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第五話 タイトル回収!?……もうちょっと待って

今回の題名はてきとうです。

 とりあえず、持っていた魔石で魔力を補充する。マジックバックに入れてなくて本当に良かった。


「ヒール」


 光魔法を使って応急処置だけしておく。完全に治すことも可能だが、今はなるべく魔力を温存しておきたい。


 治している途中に凄まじい雄たけびが聞こえた。それも1つや2つではなく無数に聞こえる。


(2種類?……龍の縄張り争いの声に似ているんだけどなぁ。)


 雄叫びは似ていたが、よく聞くと2種類に分けられる。そして、どちらも龍の雄叫びに似ていた。


(ただ、あいつらが故郷を出るわけないと思うのだが。)


 龍とは高潔な生き物で、自分の故郷に誇りを持っているから、故郷を出るくらいなら死ぬというやつが多い。だから、元々こんなところに龍の縄張りなど無かったのに縄張り争いが起きているということがおかしい。


(それにあいつら、基本的に喧嘩しないしな)


 龍にも色々種類があって、黒龍、青龍、白龍、紫龍etc……まあ、いっぱいいる。龍は群れで暮らしており、他の群れに干渉しないというのが不文律らしい。


 因みに魔龍は龍じゃない。全然違う。口で説明するのは難しいが、カレーとハヤシライスぐらい違う。簡単に言うと魔龍は魔物だが、龍は生物ということ(厳密には少し違う)


(とにかく、確認しなければ。)


 不安要素はまだまだあるが、決心して顔を窪みからヒョイッと覗かせる。



「おおっ……」



 その景色は圧巻の一言だった。私はここに来る前は世界各地を旅してきた。勿論沢山の龍にも会ったが、こんな光景は見たことがない。


 あの長い廊下の天井が崩壊して、そこには超巨大な空間が広がっていた。そして左手側におよそ500匹の黒龍、右手側にこれまたおよそ500匹の白龍。


 群れで大移動するなんて引っ越しをするときぐらいで、引っ越しをしない龍はまずこんな光景は見られない。しかも、2つだ。


(あいつら、何やってんだ?)


 そしてその動向を見ていると、縄張り争いとかいう領域を超えていた。黒龍と白龍が激しく交戦して、空中で絡みあい、喉を噛み切られて落ちていく。黒龍か白龍か、あるいは両方か。


 昔なら仲裁に入れたかもしれないが、今は絶対に無理だ。


「というか、ここじゃだめだな。」


 どういう理由か知らないが、龍が争っている以上こんな窪みぐらいでは余波を凌げるわけがない。急いで隠れる場所を変える必要がある。


(奥に戻るか?その過程で何か洞穴的な物が見つかればい......)


 出していた頭を引っ込める。直後、すぐ真横で「ドン」と凄まじい音がして、大量の砂埃が舞う。絡み合っていた白龍と黒龍が落ちてきたのだ。


「グルルルル」


 もう一度頭を出して確認していると、砂埃の中に大きな影が現れ、翼をはためかすシルエットが見えたと思うと砂埃が全て吹き飛ばされ、視界がクリアなった。


 砂が目に入らないように、目をつぶった後、そっと開けると丁度前に黒龍がいた。あろうことか目があってしまった。


 別に目があったら殺されるとかいうわけではないが、何となく怖かったのだ。


「えっと……こんにちは。」


 それ以上に私の行動が謎だった。ここで挨拶をする理由がどこを探しても見当たらない。


 黒龍の方も拍子抜けしたのか、2秒ほど見つめ合ったままだっが、フッと息だけ吐いてそのままあの戦いの場所まで戻って行ってしまった。


 あとに残ったのは、私と動かない白竜の死体のみ。私もしばらく動けなかったが、さっさと行かねばと自分を鼓舞して奥に戻って行く。


(本当に、なんでだろうな)


 奥へと戻り、隠れられそうな穴を探しながら考える。


5000年ぶりに外に出てみるとまるで世界が違っていた。


 大迷宮の深層なのにやたらと弱い魔物。レベルが上がりやすい。倒した魔物が勝手に魔石に変わる。龍の争い。


(ん?)


 もう一つ不可解なことを見つけた。龍の戦いを見ていると、白龍の死体はそのまま残るのに、黒龍の死体は魔物と同様魔石に変わる。


(私の記憶違いか?いや......あれは絶対に黒龍)


 全てが見てきたものとは異なってきており、考えてくると何が何やら分からなくなる。


「ゼルセキヤ......」


 今まで言ってきてなかったが、私の部下の名前だ。至るところでやらかしていた私のフォローを、毎回顔色一つ変えずに全てこなしていた。


「どうしたらいいと思う?」


 いつの間にか衰弱しきっていた私の心は、限界に来て崩れそうだった。


『姫は馬鹿なので何も考えなくて大丈夫です。頭が必要なことは私や仲間達にお任せください。姫は御自分の命を守って頂ければ、その後は何とかしますので。』


 ふと、ゼルセキヤの声が思い出される。ここに来る3日前不意にゼルセキヤが言い出したのだ。いつになく真剣な表情だったため、意図がよく読めずとりあえず背中に蹴りをいれといたのを覚えている。


(それも.......そうか)


 会った当初から、ゼルセキヤは約束を違えたことはない。今来れないのは何らかの事情があるからで、それならばこちらから迎えに行けばいい。


(それに、これだけ待たしたんだから、ずっとイジれるネタにもなる)


 再び、私は奥へと行くために足を動かした。




 その後私はまあまあ大きい横穴を見つけ、争う音が止むまでずっと待つ。


「止んだかな?」


 2日後、一切の音が消えて、あたりには静けさしかなかった。


 ちょっと外に出て見回したが、動いてるものは何も見当たらず、地面には無数の魔石と白龍の死体だけが残っていた。


「魔石を回収するか。」


 考えても仕方がないので、必要なものだけ持っていくことに決めた。


 その直後、上から音がして大きなものが向こう側に落ちたのが見える。


(なんだ?)


 近づいてみると、息絶え絶えの黒龍だった。


 どうしていいのかわからず、まごついていると、こちらに顔を向けてそのまま前と同じように目があった。多分違う個体だと思うが。


『人の子よ、頼みがある。』


(こいつ......)


心の中に直接語りかけてきた。


(5000年、誰とも会話してこなかったけど、まさか最初が龍との会話になるとは)


 拒否権も無さそうなので、とりあえず聞いてからと心に決めて、一応護身用の短剣は握っておきながら、そっと黒龍に近づいた。


今日の今日までハヤシライスとカレーの違いを知りませんでした。何に対してか分かりませんけどすいません。

次回、黒龍視点です。


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