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おまけ

「なあ天照よぉ。ガキどもが所属してるLDK同好会の『LDK』って、結局どんな意味なんだ?」

「あら、分からないの? やっぱり神様であっても親は馬鹿なのね。お・や・ば・か」

「絞めるぞテメェ! 親が馬鹿なのは子供に関してだけだッ!」

「尚更あなたにピッタリじゃない」

 無意識に放ちそうになった拳をすんでのところでデメテルは止めた。ここで鉄拳制裁を下しては、気こそ晴れるだろうが疑問は晴れない。

「んで、答える気あんのかよ?」

「分かりません――って素直に言ったら教えてあげてもいいわよ」

 全身を震わせながら、一際大きく痙攣している右腕を必死に押さえる。口からは荒い呼気が絶え間なく吐かれ、我慢だ、我慢だ、と自らに言い聞かせるようにぶつぶつ唱えていた。

「……、…………分かりません」

「聞こえないわ」

「分かりません! これでイイかよこの腹黒! いやノドグロ!」

「あら、いいわねノドグロ。わたし好きよ?」

「だぁ――――――――!! いいからさっさと教えろよッ!」

 すると天照大神は、しょうがないわね、というように両手を肩の高さに持ち上げて首を振ると、クイズの出題者のように芝居ぶって言い放つ。

「LDK同好会に所属する神様を考えてみなさい」

「あ? ――導き手の猿田彦に豊受大神、倉稲魂神、保食神の三神……ただの稲荷神だろ?商売繁盛やら水難防除やら家内安全やら縁結びやら、五穀豊穣以外にも御利益大盤振る舞いの」

「その気前のいい神様の使わしめといえば?」

「そりゃアレだ、キツ――」

 そこでデメテルは、呆気に取られたように放心した。

 その表情が如実に語る。

 ――まさかの日本語?

「気付いたみたいね」

「……最悪だな、このセンス」

「あら、悪かったわね」

「テメェか発案者!」

 デメテルの叫びにも表情を変えない。むしろ得意気ですらあった。

「思いついたときはわたし天才だと自画自賛したんだけど」

 天照の艶やかな唇が、答えを紡ぎだす。

――『立派にでっかいキツネ同好会』と。

 良し悪しの判断は、各々の裁量に任せるとしよう。










 ――朝よいに 物くうごとに 豊受の 神のめぐみを 思え世の人

                                   了


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