機動力(風)。これは、今すぐ対処しなければならない緊急課題だ。


「よし。いくつかの議論は次回も継続としよう。今日の議題は以上だ。皆、解散」


 ヒカルは会議を締めくくった。


【議題3:感情的な脆弱性の報告(極秘)】


 三龍姫やガイア、フレアが退席し、会議室が静まり返るのを確認した後、深海の戦術師シエルだけはヒカルの傍に留まった。


「王。私的な進言を許可願います」

「ん? どうした、シエル」


 シエルは、周囲の魔力の流れを確認すると、極めて冷静な声で、爆炎龍将軍フレアの心理状態を報告した。


「内部的な弱点は、依然としてフレア将軍です。彼は、王への忠誠心と、レヴィア様への純粋な忠誠心との間で引き裂かれ、孤独な嫉妬に苛まれています。この感情的な脆弱性は、次の戦闘でユニゾンを再び暴走させる原因となり得ます」


 シエルは提案した。


「彼の感情の問題は、論理的な分析だけでは解決しません。彼の孤独を理解するには、個人的な対話が必要です。私が、彼の心を開くために個人的に接触し、話を聞いてみます。彼の忠誠心を、軍団の安定へと繋げます」


 ヒカルは、シエルの言葉の裏に潜む論理を超えた献身を理解し、深く頷いた。戦略的な穴は情報と機動力(風)。感情的な穴は孤独(炎の将軍)。


(この問題を解決するには、激情でも理性でも献身でもない、自由奔放な力が必要だ。それは、敵の斥候網を飛び回り、フレアの心を縛る孤独を吹き飛ばせる存在……)


 ヒカルは、静かに結論を下した。


「シエルの提案を許可する。そしてシエル、全軍の参謀長であるアクアに、この決定と行動計画を伝えよ」


 ヒカルは、シエルの瞳を真っ直ぐに見つめた。


「我々は、直ちに風の竜姫、四女セフィラとの接触を試みる。彼女の自由な力と機動力は、この軍団の未来に不可欠だ。この戦略的判断を、アクアと共に迅速に実行に移せ」


【第16話へ続く】



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