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キッチン探索 その04

前回投稿した『その03』の続きをお届けします。

それではごゆっくりご覧下さい。

「まぁまぁ、モモってばそんなにムキにならないでよ。あたしだって洒落で言ってるだけなんだから。」


困惑するあまり苦笑交じりに反駁するモモを宥める様な言葉を掛けるとモカはそれに続ける様にして『冷蔵庫に閉じ込められたら』という前提で繰り広げていた妄想話を再開するのだった。


「でも、モモがシャーベットになったらきっと美味しいだろうなぁ・・・。モモだけに『桃』の味がするかも。」

「はにゃ。そんな事言われてもあたしどう答えて良いか分からないわよ・・・。」


毎度の事ながら呆気に取られるモモだったが直後に振り回される覚悟を決めるとモカの気が済むまで妄想話に付き合う事にした。


「それじゃぁモカ。もしもあなたが冷蔵庫の中に閉じ込められたら一体、何になるの?」

「あたしが?う~ん、そうだなぁ・・・。」


自分の投げ掛けた話にモモが興味を示し始めたのだと判断するとモカは今の質問に適した答えをするべく眉を顰めながら悩み始めた。

対して適当な答えを導き出せず真剣に悩むモカの姿にモモは『何もそこまで考え込まずとも』と思いながらも助言を出す事にした。


「モカの発想で言うのならばあたしが思うに『モカのアイス』になるんじゃないかしら・・・?」

「ふにゃ、『モカのアイス』・・・?」

「そうよ、それも珈琲の方の『アイス』。」


モモが提示した言葉にどういう訳だろうと思いながら首をかしげるモカ。

それを受けモカが今一つ理解していない事を察したモモは先程の言葉に付け加える形で続けた。


「冷たい珈琲の事を『アイス珈琲』って言うでしょ?だからそれに因んで。」

「ああ、成程。アイスクリームの方の『アイス』じゃなくて珈琲の方の『アイス』かぁ。」


一通り説明を受け納得した様子を見せるモカはそれに付け加える様にして所感を述べる。


「じゃぁさ、モモの言う『モカのアイス』にもしも味が有るとしたらどんな味がすると思う?」

「『どんな味』って・・・。今、『珈琲の方のアイス』って言ったんだから普通に『珈琲』の味がするんじゃないの?」


モカによって漠然とした質問を投げ掛けられ窮した様に眉をしかめるモモ。

それを受けモカは溜め息を1つ付くとアイコンタクトを送りつつ何やら物欲しそうにする素振りを見せ始める。


「はぁ・・・。モモってば、アドリブ効かないなぁ。そこはさぁ、ね・・・?」

「えぇ?じゃぁ『キュート』な味かしら?」

「ふにゃっ。どうして分かったの!?」


相棒の心境を推察したモモは自信無さげに答えるとモカは一瞬、目を大きく見開くとわざとらしく感心した反応を示した。


「凄いね、モモ。やっぱりあたしの事よく分かってるね!」

「はにゃっ!?そ、そうね・・・。」


『キュート』と言われて嬉しかったのか(または言って欲しかったのか)モカは感激した装いを窺わせつつモモに接近する。

そんなモカの様子にモモは思うところは有ったが一先ずこの雰囲気を壊さない為、相応しい言葉を述べるに留めるのだった。


「じゃぁさ、もしモモに味が有るとしたらどんな味だと思う?」

「『どんな味』って言われても・・・。それならさっきモカが『桃の味』とかって言っていた様な・・・。」

「それは飽くまでも例えばの話。モモ自身、自分がどんな味がするかを言えば良いんだよ。」

「あたし自身?そうねぇ・・・。」


そう言いながら口元に手を当てると気の利いた返答をするべく考えに耽るモモだったが、ふと真横に目を向けると自分に対して過剰に期待をするモカの視線に気付いた。


「(あたしが『キュート』な味って言ったんだから、流れ的にモモは『プリティ』な味って言ってくれるよね。)」

「(どうしよう、モカがあたしの事を凄く期待した目で見てる。もし此処で『プリティ』な味って言ったら『発想が同じじゃん』って咎められるかもしれないし・・・。それにこの空気で自分から『プリティ』な味だなんて言い辛いわ。)」


気持ちを高揚させながら返答を待つモカを目の前に考え過ぎるあまり深みにはまっていくモモ。


「(あれ、モモってばどうして何も言わないんだろう?あ、分かった。きっとあたしの口から答えてもらいたいんだな。」


目を泳がせつつ何やら迷っている様にも見えるモモの姿を受けそう確信したモカは一向に答える事無くモジモジしているモモに助け舟を出す事にする。


「ハイ、ハ~イ!あたし当ててみせるね。ズバリ『プリティ』な味でしょ?」


大きく手を上げながら答えてみせるモカに少しの間、思考回路が停止するもすぐさま我に返るとモモは作り笑いを浮かべつつ返答する。


「はにゃっ?あ、うん、そうよ『プリティ』な味!」

「わぁ~い。やったぁ、当たったぁ!」


はしゃぎながら喜ぶ様な振る舞いを見せるとその勢いでモモの手を取り優しく握るモカ。

そんな動作の中、ふたりはそれぞれ異なった想いを抱いていた。


「(なんだぁ、素直に『プリティ』な味って言えば良かったのね。あたしったら少し考え過ぎちゃったみたい。)」

「(モモってば、やっぱりあたしに言って欲しかったんだ。その証拠にこんなに嬉しそうにしてるんだもん。)」


『あたし達ってやっぱり仲良しだね』という具合に友情を確かめ合うふたりはふと何か忘却している事に気が付く。


「ところであたし達、今まで何してたんだっけ?」

「それに何であたし達、こんな所に居るんだったかしら?」


数秒程考え込んだ末、本来の目的を思い出したふたりはちゅ~るを捜索する為の活動を再開したのだった。

最後まで読んで頂きありがとうございました。

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