自創世神
友人に向けて書いた素人の作品なのであまり期待しないでください、ただの趣味です。
薄暗い霧のかかった日、どんよりとした景色を眺めていた。
「今日は霧が多いんだね」と、宗二がそう呟く。
「うん、ていうか最近は霧結構かかってるよね」
「確かにそうだね」と、いつも通りの会話をしていた、しかし、そのいつも通りが消え始めていることに彼らはまだ気づいていなかった。
宗二は電車に揺られいつものように帰宅していた、だが違和感を感じていた。
『いつもは人結構いるのに、今日は俺以外誰もいないなんて……、まぁ……たまたまか』
そう心で思いながらこの日を終えた。
そして翌日、彼は友人と話している時とあることに気づいた。
「あれ?晴人は?」そう宗二が言うと、
「ん?どうした?」友人はそう返答した。
「いや、晴人だよ晴人、あいつどこ行った?」
「え?確かに…あいつどこ行った?」
「さぁ…何も言わずにどっか行く様なやつではないし…」
「まそのうち戻ってくるでしょ」
「そうだね」と、少し気になったがあまり気にせず話は進んだ。
授業が終わり、宗二は電車に乗るため駅に向かっていた、宗二にはやることがあったため友人を先に行かせ後から駅で待ち合わせをしようと約束をしていた。
すると宗二の携帯に電話がかかって来た、画面を見ると先ほど約束をしていた友人からだった。
「はいもしもし?」
『あ宗二、もう終わった?』
「あうん、今駅に向かっててもう着くところ」
『はいよ〜』
友人と電話で会話しながら駅に到着した、しかし……、
「あれ?着いたけどどこにいんのお前?」
『え?普通に待合室にいるけど?』
「……いや、待合室にもいないけど?」
『えいるって、逆に宗二どこにいんだよ?』
二人はとても混乱し、状況が飲み込めていなかった。そんなことをしていると電車が来た。
『おい電車来たぞ、本当どこにいんだよ?』
「いやだからいるって!まさに今電車来たし!」
『あぁもう乗るから切るぞ?じゃあな』
「あちょ……、あぁもう」
宗二はイライラしながら乗車し、自宅の方まで帰った。そして到着してすぐ先ほどの友人に電話をかけたが繋がらなかった。
『おかけになった電話番号は電波の届かない場所にあるか、現在使われておりません』
「は?」と、声を出しながら訳のわからない表情を浮べていた、そしてもう一度かけてみたがやはり繋がらなかった。宗二は嫌気がさしてかけ直すのはやめて家に帰った、だが帰宅してすぐとあることに気づいた。
「あれ?母さん結月は?」
いつもなら学校が終わるのが早い妹の結月がいるはずたがこの日はなぜかいなかった。
「ん?結月?誰のこと?」
「いや誰のことって…結月だよ結月、俺の妹、いつも俺より先に帰ってくるじゃん」
「何言ってるの?あんたに妹はいないでしょ、あんたは一人っ子よ」
その瞬間母親の口から出た言葉に衝撃を受けた。
「は?…いや母さん何言ってんの?変だよ?」
「変なのはあんたでしょ?頭でも打った?」
宗二は混乱し、横の棚にあった家族写真が目に入った。だが、その写真には妹の姿がなかった、確かにそこにいたはずなのに……。
そう、彼はその瞬間に気づいた。度々感じていた違和感の正体に。
***
宗二は妹がいない家族写真を見て物凄く混乱してた。
「な…なんで結月が写ってないんだよ……」そう言いもしかしてと思って他の写真も見てみた、だが他のどの写真にも妹の姿はなかった。そしてあろうことかこの家では妹が存在していないことになっていた。
「どうなってんだよ……」と震える声で言いながらその場にうずくまった。
宗二は一旦部屋に行き、ベッドに座ると友人に電話をかけたがやはり繋がらない。
『おかけになった電話番号は電波の届かない場所にあるか、現在使われておりません』
「……やっぱりか……、はぁ…」ため息を吐きベッドに横になった。天井を見つめながら友人と妹のことを考えていたら眠くなりそのまま寝てしまった。
この時のことははっきりとは覚えていないがこんな夢を見た。それは、真っ白で何もない場所に自分一人がいてさらに人影が二つあって何か喋っていたが聞き取れなかった。
そうこうしているうちに母親の声で目が覚めた。
「宗二夕飯は?」母がそう尋ねてきた。
「あぁごめん寝てた、食べる…」
「ねぇあんた大丈夫?顔色悪いけど」
母は元気がなさそうな自分を見て心配していた。それに自分は「大丈夫」の一言で返した。
だが内心ずっと不安だった、また何か起こるのではないかと……
それから翌日、宗二は不信感を抱きながら大学へ向かった。朝の電車、やはり人陰がない。
到着してすぐ友人を探した、いつもなら宗二より先に来ているから。しかしいくら探しても見つからない、「やっぱいない……」そう思っていたらあることに気づいた。
「そういえば…さっきからあちこち見て回ってるけど、人っこひとり見てないぞ……」
そう、宗二は友人を探すのに必死で気づいていなかったがこの大学には人が誰ひとりいなかったのだ。
「もうどうなってんだよ……」そう思っていると突然携帯が鳴った、電話の着信だ。画面を見たら宗二は目を見開いた、なぜならそこには昨日から連絡がとれない友人から電話の着信がきていたからだ。
「え…あいつ!」恐る恐る電話に出た。
「はい?」
『オ……?……ドコ………ダ………』
言葉は途切れ途切れでノイズも混じっていたが友人の声だった。
「お前今どこにいんの?」
『キ…ニイ……ケ……?』
「……」
『………キ…ル……、イョ……』そう言葉を発し電話は切れてしまった。宗二は突然電話が繋がったことにとても驚いていた。
「どうして急に…、まぁとりあえずもう一度探してみよう」そう思い後ろを振り返った瞬間シャンッという鈴の音と共に目の前の景色が一瞬神社のような場所に見えたがすぐ元の景色に戻った。
「…なんだ…今の?」宗二は、疑問の顔を浮かべることしかできなかった。そしてこの日はもう探すのはやめて一旦家に帰って休もうと思い、帰宅することにした。
家に着いてすぐ自分の部屋へ行きベッドで横になった。
「はぁ……、夢であってほしい……」そう呟いて眠った。眠ってすぐ宗二は夢を見た、それは昨日と同じ夢だったが少し違った、真っ白な景色の中に霧と一緒に昼間一瞬見えた神社があった。そして同じように人陰が見えて何かを話していたが少しづつ意識が薄れていき気がつくと翌日の朝になっていた、母によると昨日帰って来た直後そのまま爆睡したようだ。結局昨日もなんの手がかりも見つからなかった、しかし前と違い夢で話していた内容は少しだけ覚えていた。
それは「愚か」という一言だった。そしてさらに気づいたことがあった、あの一瞬見えた神社……前に見たことがある気がする……。
***
宗二は夢で見た神社に見覚えがあり、確かめるためにとある場所へ向かった。
「ここだ……」目線の先には夢で見た神社と同じ神社があった。
「サムハラ神社……、夢で見たのはここだったのか……」
【サムハラ神社】大阪市西区にある、[天之御中主神][高御産巣日神][神産巣日神]を祀っている神社。
「でもなんで夢に出て来たんだろう?」そう疑問に思っていると神主の人が出て来た。そして宗二はその神主に神社のことを聞いてみた。
「あのすいません、ちょっと聞きたいことがあるんですが……」
「はい、なんでしょう?」
「あの…この神社の噂とかってありますか?」そう神主に問いかけた。
「噂ですか?まぁ…ないことはないです」そう答えたので宗二はその話を聞いた。
「このサムハラ神社は、呼ばれた人だけがいけるという噂があるんです」
「呼ばれた人?」
「はい、今ではSNSなどでたまたま見かけた写真を見て『行ってみたくなった』という気持ちを『神様に呼ばれている』と思う人もいるようで」
「なるほど……」正直しっかりとはわかっていないがなんとなくは理解した。
「そういった話などもあり『呼ばれた人だけが行ける』という噂が広まったんです」だが神主さんは実際そんなことはないと言っており、お客の間で一時期広まっていた本当にただの噂とのこと。
しかし今の宗二にとっては非常に興味深い話だった。
「…ありがとうございます」神主に礼を言い、宗二は家に帰ってしっかり調べてみようと思いその場を去ろうと振り返ったら雨でぬかるんでいた地面で足を滑らせそのまま前方に倒れた。そして宗二は焦っていた、目線の先には狛犬が置いてある柱の岩がありこのままでは頭を打ってしまうからだ。
「っやば?!…………」そう言葉を発した瞬間宗二は頭を岩に強く打った。目の前が真っ暗になり、感触で血が出ているのがわかった。
「はぁ……」宗二はだんだんと意識が遠のいていき気を失った。その時、あの景色が一瞬見え、その瞬間目が覚めた。
目が覚めると自分の部屋にいた。「あれは夢だったのか?」という表情をしていた。
「はぁ……、なんだったんだ……」
宗二はすごく汗をかいていた、まるで悪夢でも見たかの様に。宗二は部屋から出てリビングに向かった、「おはよう……」と言ったが返事がなかった。
「……母さん?……母さんいる?」そう言いながらキッチンの方へ歩いて行ったが母の姿はなくコンロは火がついたままだった、洗面所の方も見てみたが母はいなかった。
「……嘘だろ…」宗二は過呼吸になり、パニックを起こしていた。それもそのはず、ついに母までも姿を消してしまったから。
「はぁ…はぁ…」
すると突然自分の部屋から携帯の着信音が聞こえて来た。宗二は過呼吸になりながら部屋に戻り画面を見たら非通知からかかって来ていた。
「……もしもし…」
『モ……ド、…イイ……ヵ…ゲ……』
「……」恐怖からか手も震えていた。
『アト……シ…、キヱ…ル……』
そう言って電話は切れた、だが宗二は今それどころではなかった。しかしいつまでもこうしているわけにもいかないので外に出ることにした。するとあることに気づいた、人の気配が全くなく辺りには霧がかかっていた。
「ん?」辺りを見回していたら霧の奥に人影があるのを見つけた。その影は霧の中へと進んで行った、宗二はその後を追いかけてみることにした。
霧を抜けると宗二は思いもよらない景色を目の当たりにした。なんと霧を抜けた先にはあの神社があった。
「え?どうして神社が……」と疑問に思っていると背後から鈴の音が聞こえて来た。さらに二人分の人影も見えて来た。
だが宗二はここで思った、「このシチュエーション、見た気がする」と……。
***
このシチュエーション、間違いなく夢で見た光景だと気づいた。
「やっぱりこの光景夢で見た、それにこの神社、あのサムハラ神社で間違いない。だとするとあの二つの人影、祀られてる神様か?」
宗二は少しづつ確信に近づいているようだった。そして神様と思わしき人影に話しかけてみ。
「あ…あの、あなた達は誰ですか?最近人が次々と消えているのはあなた達の仕業ですか?」そう問いかけた。
『ナIIヲシ弖ィル』その声はとても聞き取れるとは思えない声だった。
「え?」
『イ一化ゲン丫ギ羅メ呂』何か訴えているがやはり聞き取れない。宗二はその言葉について深く考えていたらいつの間にか元の場所に戻っていた。またなんの手掛かりも得られなかった、そう悔やんでいた。
宗二は部屋へ戻り、状況を整理していた。
「あの二つの人影は多分サムハラ神社に祀られてる神様」宗二はネットで祀られている神様について調べた。どうやら祀られている三柱の神様は、この世界(宇宙)を創造した神らしい。
【天之御中主神】神々の世界を統括した宇宙最高神。
【高御産巣日神】宇宙の創造と生命の誕生に深く関わる重要な神様。
【神産巣日神】高皇産霊神とともに「創造」を神格化した神。
「そんな凄い神様なのか…でも、犯人がこの神様達なら、どうして人々を消したりしたんだろう……」宗二は頭を抱えながら考えていたが何もわからなかった。なので一旦気分転換に散歩をしようと外へ出た。
そしてしばらく歩いていたら商店街の方まで来た。
「おいお前さん」宗二は道で占いをやっていたお婆さんに呼び止められた。宗二は不思議そうにそのお婆さんの前に座った。
「…あのぉ、何か?」
「お前さん、気いつけな」
「え?」そう言われて宗二は少し驚いていた。
「お前さんからは、不思議なもんを感じる……」
お婆さんから言われたことに対して宗二は首を傾げていた。すると近くにいた八百屋の主人が寄って来た。
「ちょっと婆さん、またやってんの?」その人はなんだか呆れた感じだった。その主人によるとこのお婆さんはここでよく占いをしているのだが、その占いが当たったことがほぼない為にインチキ占い師と呼ばれているらしい。
「じゃあ、俺は帰ります」若干困惑気味にその場を離れようとした、だが……
「あれ?」立ち上がって瞬きをしたらお婆さんがいなくなっていた。
「あれ?あの婆さんは?」八百屋の主人も困惑していた。
「嘘だろ、また……人ガ消ヱた…』
宗二はまた目の前で人が消えてしまったことにとても悔やんでいた。そして……
“諦メロ,,
この時、幻聴かもしれないがそう聞こえた。
「やめてくれ……、もう……」宗二はその場で蹲り、そう嘆いた。
”オ前ダ,,
その言葉を聞いて一粒の涙を流し、頭を上げた。すると目の前には神社が現れ、その横に着物を着た誰かが二人いた。
「どうして……」
再びそう問い、真相を探った……。
***
宗二は神と思わしき人物を前にし、問いかけた。
「どうして人々を消したりするんですか?」そう問いかけたが無反応だった。だが代わりにこんな言葉が帰って来た。
『オモ一ダセ』という一言だった。
「え?」
『オ前ハァチ羅II一弖ハイケ無一』何を言っているのか本当にわからなかった。
その瞬間宗二は急に頭に痛みが走り、今までの出来事がフラッシュバックしてきた。だがその中には忘れていた記憶もいくつかあった。
「な…なんだ…、くっ…うぅ…」宗二は頭を抱えてその場に蹲った。そして気づくと元の場所に戻っていた、だが、この商店街からは誰もいなくなっていた。
宗二は呆然としていた。すると突然携帯に電話がかかって来た。
「あ……、もしもし……」
『もしモし?もうやっト出た、今何シてんの?』友人からだった。
「お前こそ…何してんの?」
『いや休みダから普通ニ出かけてるけど?』
「そうか……」今は友人の声が聞けて少し安心できた。
「……待ってろよ、必ずみんな取り戻すからさ」そう言って自信がついた宗二は電話を切った、そしてどこかへ向かった。着いた先はサムハラ神社だった。
「自分からあっちに行けるとしたら、この場所しかない……」あの場所に行くためにはここの神に呼ばれないと行けない、だが宗二は何度も招かれている自分ならサムハラ神社の御扉から行けるのでは?と踏んだ。自分的にはだいぶ無理矢理な理論だなと思ったが、考えないよりはましだ。
「よし……」神主がいないのを確認して、宗二は御扉を開けた。すると中から光が差し、自分を包んだ。
「あ……」目の前にはあの神がいた。
『ナIIヲ四ニキタ』
「消えた人々を返してください、それを言いに来たんです」そう言うと一人がこんなことを言った。
『モゥ無リダ、人ゲンヲ生化スコトハ出キナ一』
『イ一化ゲン丫ギ羅メ呂』
”高御産巣日,,
「え?」
突如言われたことに宗二はただ静かに聞いていた。
そして、その真実を知ることにも……。
六章
突如言われたことに宗二は理解が追いついていなかった。
「高御産巣日……?」
『オ前ハ三柱ノ一人、高御産巣日神ダ』
宗二は言っている意味がわからなくて混乱していた。するともう一人が話し始めた。
『太古ノ昔、我々、[天之御中主神][高御産巣日神][神産巣日神]ガコノ世界ヲ作ッタ。ソシ弖オ前ガ全弖ノ生命ヲ生御出シタ』
「え…?」
『高御産巣日神、ソレヶオ前ノ本来ノ存在ダ』
神が語った真実に宗二は驚きを隠せなかった。
どうやら、最初に世界を作ったのが[天之御中主神][高御産巣日神][神産巣日神]の三柱で、その後に全ての生命を高御産巣日神が作ったらしい。そしてその高御産巣日神が自分とのこと。
「どういうことですか?」
『最初ハ良カッタヶ、段々ト人間ハ愚カデ傲慢IIナッ弖シマッタ。ダヶラオ前II言ッタ、コンナ愚カデ傲慢ナ人間ハ消スベキダト』
語られる真実に宗二はただ静かに聞いていた。
『ダヶオ前ハ拒否シタ、自ヶラ生御出シタ人間II愛着ヲ持ッタ為ニ』
「……」
『ダヶラ条件ヲ出シタ、御前ガ人間トシ弖人間達ヲ見極メ、コレ以上ノ事ヲシナケレバ生ヶスト』
「え…?」
『ダヶ何十年、何百年経ッ弖モ状況ハ変ワラナヶッタ。』
どうやら人間を生み出した者の責任として高御産巣日神自身が自ら人間を見極め、現実が変わらなかったら一から全てをやり直すとしたそうだ。その為、新たに生まれる赤子に高御産巣日の魂を宿らせ、自らも人間として何百年も人間達を見てきたんだと云う。
「そうだったのか……、でもだとしたらなんで俺はそのことを覚えていないんですか?」
『貴様ハ自ラノ記憶ヲ消シ弖マデ我ラII認メ弖ホシヶッタンダ』
『マッタク愚ヶダ』
自分、高御産巣日は自身の神としての記憶を失ってまで人間を守りたかったんだとわかった。
『ダヶモゥ無理ダ、全弖ノ人間ヲ消シ世界ヲ作リ直ス』
「え?」
天之御中主神はそう言って世界を消し始めた。
「やめ……」
その瞬間辺りが白い光に包まれ、世界が消えた。宗二は神の魂を持つ人間だが、人間の肉体に宿っている故に宗二の肉体、そして高御産巣日神の魂も世界と共に消えてしまった。
何一つ無くなったこの世で嘆くあの者は……。
七章
天之御中主神によって世界が消されてしまい、宗二の存在も消えてしまった。
何も無くなったこの場所に存在するのは二柱の神のみ。
『マッタ久愚ヶメ』
『悪久思ゥナ』
二柱の神はそう言って何処かへ行った。
行き着いた先には他の神々がいた。
『ア奴ハ戸ゥシタ』別天津神が言った。
『消ヱタ、自業自得ダ』
『ダヶ一柱減ッ弖シマツタ』
そんな中、何も無い場所で一つの魂が彷徨っていた。そしてその周りに白い影が纏い始めた。
『ン?』天之御中主のもとへその白い影が近づいてきた。
『貴様ハ』
目の前にいたのは消えたはずの宗二だった。
『何故貴様ヶ』
「さぁ…よくわかんないけど、世界と人間を元に戻してください」
宗二はそう頼み込んだ。しかし天之御中主は拒否した、何百年も変わらなかったことが戻したからと言って何か変わるわけでもないと。
「それでも……、俺達人間を信じてくれ…」
そう言うと奥から別の神が来た。
『天照……』
現れたのは天照大御神だった。
『信ジ不変ワラン、信ジ弖叶ウ……』
「え?」
『ダヶ……』
『我ハ信ジ弖ル、人間ノ未来ヲ』
天照大御神は人間を信じてくれている、全てでなくとも、信じてくれる者がいて宗二は嬉しかった。
「お願いします、世界と人々を元に戻してください」
天之御中主と神産巣日は最後まで悩んでいたが、天照の後押しもありようやく認めてくれた。
「ありがとうございます……」そう言った瞬間目の前がぼやけて、気がついたら自分の部屋にいた。
「本当にありがとう……」宗二は感謝の言葉を述べた。
「宗二?朝ごはんできてるわよ」
「…….、は〜い」
宗二は朝食を食べ、いつものように電車で大学へ行った。
下車をすると友人が待っていた。
「おはよう、行こうぜ」
「うん、行こう一縁」
そう言って二人は変わらぬ日常へと向かって行った。
教室着くと他の友人が宗二達に話しかけてきた。
「おはよう!二人とも」
「今日も元気だなぁ」
「あそういえば読んだこれ?」
「ん?」
友人はそう言うと自分のリュックから本を取り出した。
「これこれ、谷口凌の新作!」
「あぁ新しいの出てたんだぁ」
友人達と楽しく会話をしている……
そんな毎日が、
今も続く………。
ー終章ー
自分的には全然だったけど、友人の「面白い」「すごい」という言葉が執筆をする上での原動力になりました。気遣いの言葉かもしれないけど自分にはとても支えになりました。他の人からしたら素人の下手な作品だと思われるかもしれないけど、自分にとっては友人に支えてもらえたからこそ書けた小説だと思ってます。