表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

3/6

第三話 深まるのは謎だけ

 対応するボタンを押し、1つ目を起爆する。1つ目は直接当てるためではなく、あえて近くで爆発させることで警戒心を抱かせ行動を制御しやすくするためのもの。


 轟音とともに入口近くのダイナマイトが爆発して、周りの岩を木端微塵に粉砕する。案の定、あの魔物達は奇声を上げながら集まって集団で行動するようになっている。あとちゃんと起爆できることも確認できて良かった。


「ひとまず成功と……次はタイミングを命だから。」


2個目のボタンを持ち、同時に3個のものも持っておく。1つ目は目視でするために入り口付近まで行っていたが、今は危ないためあの元々いた部屋に戻って、そこでさっき使ったサーチを常時発動させている。


「ググッ……ギャギャギャ」


相変わらず奇声を上げているあの魔物達が集団でゆっくり歩いて来るのがわかる。


「ここ!」


 2個目を起爆し、すぐさま3個目も起爆する。2つも一気に起爆した為、遠くにいる私にまでも揺れが伝わる。


「よっしゃ。」


 上手く思った通りになってくれた。


 そもそもここはどんなところなのかというと、大きい洞窟が続いていて、私がいたあの部屋は丁度道の終わりに置かれている。


 そして今2個目を集団の真ん中で起爆させ、それと同時に壁に設置しておいた3個目を起爆させる。そうすることで、あの魔物の集団が2つに分断でき対処がしやすくなる。壁は予め魔法を使って崩れやすくしておいたので、上手い具合に崩せることが出来た。


『レベルが83から211に上がりました。』


「え?」


 急にレベルアップ音が聞こえて来て、それと同時にサーチの反応が1つ消える。今まで5匹いたのが今は4匹になった。


(倒したのは別に予想はしてたんだけど……こんな早く上がったもんだったかな?)


 レベルというのは上がれば上がるほど、上がりにくくなる。ある調査した団体によるとレベル1から150に上がるのと、190から220に上がるまで同じ位魔物を倒さないと行けないらしい。


 私の場合は少し特殊な身の上なのでレベル500くらいまですっ飛ばして来たのだが、それももの凄く前のことなのであまり覚えてない。ただ少なくとも魔物を一体倒しただけでこんなにレベルは上がらなかった筈だ。


(まあ、いいか。上がらないよりかは遥かに良いし、それにこれくらいならだいぶまともになった気がする。)


「ステータスオープン」


名:アリエスタ=ヘイルント

種族:人間

性別:女

Lv.211

ーーーー

魔力:412

体力:641

耐性(物理):300

耐性(魔法):300

攻撃:470

敏捷:104

ーーーー

使用可能魔法

風魔法(極)、水魔法(極)、炎魔法(極)

氷魔法(極)、岩魔法(極)、光魔法(極)

闇魔法(極)、暗黒魔法(極)、鑑定魔法(大)

探査魔法(極)、付与魔法(極)、身体強化魔法(大)

最終魔法

ーーーー

使用可能スキル

魔力消費軽減(極)、体術(中)、槍術(低)

暗殺術(低)剣術(大)、乗馬術(高)、糸操術(中)

弓術(大)、不老不死

ーーーー

その他

受けている呪い:『純愛の呪い』

状態:健康


(うーん、412。あいつらがどんだけの攻撃が通用するかが分からんからなぁ。ただ……これだけ上がるっていうのは相当強い魔物って可能性もあるっていうのが嫌だ。)


 勿論、魔物強くなればなるほどレベルが上がる為の経験値が多い。つまり、この魔物が相当強い可能性がある。


(一旦、このまま次のやつを起爆するか。)


 失敗はしたくないので安全策をとる。さっき倒せたように、やはりダイナマイトは攻撃ステータスに依存しないことが分かった。ちゃんと当てれば倒せる。


 中断していたサーチを再度発動して、魔物の居場所を探る。


(……動いてない?)


 先程の4つの点が全く動かない。


(警戒して、全く動かなくなってしまったのかな?)


そうならば面倒だ。ここから少し進んだところに、ダイナマイトを大量に用意してあると言うのに。


「もう一回見に行くか。」


 これ以上止まっていても、出来ることはない。ここから進めなければ、あの部下に腹パンもできない。


「影よ、闇よ」


 なるべく気配を消すために、暗黒魔法と闇魔法を使う。本当は詠唱を使った方が魔力消費の観点から見れば良いのだが、ここに5000年間いた以前から詠唱は面倒くさくてやめていたので覚えてない。


 一応心配なので物音を立てないように進む。風魔法を使ったら音も消せるが、探査魔法、暗黒魔法、闇魔法と3つも同時に使っている状況なので、緊急時に魔法が使え無いと困る。


 ようやく目的の場所へ着いて注意して辺りを見回したが、そこには体のあちこちから赤い血を流している、瀕死の状態の魔物が横たわっているだけ。サーチでもう一度注意深く確認しても、他に反応はない。


(あれはそんなに威力が高いのか?……いや、この崩れ具合とか見てもせいぜい『高』レベル。だったらなぜこんなにもレベルが上がるのが早かった?)


 自分が実際見たときも、この壁の崩れ度合いから見てもこのダイナマイトは風魔法と炎魔法が『高』あれば出せる威力だ。確かに結構威力があるのは認めるが、こんな大迷宮の深層で通用する訳が無い。もし何らかの理由でこの魔物が深層なのに弱かったとしても、そんな弱い魔物でこれ程の経験値があるというのもおかしい。


「とりあえず、倒しておくだけ倒しておかないと。」


 疑問は残っているが、強くてレベルが上がりにくいよりかは遥かに良いと自分に言い聞かせながら、一応魔法は解かず、そっとバックから取り出したナイフを弱点と思われる首筋に突き立てる。


 当然のように血をもろに体に浴びて、それと同時にあの声が聞こえて来た


『レベルが211から291に上がりました。』


 いちいちついた血は気にしていられないので、全部処理し終わってから流そうと次の魔物の所に行く為に立ち上がる。


 次の瞬間、魔物の体が光だし自分に付着した血も光始める。


(やばい、何か来る!自爆タイプ?)


 魔物の中には最期に自爆するやつもいる。初めて見る魔物なのにそれを怠った自分を殴りたい。


「水よ」


 咄嗟に水魔法を使って自分を覆う。本来攻撃を防ぐなら岩魔法だが、自分の服に血がついており、それも爆発する可能性があるので、水を1000分の1ミリ単位で操作して覆う。心もとないがしょうが無い。


 衝撃に備えて、体を丸めてうずくまった。


(あれ?)


 いつまで経っても爆発の衝撃が来ない。体感時間だともう十秒は経った。


 目の周りの水だけどけてうっすらと目を開けると、そこには赤い石が転がっているだけで他は何も変わっていない。


「……誰か、教えてくれ。」


私の虚しさを含んだ言葉は、洞窟内で響くだけだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ