キッチン探索 その02
前回投稿した『その01』の続きをお届けします。
それではごゆっくりご覧下さい。
「取り敢えずあの中を見てみようか?」
キッチンにてちゅ~るが有りそうな場所の目星を付けたモカは収納スペースがある食器棚の下部へと指を差した。
「じゃぁ、そうしましょう。」
モカのから問い掛けに滞り無く返答するモモ。
するとモカは指を差す為に上げていた腕を下ろすと不思議そうにしながらモモの方を見詰める。
「あれ、どうしたのモモ?」
「『どうしたの』ってどういう事。モカったらあの中を見てみるんでしょ、開けないの?」
「いや、だってモモは隊長でしょ?こういう場合は隊長であるモモが率先して行動しなきゃ。」
「はにゃっ、今のもしかしてあたしに開けろっていう意味だったの!?」
キョトンとした表情で尋ねられたかと思えば今度は飄々としながらそんな事を述べるモカに驚いた反応を示すモモ。
「そうだよ。でなきゃ誰がやるって言うのさ?」
「そんなの分かんないわよ。それならそうと早く言ってよ!」
モカに促される形ではあったがスライド式の扉を開ける為にモモは食器棚の収納スペースの前まで歩み寄る。
「じゃぁ良いわね、開けるわよ?」
「オッケー、良いよ。」
その掛け声の後、いざ扉を開ける為にドアプルに手を掛けるモモ。
モカが固唾を飲んで見守る中、あとは体重を掛ける様にして開けば良いだけなのだが何を思ったのかモモは突然動きを止めてしまう。
「モモ、何かトラブル?」
モモの不可解な行動に何事かと尋ねるモカ。
するとモモは少々、申し訳無さそうにしながら後ろを振り返るとモカに向けこんな事を述べた。
「モカ、やっぱりあなたが開けて。」
「ふにゃ?此処まで来てそんな・・・。」
意図せず呆気に取られた様子を浮かべるモカに対しいざとなって臆してしまった事を窺わせるモモはこの場を逃れる為の口実を述べ出す。
「もしもの話よ、この収納スペースの中に何かが潜んでいたらどうする?」
「『何か』って・・・。」
「明けた途端、待ち構えていた獰猛な犬に『ワンワン!』って大きな声で吠えられるかも知れないわ・・・。」
「いや、収納スペースの中にどうやって獰猛な犬が入るの?それにこの家に犬なんて居ないでしょ。」
「そうかと思えばこわぁ~いオバケの大群が『ばあああ!』って脅かしながら出て来る可能性だって考えられるし・・・。」
「そんなの居る訳無いじゃん、オバケなんて迷信だよ!」
モカに悉く言い返された結果、反論出来ず口を噤ませるモモ。
観念して収納スペースの戸を開けるべく再度ドアプルに手を掛けようとした瞬間、モモは何か思い付いた事をほのめかす様な表情をさせるとモカに向けこんな事を言い放つ。
「ねぇモカ、何か忘れてない?」
「『忘れた』って何を・・・?」
「思い出して、あたしを隊長に任命したのはあなたでしょ?」
「うっ・・・。」
「隊長命令よ。モカ、あなたが開けなさい。」
「モモ、実に上手く交わしたね・・・。」
形勢を逆転されてしまったモカは仕方無さそうにしながらも体重を掛ける様にしてスライド式の扉を開くと前のめり気味になりながらちゅ~るが有るかを捜し始めた。
するとお目当ての品を発見したのかモカはモモに向け大きな声で呼び掛ける。
「わぁモモ、凄いよ!」
「なになに、あたしにも見せて!」
期待感を煽るモカの言葉に逸る気持ちを抑え切れない様子を見せるモモ。
それを受けモカは前のめりになっていた体勢を後退する形で元に戻すと見付けた物を手に取りながらモモへと差し出す。
「ほら、モモ。チョコレートが有ったよ!」
「ちょ、チョコレート・・・?」
先程までの明るい表情から一転し、モモは急に暗い表情へと変貌させるもそれに気付かないモカは自分が知っているチョコレートに関する知識を披露する。
「そう言えばあたし達、バレンタインの日に男の子に告白する練習をやったけど、実際のバレンタインでは女の子がプレゼントとして男の子にチョコレートを渡すのが多いんだって?」
「・・・・・・。」
「ねぇちょっと、モモ。聞いてる?」
問い掛けているのにも拘らず返事が無い事に違和感を覚えるとモカは漸く何やら酷く落ち込んでいるモモの様子に気付いた。
「ふにゃっ?モモ、急にどうしたの?」
「あたし、チョコレート、嫌い・・・。」
何事かと尋ねるや否やたどたどしい口調で述べるモモを受けチョコレートに関して何かトラウマが有るのだろうと察知したモカ。
悪気は無かったとはいえ嫌な思い出を呼び覚ましてしまい罪悪感を覚えるモカは少々うろたえた素振りを見せながらも自然な形で話題を変える事にする。
「で、でも今は『チョコレート』じゃない何か別の物を贈る場合も有るみたいだよ。」
「そ、そうなんだ。そうよね?『チョコレート』以外にもお菓子の種類はいっぱい有るものね。バレンタインだからといって別に『チョコレート』じゃなくても・・・。」
モカのフォローにより立ち直ろうとするモモだったが何を思ったのか自分からチョコレートというワードを発してしまうと又も気落ちしてしまうのだった。
「いやいや、今のはあたしじゃないからね。ってか、自分から言っといて落ち込まないでよ!?」
暗い表情を浮かべ頭を垂れるモモにモカは少々、動揺しながら指摘するのであった。
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