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パラレルワールド・俺ハーレム  作者: 小野山由高
PART 3 : ワンダリング・パラレルワールド
15/50

No.15 いざ、パラレルワールドへ!

「それじゃあ、全員揃ったことだし――皆にも説明がてら、ちょっと並行世界に行ってみましょうか!」

「……いよいよか」


 ナツの言葉はもうほぼ信じてはいるが、やはりどうしても『並行世界』ということだけは信じがたい。

 拒否反応を示さない女ではあっても、もしかしたら世の中にはそんな人物がハルが知らないだけでいたのかもしれない――じゃあなぜナツたちはそんな人物を見つけ出せたのかという疑問はあるが。

 『並行世界』よりもそちらの方が信じやすい。


「さっき私たちが戻って来たあの部屋に行くわよ。

 あの部屋のゲートから行くのが一番確実だしね」

「ふむ」


 トリックの一端なのか、あるいは並行世界へと行くためのゲートを迂闊にあちこち開くわけにもいかないのか、ハルにはまだ判断することもできない。

 素直にハルたちはナツに導かれ、白い部屋――『超科学パラレルワールドゲート』の部屋へと戻って来た。


「さて……並行世界に行く前にいくつか注意点があるから、皆絶対に守ってね!」


 こほん、と咳ばらいを一つ。

 ナツが『注意事項』について説明していく。


「これから私たちが向かうのは、アキ姉の世界とフユちゃんの世界ね」

「……この世界は最後か?」

「うん。まぁ最初でもいいんだけど、最終的にはハルの世界に行くからね。最後の準備とかも兼ねて、N世界は最後にするわ。

 それで各世界の滞在時間なんだけど……5分。最大でも10分までとさせてちょうだい」

「短いな。何か理由があるのか?」


 たった数分の滞在で『並行世界』の存在を確信できるのかはかなり疑問が残る。

 トリックを見破られないための言い訳ともとれるが……。

 ナツは真剣な表情でハルに向かって頷く。


(アキ)世界はまだいいんだけど、(フユ)世界は()()()()()なのよ……。

 だから、万が一もないようにしないとね。

 で、それに関連して注意点の2つ目は、私から離れないようにしてちょうだい。特にハルとフユちゃんは」


(危険なのか……そんな危ない橋を渡らないでも――って、これは俺のせいか……)


 自分に並行世界の存在を信じさせるため、というのが目的だ。


「わかった。ナツのすぐ傍にいればいいんだな?」

「うん。できれば服とか掴んでてもらいたいくらいだけど……まぁそれはいいや。

 フユちゃんはお姉ちゃんとお手々繋いでいきましょうね♪」

「……ぅん」

「うふふっ、大丈夫よぉ。お姉ちゃんが全部ぶっ飛ばしてあげるから♪」


 あえてハルとフユだけを指名したのは……アキは放っておいても大丈夫ということなのだろう、と理解しておくこととする。

 だが、どこかワクワクしているようなアキに対してナツは別にくぎを刺す。


「アキ姉もあんまり私から離れないようにね! アキ姉を置いて帰っちゃうわけにもいかないんだから。

 ……特にF世界では」

「わかってるわよぉ~。ハル君たち皆を守るのが、わたしの役割なんだからぁ~」


 物騒な言葉が端々に現れるアキではあったが、最重要の目的は見失っていない……はず。


(ふむ……やはりアキさんが『武力』担当なのか……? 見た目からは想像できないが……いや、鉄塊を砕いていたしな)


 のんびりとした喋り方におっとりとした笑顔、着ている服を除けばいわゆる『ゆるふわ癒し系』ではあるのだが、軽自動車ほどの大きさのある謎金属の塊を拳で砕いているのをハルは見てしまっている。

 身長もハル並に高いし、見た目以上の腕力を持っていることだけは疑いようがない。

 ……後は性格が好戦的なのかどうかではあるが。


「フユちゃん、怖いだろうけど……ごめんね、少しだけ我慢して、ね?」

「…………ぅぅ」


 泣きそうな顔をしているフユではあったが、『嫌』とは言わなかった。


(……F世界が一番ヤバいってことか? 行ってみればわかることか)


 百聞は一見に如かず。

 並行世界の実在についても、彼女たちについても。

 実際に見てみれば答えは出るはずだ。

 答えが出れば、ハルは自分自身を納得させることができるはずだ。


「じゃ、覚悟はいい? まずはアキ姉の世界から行くわよ。

 超科学パラレルワールドゲートオープン!」


 ナツの掛け声と共に、部屋中央の台座に光が現れる。

 H世界で見たのと同じものだ。


「さっき私が言った注意点を忘れないようにね?

 アキ姉、先頭と帰る時の殿(しんがり)、よろしくね」

「ふふふ、わかったわ~」


 (推定)武力担当のアキが突入時の先陣と撤退時の殿を引き受け、ハルたちを安全に返す。

 ……下手をするとアキが取り残される恐れはあるが、それは本人もナツも承知の上だろう。

 『女』に危険な位置を任せることに対して気は引けるが……自分(ハル)を守るという目的のために集ったメンバーなのだ。

 ここでつまらない『男のプライド』を振りかざすことに何の意味もないだろう、とハルは呑み込むこととした。




 ハルたちのパラレルワールドを巡る短い旅が始まる――

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