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キッチン探索 その07

前回投稿した『その06』の続きをお届けします。

それではごゆっくりご覧下さい。

「それじゃぁモモ、あたしの上に乗って。」


四つん這いの体勢になり斜め上に視線を向けるとモカはその先に居るモモへ自分の背中に乗る様に指示をする。


「うん。けど、本当に良いの?」

「良いからこんな格好になってるんでしょ?さ、早く。」


気兼ねしているモモにそんな言葉を掛けるモカ。

しかし実際はその言葉とは異なる想いを抱いているらしくそれを裏付ける様に正面を向いたと同時に如何ともし難い表情を浮かべるのだった。


「分かったわ。じゃぁ、乗るわよ?」


躊躇しながらもその指示に従ったモモはなるべく負荷をかけない事を考慮しつつモカの背中にそっと足を乗せると少しずつ体重をかけていく。


「うぅ、重い・・・。」


背中から徐々に伝わって来る重みに思わず声が出てしまうも何とか耐えるモカ。

するとその声に反応するや否や少し恥ずかしそうにしながらモモはモカへ意見した。


「やだ。そんな事言わないでよ、モカ。言っておくけどあたし太ってなんかないわよ。」

「モモ、別にあたしそこまで言ってないよ。それよりもバランス崩すからあんまり揺らさないで。」


モカから反論を受けた後、僅かに身体をふら付かせながらもキッチンボードの開閉扉の取っ手部分に手を掛けるモモ。

そして取っ手部分をしっかりと握り締めると背中から転倒しない様にと注意を払いながらキッチンボードの扉を開くとモモはちゅ~るが無いかを捜し始めるも高さの問題で自分の視界からはよく見えずにいた。


「ねぇ、モカ。大変そうにしているところ悪いんだけどもうちょっと高くならないかしら?」

「そんなムチャブリ言わないでよ。あたし、モモを支えてるだけで精一杯だよ。」


無理を承知で言ったものの声を震わせながら答えるモカの様子から自分の要望を叶えてもらう事は不可能だと判断するモモ。

止むを得ずつま先立ちになると十分までとは言わないがそれなりにキッチンボードの中が確認出来る高さまでなったモモは真剣な面持ちでちゅ~るを捜し始めた。


「どう、見付かった?」

「待って、もう少しで見付けるから。」


モカを気遣うあまり焦りを覚えたモモはふとした瞬間にバランスを崩してしまうと仰向けの体勢で引っ繰り返りそうになった。


「はにゃあああ!?」


叫び声を上げると共に無意識に身体の後ろ側へ体重をかけてしまうモモ。


「ふにゃっ!?」


致し方無いとはいえ背中の一部分に必要以上の負荷が掛かった弾みにモカは思わず声を漏らす一方でモモは咄嗟に開閉扉の取っ手に掴まり何とか転倒を免れるのだった。


「ふぅ、危なかったぁ。」

「大丈夫、モモ?」

「ええ、何とかね。モカの方は大丈夫?」

「うん。けど、そろそろヤバいかも。」


モカの限界が近付いているのだろうと察知したモモは目を凝らして探した結果、少し奥まった箇所にちゅ~るを見付ける。

しかもご丁寧に20本入りのバラエティパックとして出荷された物が袋から出されている状態で保管されていたのだった。


「モカ、ちゅ~るを見付けたわよ!」


吉報を知らせるとキッチンボード内に寄りかかる形で腕を伸ばし保管されている内の1本を手にしたモモは身体を張って台になっているモカに差し出そうとする。

すると時同じくしてモモを支えていたモカは力尽きるかの如くうつ伏せになる形で倒れ込むのだった。


「はにゃあ!」

「ふにゃあ!」


突然の出来事に悲鳴を上げるとモモはそのままモカの背中で尻もちを付く。

対してモモが落下した事で背中に衝撃が走ったモカはその反動で上ずった声を出した。

そしてキッチンボードから取り出したちゅ~るはというとモモの手を離れた後、床へと落下した勢いでスライドしながら冷蔵庫の下へと入り込んでしまった。


「モカ、ゴメンなさい。あなたが『食べたがっていた』ちゅ~るだけど冷蔵庫の下に入っちゃった。」

「『食べたがっていた』?モモってば何を言ってるの?」


不測の事態に動揺しながらも平謝りをするモモ。

それを受けモカはモモが想定していたものと異なる反応を示すと程無くしてふたりは自分達の中で目的に関する認識の食い違いが生じていた事に気付くのであった。


「あたし達は飽くまでもちゅ~るの保管場所を確認する事であって食べる事が目的じゃ無いんだよ。」

「え?まさか本当に仕舞っている場所を確かめる事自体が目的だったの?」

「当たり前でしょ?そうじゃなきゃ態々、ご主人様に叱られるような事しようなんて言わないよ。」


今の説明を受けモモはここで初めて自分が大きな勘違いをしていたのだと気付いたのだった。


「(『ちゅ~る食べに行こうよ?』なんて言うからてっきり食べるつもりでいるのだと。でも、幾らモカでもそんな事、本気で言う訳無いわよね。)」


誤った認識をしてしまいショックを隠し切れずにいる中で徐々にモカへ罪悪感を覚えるモモ。


「(ロージー牛乳の時もそうだったけど最初の内は結構、マジだったんだよねぇ。モモってばひょっとして鵜呑みにしちゃったかな?)」


片やモカはというと当初、抱いていた思惑を公にしない中でモモに対し後ろめたい気持ちを抱いた。


「でも、どうしよう。このままだとご主人様にあたし達がイタズラしてたって思われて叱られちゃうかも知れないわ。」

「そうならない為にもご主人様にバレない様に今の内に元の位置に戻さないと・・・。」


不安な面持ちで尋ねるモモへ向け返答するとモカはこの状況を打開する為の術を考え始めるのだった。

最後まで読んで頂きありがとうございました。

ご意見ご感想等が有りましたらお気軽にお寄せ下さい。

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