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第九十話:復讐の炎上と狂気の魔獣召喚

 王都地下深く、旧ドラゴンスレイヤー教団の秘密施設。皇太子レオナルドからの極秘情報に基づき、盟約軍の最小精鋭部隊が、カインの潜伏拠点の入口で布陣していた。ヒカルの「絆の共感者」には、施設から発せられる巨大な憎悪のノイズが叩きつけられている。


 ヒカルは、カインの潜伏場所を知り、静かに呟いた。


「まさか、帝都の真下に潜伏していたとはな。灯台下暗し…カインらしい、実に巧妙な手だ。帝国全土に兵力を分散させて捜索させ、その隙を強襲するつもりだったか。」


 盟約軍の布陣は、ヒカル、六龍姫(レヴィア、アクア、テラ、セフィラ、ルーナ、ヴァルキリア)の7名が核となり、後方司令部のシエル、近接護衛のリリアと王室メイド隊(6名)、そしてユグドラとその配下の精鋭護衛兵(約50体)という、最小限の機動力と最大火力を両立した精鋭だった。


 さらに少し離れた後方では、レヴィア軍の一部(フレア隊)、ヴァルキリア軍の一部(シェイド隊)、そしてレオナルド配下の帝国騎士団が、不測の事態に備え待機している。


「王よ。カインの魔力は、魔族のそれに汚染されています。DSWの改良型も確認されました。もはやユニゾンなしでの制圧は、論理的に見て不可能ですわ」


 シエルがいつもながら冷静に警告する。その言葉を遮るように、地下施設から人の姿のカインと、彼に最後まで付き従った三人の忠実な部下(DSW強化兵)が静かに現れた。カインの瞳には、憎悪と狂気の優越感が満ちている。


 カインは、盟約軍の精鋭部隊を見下し、傲慢に笑った。


「フッ、ヒカル。貴様の愛の調律は、私という個人の憎悪には勝てても、『世界の理』には勝てまい」


 ヒカルは、怒りを抑え、冷静な声で応じた。


「カイン。貴様は、私個人の憎悪を煽ろうとしているのだろう。だが、貴様が手を染めた魔族との密約は、もはや私個人の恨みを超えた。世界の秩序に対する脅威だ」


 カインは、ヒカルの言葉に下品な嘲笑を浴びせた。


「ハッハッハッ! まだ『秩序』などという甘言にすがりつくか! 貴様らが武力ではなく知恵で私を追い込んだことは認めよう。だが、貴様らは致命的な計算ミスを犯した。貴様らが恐れるべきは、私の憎悪の魔力が、魔族の力と結びついたという事実だ!」


 ヒカルの隣に控えるリリアが、そっと囁いた。


「(ヒカル様。カイン様の甘言など、お聞きになる必要はございません。私どもの愛が、王の盾となります)」


 カインは、リリアの存在に一瞬、憎悪の目を向けた後、隣に立つ部下たちに冷徹な視線を送る。


「そして、私の愛した人類の、最後の残滓もな。貴様らの愛と忠誠心、無駄にはしないぞ。私の『究極の論理』の証明のために、ここで散るがいい!」


 カインが魔力を解放すると、三人の部下は凄まじい苦悶の叫びを上げ、DSW装甲が漆黒に変色し、即座に魔人化人類兵(狂気の捨て駒)へと変貌した。


「ハッハッハッ! 見ろ、ヒカル! これが貴様の愛を否定する、私の憎悪の献身だ!」


 カインは、魔人化させた部下たちを盟約軍の最前線に突撃させ、さらに自身の魔力を解放し、魔獣(大型ケルベロス、マンティコアなど)と下級悪魔(インプ、レッサーデーモン)を大量に召喚する。下級悪魔の不協和音が、ヒカルの「絆の共感者」の異能に直接、精神攻撃を叩きつける。


「貴様らの愛の和音は、この悪魔の狂騒曲の中で、一瞬でノイズとなる! この魔人化人類兵と悪魔の軍勢は、貴様らの精鋭部隊を疲弊させる最高の『捨て駒』だ!」


 カインは、盟約軍が精鋭であるからこそ、少数の悪魔相手に無駄なユニゾンを使えないという戦略的なジレンマを突きつけた。ヒカルの精神は、再び裏切りのトラウマに苛まれ、ユニゾンの安定度が急落する。



 ◇◆◇◆◇


 カインの魔獣・悪魔、そして魔人化人類兵の召喚は、盟約軍の精鋭部隊に激しい戦闘を強いる。ユグドラ率いる護衛兵が最前線で悪魔を食い止める中、カインは最後の切り札を投入した。


 ユグドラは、王と姫たちを護るため、大剣を握りしめ、咆哮を上げた。


「カイン、貴様の狂気など、武人の誇りの前には無力だ! 護衛兵団、王の盾となれ! 悪魔どもを地下施設に押し戻せ!」


 ユグラ率いる精鋭護衛兵団は、ユグドラの重厚な土の魔力に支えられ、下級悪魔の群れに突撃する。ユグドラの武人の誇りと魔力は、カインの召喚した魔族の「捨て駒」を、一瞬にして盟約軍の優位な戦場へと引き戻した。


「許さないわ、カイン! 貴様の憎悪の狂気など、私の炎で焼き尽くしてやる!」


 紅蓮の激情竜姫レヴィアは、カインの卑劣な手段とヒカルの精神的な苦痛に激しく反応し、ヒカルの心を守る「守護の情熱」へと炎を昇華させる。


 レヴィアを先頭に、他の六龍姫たちもカインへと激しい感情をぶつける。

 蒼玉の理性竜姫アクアは、冷静な怒りを瞳に宿し、魔族の魔力構造を分析する。


「DSWと魔族の結合、論理的に許容できないわ!」


 深淵の孤高竜姫ヴァルキリアは、憎悪に歪むカインを孤高の威圧感で圧倒し、「貴様の憎悪は、単なる醜いノイズよ!」と冷徹に断罪する。


 姫たちの激しい感情は、ヒカルの「絆の共感者」に、ユニゾン発動への強い衝動として伝播していく。


 その時、カインの体が漆黒の装甲に覆われていく。DSWの改良型装甲と魔族の闇の魔力によって再構築された醜悪な漆黒の「魔人」へと変貌したのだ。


 カインは、その変貌を遂げた姿で、甲高く、下品な高笑いを響かせた。


「ハッハッハッ! 見ろ、ヒカル! これが貴様の愛した人類の技術と、魔族の力が融合した『究極の論理』だ! 貴様の守護の炎など、DSW改良型の前には無力だ! 貴様らが恐れるべきは、貴様の愛を否定する、私という真実だ!」


 カインは、DSW改良型装甲から放たれる憎悪の光を、ヒカルの「絆の共感者」の異能に直接叩きつける。さらに、地下施設の深部から、DSW武装を強化された無数の人類兵が、醜悪な呻き声を上げながら出現し、狂気の兵団と化して盟約軍の側面を襲う。


 磐石の守護龍テラ、蒼玉の理性竜姫アクア、純白の調和聖女ルーナの三人は、ヒカルの動揺を抑え、カインの精神攻撃に対抗するための最終調整を急ぐ。


「ルーナ! アクア! テラを基盤とし、光と水を統合する! 三元聖盾浄化《トライアド・シールド・ピュリフィケーション》を、対魔族精神攻撃の防御ユニゾンとして応用するのです!」


 ヒカルは、レヴィアの守護の炎と、三人の姫たちの献身的な愛に支えられ、カインの挑戦を受ける決意を固める。リリアとメイド隊は、ヒカルの近接護衛の最終準備を整えるのだった。


 いよいよ宿敵カインを討つ時だ!


【第91話へ続く】


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