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1.星獣の王

新章、「四星獣編」始まりです。更新は不安定になるかと思いますが、頑張って書くので何卒よろしくおねがいします!!

 星獣。


 それは、星を餌として喰らいながら宇宙を泳ぎ回る、巨大な龍のような姿をした獣。


 星の如く強烈な輝きを放ちながら泳ぐその姿は、とても美しいものであり、星獣の姿を見たものは、幸福が舞い降りるという伝承が浸透している地域も存在する。


 一方星獣は、人間など他の種族が住む星であろうと容赦無く喰らう。


 それ故別の地域の種族からは、”生ける災害”として恐れられ、不吉の象徴とも呼ばれている。


 そして今まさに、この宇宙にとって、史上最悪の災害となり得る存在が、水面下で静かに、静かに動き出そうとしていた。



「おお……なんという美しい輝き、そして美しい鼓動だろう。もうすぐだ……もうすぐ我らが絶対なる王が顕現なされる……!」



 そう呟くのは、真っ白に神々しく輝く、全長120メートル程の巨大な星獣。


 星獣は基本的に、言葉を扱う程の知能を持たない。


 しかし”上等種”という、星獣の中でも極一部の上位個体に至っては、知的生命体と同等の知性を持つようになり、言葉を扱う個体も出てくるようになる。


 そんな白き星獣が見惚れる視線の遥か先には、ゆっくりと脈打つように膨張と収縮を繰り返す、赤紫色の超巨星が存在した。



「王さえ生まれれば、この宇宙は再び星獣の天下となる! ここ数万年の間にこの宇宙は、我々星獣にとって非常に生き辛い場所となった……。昔は誰にも邪魔されず、ただ(えさ)を喰らい、宇宙を自由気ままに泳ぎ続ける快適な日々が続いた……」



 白き星獣は、遥か昔の幸せだった日々を思い出していた。



「だが今や!! この宇宙には邪魔者共が多く蔓延(はびこ)ってしまった! 特に界遊楽団!! 何なんだあいつらは!!! 突然この宇宙に出現したかと思いきや、次々と同族達を殺しよってぇ!!」



 太古の宇宙において、星獣は絶対的な存在であり、星獣こそが食物連鎖の絶対的頂点であった。


 しかし時代と共に、星獣と肩を並べる屈強な種族が次々と出現。


 終いには界遊楽団の出現により、星獣はさらなる劣勢に立たされた。


 星獣という種族の衰退、白き星獣は、それを何よりも恐れ、憂いていた。



「だかしかし!! このタイミングで新世代の”星獣の王”が生まれようとしている! この我を遥かに凌ぐ史上最強の王が!! 天は我らを見放してはいなかったのだ!!」



 星獣は、その時点で最も強い個体が”星獣の王”として君臨し、他の星獣を支配し、統率するようになる。


 現時点で星獣の王を担っていたのが他でもない、この白き星獣であった。



「だがまだまだエネルギーが足りぬ……! 万全の状態で誕生させるには、もっと多くのエネルギーが必要だ。あの”星卵(せいらん)”の重力で周りから吸い取るだけでは不十分。こうなれば手下を生け贄に捧げてでも……」


「エネルギーが欲しいのー?」


「そうだ! このままでは100パーセントの状態で誕生しな……って、何者だ貴様!?」



 いつの間にか白き星獣のすぐ側にいたのは、黒いスカートを身に着けた銀髪ツインテールの少女。



「はーい! あたし、イルユちゃん! 界遊楽団やってまーす! ところでアレなにー? エネルギー送るとどうなるのー? えーっと、しろへびさん?」


「か、界遊楽団だとっ!? なぜここに!? そ、それより誰がしろへびさんだっ!!」


「クロと久々に遊んでたら、ここまでふっ飛ばされちゃったの。それにしてもこの辺まで来たの初めてだな〜。あんな派手な星があるなんて知らなかった! で、しろへびさん、あれはなにー?」


(ま、まずい……!! こんなところでバレるとは!! せっかく誰にも見つからないように、わざわざ宇宙の端の無生物地帯まで、星卵を移動させてきたというのに!! だ、だが今のところこ奴に敵意は全く感じられん。よし、こうなれば……)



 動揺を抑え、白き星獣はイルユに語り掛ける。



「わ、我をしろへびさんなどと呼ぶでない! いや、そんなことより丁度良かった! あの星はエネルギーを送り込むと、どんな願いも7つ叶えてくれるという、神の化身が誕生する素晴らしい星なのだ!!」



 苦し紛れの嘘であった。



「どんな願いも!? すっごーーい!! あたしも願い叶えたーい! そうだ! 7つもお願いできるなら楽団のみんなも呼んでこよっかなー」


「(ギクゥ)い、いやちょっと待て!! そ、そうだ!! イルユとやらよ、そなたの力を貸して欲しいのだ! そなたからは底知れぬオーラを感じる。そなたの力であればきっと神の化身を呼ぶことができる! いや絶対できる!! だから今ここで、オーラをエネルギーに変えて送ってみて欲しいのだ!! どうか頼む!!!」


「うーんそっかー、そういうことなら協力するよー!」


(占めたぞ、愚か者め! 貴様のその安易な行動が、この宇宙を、そして界遊楽団そのものを滅ぼすのだ!!)



 白き星獣……しろへびさんの企みなどつゆ知らず、イルユは星卵と呼ばれる赤紫色の超巨星に向けて、オーラを軽く手のひらに集中させて構える。



「どれくらいかなー?」


「お、おい……それはいくらなんでもエネルギーを込めすぎだと思うが……?」


「ん、そう? 随分少なめで良いのねー。んじゃーこれくらいでいっか。そーれ!」


「ぬおおおおおっ!? ま、待てぇい!!!」



 しろへびさんの制止も虚しく、イルユの手元からオーラが放たれる。


 イルユは、かなり手加減をしてオーラを放ったつもりだった。


 だがそれでも、しろへびさんの想定していたエネルギー量の数十倍ものエネルギーの塊が、星卵に向けて放たれた。


 そのエネルギーを取り込んだ星卵は直後、その様子を激変させる。


 赤紫色に輝いていた星は、急にランダムに様々な色に点滅し始め、脈動の周期は急速に早まり、星の形そのものも、グニャグニャと歪み始め、正に混沌とした様相を呈していた。



「おおーー!! これで願いが叶うんだねー!」


(あ……侮っていた!! 今のエネルギーは軽々と出して良い量ではないぞ!! ま、まずい!! エネルギー過多で正常に生まれなかったら、我のこれまでの計画が……!!)



 明らかに異常な変化を見せている星卵。


 しかししろへびさんにできることは、最早奇跡が起こることを祈ることのみだった。


 そして突如、混沌としていた星卵が急激に圧縮される。


 直後、限界まで溜め込まれたエネルギーが、風船の如く一気に弾け、強烈な光を放ち、大爆発を起こす。


 それはさながら、超新星爆発のようであった。



「ぬおおおおお!? こっこれは……無事に誕生なされたのか!?」


「わぁ、まぶしーー! あっ! しろへびさん見てみて!! なんか中心がカラフルに光ってるよ!!」


「な、なんだと!? あ、あれは……!!」



 爆発が次第に収まっていくと共に、中心の様子がはっきりと見えてくる。


 そこに現れたのは、赤黒、青黒、黒緑、黒白にそれぞれ輝く、全長10キロメートルを超える4匹の超巨大星獣だった。


ようやく本格的に物語を動かせますね

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