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キッチン探索 その05

前回投稿した『その04』の続きをお届けします。

それではごゆっくりご覧下さい。

雑談に花を咲かせるあまり本来の目的から脱線してしまったふたり。

改めてちゅ~るの収納している場所を探す事にすると正面に見える冷蔵庫からやや右側に視線を向けたモカはキッチン用品を保管する収納庫に目を留める。


「ねぇ、この辺りに無いか確認してみようよ。」

「『この辺り』って、もしかしてこれ全部?」


幾つも有る収納庫の保管スペースを目視しながらモカの提案に戸惑いを見せるモモ。

だが、そんな事等モカには関係無い話らしく

「勿論、そうだよ。」

と、飄々としながら答えるもそれに相反してモモは気乗りしない態度を示していた。


「でも、結構有るよ?それを1個1個見ていくのは・・・。」

「もう、そんな事言ってても始まらないよ?さ、やるよ。」


業を煮やした様子のモカに押される形で渋々ではあるが従う事にするモモ。

そして、ふたりで協力し合い収納庫の保管スペースを1ヶ所ずつ確認していくも生憎これらのスペースにちゅ~るは保管されていなかったのだった。


「全然、見付からないわ・・・。」

「これだけ探してるのに・・・。」


一向に見付かる気配が無く途方に暮れ始めるふたり。

するとふと天井を見上げたモカは壁に固定する様にして設置しているキッチンボードの存在に気付いた。


「もしかしたらあの中に有るかも。」

「でも此処からじゃ届かないわよ。どうやってあのボードの扉を開けるというの?」

「この上に登れば良いんだよ。」


そう言いながらモカはモモに分かる様に収納庫の上置き部分へ指を差すと一路キッチンボードの届く位置へと行く為、ふたりは揃って移動するのだった。


「取り敢えず近付いては来たけど、まだあたし達には届かない距離ね。」


上置き部分へとやって来るも自分達の背丈では僅かにキッチンボードの開閉扉には手が届かず少し残念そうにするモモ。


「そうだ!これに乗れば良いんじゃない?」


名案が浮かんだと言わんばかりに申し出をするモカ。

それを受けモモはモカの言う『これ』に目をやるとそこには主が愛用している調理器具が有るのだった。


「これってご主人様がご飯を食べる為の機械でしょ?」

「そうだよ。『炊飯器』っていう名前らしいよ。」

「でも、その『炊飯器』の上にあたし達が乗った拍子に壊れでもしたら・・・。」

「大丈夫だって。ご主人様に限ってすぐに壊れちゃう様な物、買ったりしないよ。」


言い包める様にしてモモの不安を跳ね除けてみせるモカ。

そして、徐に蓋の上に手を乗せると保温機能が切られていた為か低温火傷の心配をする必要は無いと判断する。


「よし。じゃぁ、まずはあたしから上に行ってみるね?」


そんな言葉を残し炊飯器へと飛び乗るモカだったが誤ってフックボタンを踏ん付けてしまったらしく蓋が開いた拍子に本体の後ろ側へと投げ飛ばされてしまう。


「ふにゃあ!?」


悲鳴と共に勢い良く宙を舞うとそのままドスンと尻もちを付く様にして着地したモカの姿を受け仰天したモモは急いで傍へと駆け寄る。


「モカ、大丈夫!?」

「いたたた。まさか蓋が開くなんて・・・。」


不測の事態に見舞われるも一先ずモカが大事に至らなかった事を確認するとモモはそっと胸を撫で下したのだった。


「次からは気を付けて上がらないといけないわね。」

「うん。でも、まずはこの蓋を閉めないと・・・。」

「そうね。じゃないとご主人様に叱られちゃうかも知れないわ。」


そのやり取りの後、ふたりは左右に分かれて炊飯器の蓋を閉めるもモカの不注意により誤って炊飯器の蓋と本体の間に自分の尻尾を挟めてしまう。


「ふにゃあああああああああ!」


尻尾を伝って瞬く間に全身へと激痛が走ったモカはまたしても奇声に似た悲鳴を上げてしまうと正面に居るモモはそれに釣られる形で驚倒しながらも尋ねる。


「はにゃあ!モカ、今度は何!?」

「尻尾挟んじゃったぁ。モモ、助けてぇ!」

「ええ!?わ、分かったわ。今、何とかしてあげる!」


困惑しながらも状況を把握したモモは痛みから来る物なのか顔を歪ませながら助けを求めるモカの下へと駆け寄る。


「モモぉ。お願い、早くしてぇ。」

「待っててモカ。今、助けてあげる。」


あまりの痛さにどうにかなってしまいそうになりながらもこの状況から早く解放されたいであろう相棒に励ましの言葉を掛けた後、どういう訳かモモはモカの尻尾を力強く掴んだ。


「え・・・!?」

「じゃぁ良いわね?行くわよぉ。」


痛みを感じながらもその行動に理解出来ず困惑するモカを他所にモモは炊飯器の蓋と本体の間に挟まれた三毛模様の尻尾を自分の方へと引っ張り始める。


「ふにゃあああああああああ!?」


宛らトカゲの尻尾の如く途中でプツリと切れてしまいそうな感覚に陥りながらも新たに加わった痛みに奇声を上げるモカ。


「モカ、もう少しの辛抱よ。頑張って!」


だが、当のモモはというと至って真剣な面持ちで痛みに苦しむモカを早く楽にしてあげたいという想いから懸命に炊飯器に挟まれた尻尾を引っ張り出そうとしている。


「モモ、頼むから尻尾を引っ張るんじゃなくて炊飯器の蓋を開けてぇ!」


モモに悪気は無いと分かってはいるものの痛みに悶え涙目になりながら訴えかけるモカなのであった。

最後まで読んで頂きありがとうございました。

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