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Ⅲ.ユウガ✕敬虔なる信仰者

 ここは遥か辺境の地に広がる、大規模な小惑星帯。


 その中でも一際大きな小惑星の地上に、8人の男女が集まっていた。



「今日何人殺った?」


「俺は100億ぐらい」


「ウチ500億ちょい、勝った〜」


「2人ともまだまだねぇ。アタシは1000億くらい殺って星も数百は破壊してきたわよ?」


「ぐっ……上等だコラ。今日はちょっと気分乗らなかっただけだ。明日はテメェの倍以上殺ってやらぁ!!」


「あらら、また始まったよ。懲りないねぇ」



 そんな物騒な会話を繰り広げる彼らは、「覇界団(はかいだん)」という名の宇宙犯罪集団。


 半年前、界遊楽団の手により大きな損害を被った宇宙特防軍は、その管理区域を宇宙全体の30パーセントから、7パーセントにまで大幅に縮小させた。


 これにより宇宙全体の治安は急激に悪化。


 更に楽団の悪名がこれをきっかけに宇宙中に広まったことにより、眠れる荒くれ者や無法者達が一斉に爆発。


 宇宙犯罪者達が大量に跋扈(ばっこ)するようになり、中には楽団を崇拝し、模倣する者達まで出現した。


 彼ら覇界団もまた、楽団に魅せられ、楽団を模倣して結成された組織である。


 覇界団は結成から僅か1か月で急速にその悪名を伸ばした、今最も勢いのある犯罪集団である。



「3人とも、つまらない小競り合いは止めなさい。我々の目的は、偉大なる界遊楽団の御方々の軍門に下るに相応しい名声と力を手にし、御方々による宇宙の完全なる支配をお手伝いすること。くれぐれもそれを忘れてはなりませんよ?」


「「「はい、団長!!!」」」



 団長と呼ばれる茶髪の男、ザンコーは3人をなだめ、そのまま本題に入る。

 

「さて、皆さんをこうして招集した時点で既に察しは付いているかと思われますが、今回はとても重大な任務を実行に移します」


「私達全員で動く程の任務……一体何を始めるのです?」


「宇宙特防軍を滅ぼします」



 団長を除く全員が、軽く驚きの表情を浮かべた。



「……ガッハッハッハ!!! 遂に機は熟した、ということですかい? 団長!!」



 団員の中でも一際大きく筋骨隆々な体を持つ男が、嬉しそうに問いかける。



「その通りですカッスル。今や我々は不可侵領域クラスの力を有しているのは明白。方や特防軍は先の戦争で、全盛期の3割程度の力しか有していないと見て問題無いでしょう。この任務をこなした日には、我々覇界団は偉大なる界遊楽団と同じ偉業を成し遂げた者として、一気にあの御方々に近い地位を手にするのです!!」


「「「「「「「うおおおおおおおお!!!!!」」」」」」」



 団員全員が一気に高揚し出す。


 界遊楽団と共に宇宙を意のままに支配し、蹂躪するという悲願に大きく近づける。


 そんな思いで彼らの胸はいっぱいになった。


「実行は今から4時間後、それまで自由時間を与えますので時間までに万全の状態にまで調子を整えてまたここに集合です。宜しいですね?」


「「「「「「「了解!!!!」」」」」」」



 こうしてそれぞれ任務に備え、アジトを一時的に離れる者やその場に留まって精神統一する者、リラックスしてのんびり過ごす者に別れていった。




******




 あれから4時間後。


 覇界団の団員が任務のために全員アジトに集まる予定だったが、ただ1人時間になっても姿を見せない者がいた。



「おい、ミーゴの奴はどうした?」


「あいつアタシらん中じゃ1番時間に厳しいってのにどうなってんだい?」


「よォ、ミーゴってのはコイツかァ?」


「そうそうこんな目付きの悪い金髪の女……んなっ!!??」



 赤髪の団員の男が、何者かに服の襟元を掴まれ宙ぶらりんの状態で現れたミーゴを見て、驚愕の表情を浮かべる。


 ミーゴは腹に大きな風穴を開けられており、既に事切れていた。



「な……!? お、お前いつの間に!?」



 そこにいたのは、派手な腕輪と首飾りを付け、袖なしのシャツを着た長い癖っ毛の青髪の青年であった。



「最近調子乗ってる覇界団とかいうふざけた野郎共は、てめェらで間違いねェかァ?」


「な……貴様っ!!」


 

 団員全員すぐさま臨戦態勢に入ろうとしたそのとき、



「お前たち!! 今すぐその御方に頭を下げなさい!!」


「だ、団長!?」



 ザンコーが団員達の前に出て、青年の前で土下座する。



「ぶ、部下の非礼をお許し下さいませ。ユウガ様」


「ユ、ユウガ様って……」


「ま、まさか!!!」



 ザンコー以外の団員達も冷静になり、ようやく青年の正体に気付き、即座に土下座をした。


「なんだァ? 急に土下座なんかしやがって。てか『ユウガ様』なんてやめろよォ恥ずかしいじゃねェか〜」



 ユウガは自分を崇拝する彼らに対し、満更でもない様子だった。


 しかし団員達は既に恐怖に染まりきっていた。



(ま、間違いない、ユウガ様だ……!! な、生で見たの初めてだ!!! でもなんなんだ……このとんでもない殺気は……。お、俺達なんかやらかしたのか……?)


(じ、次元が違いすぎる!! アタシらレベルが例え何億何兆いようと勝てる気がしないよ……。こ、このままじゃアタシらもミーゴのように殺される……!!」



 ユウガのほんの微かだけ発していた殺気に充てられただけで、正気を保つことすらやっとの状態なのであった。


 ただ1人、ザンコーだけが対話をするだけの余力を残していた。



「んでェ? 結局てめェらが覇界団で間違いねェんだな?」


「え、ええ、如何にも。お会いできて光栄にございます。して、我らに一体どのような御用で?」


「なァに、大した用じゃねェよ。ちと死んで貰うだけだ」


「「「「「「「「なっっっ!?」」」」」」」」



 突然のユウガからの死刑宣告に、全員困惑と絶望を隠しきれずにいた。



「お、お待ち下さいユウガ様!! 我々が貴方がたにご迷惑をお掛けしてしまったのなら謝罪致します!! もし差支えなければ是非とも理由をお聞かせ願いたい……!!!」


「お〜ゥ、そんな丁寧に言われちゃ敵わねェなァ。ま理由くらい言ってやるか」



 ユウガは、自分に敬意を以って対応してくる人物に少し甘かった。



「つっても簡単なことだ。てめェらのような、俺らの宇宙()を好き勝手荒らす連中が最近増えててうぜェから、俺が掃除して回ってるってェだけだ」


「そ、それは申し訳御座いませんでした……。我々はただ、偉大なる界遊楽団による、全宇宙の完全なる支配のお手伝いをしたいと思い、貴方がたの軍門に下るに相応しい力と名声を蓄えていただけなのです。ご迷惑であれば今後は活動を控える故、どうかお許し頂きたく存じます」


「……ッハハァ!! なんだァそりゃ? お前ら、それじゃ俺らがまるで宇宙征服でも企む悪の組織じゃねェか! カ〜ッおもしれェ!」


「…………?」



 ザンコーには、ユウガが言っていることが理解できなかった。



「まァいいや。おめェらのそのご立派な態度に免じて、生き残るチャンスをやるぜ。なァに簡単だ。これから5分やるからおめェら全員俺に好きなだけ攻撃してきな。俺に傷を付けることができたら全員生かしてやる。何なら界遊楽団に入れてやっても良いぜェ?」


「っ!? な、なんと!!」



 団員全員、これ以上無い生存と出世のチャンスに少なからず希望を抱いた。


 同時にユウガの寛大さに触れ、改めて尊敬の思いを強めていった。



「安心しなァ。俺はノーガードだしバリアとかも一切貼らねェ。あァ、それと傷付けるのは服でも良いぞォ。さァ遠慮はいらねェぜェ? つか遠慮してたら死ぬからなァ。ほれ、早速開始だァ」


「う、うおおおお!! やってやるぜ!!」


「ア、アタシらだって相当強い筈さ! きっと成し遂げてみせる!!」


 

 団員達が攻撃の構えを取り、ザンコーも覚悟を決めて全力の構えを取る。



「我ら覇界団の全てをぶつけます!! ユウガ様、お覚悟を!!!」


「ハッハァ! 精々頑張りなァ!!」



 覇界団の力の全てが、ユウガにぶつけられた。


 5分後、覇界団のアジトを中心に半径100億キロメートルの範囲の小惑星が、団員達の攻撃の衝撃波で吹っ飛んだ。




******




「ってなことがあってよォ! おもしれェ連中だったぜェ?」


「ふむ、覇界団か。余も以前から奴らを余興に利用しようと考えてはいたが、先を越されてしまったか。それで、その後どうなったのだ?」


「案の定全然傷付けらんなくて結局全滅よォ。ま、ありゃ精々第2級レベルだったしなァ。んでその後すぐダンノンから招集掛かったってェ訳だ」


「まぁ、丁度良いタイミングで良かったわ」



 ここは現在の楽団のアジト。ダンノンの招集により全員が集まり、パーティと称して食事をしながら談話を楽しんでいた。



「無防備なユウガに傷を付けることもできんのなら、俺が戦う価値も無さそうだな。この宇宙のどこかに俺の相手になる人物は果たしているのか……」


「アッハハ!! カグってば本当に戦うことしか考えてないのねー! そんなに戦いたいならあたしたちに頼めば良いのに」


「いや、お前らとはもう過去に飽きる程戦ってきたからな。次戦うとすれば100年後だ。今俺が求めるのは新鮮な強者との戦いだ」


「てめェのこだわりはほんっとよく分かんねェなァ……。ま、精々頑張って探せや」


「…………んん……」


「あら? ガナちゃん起きたの?」



 ダンノンの膝枕の上で寝ていたガナハークが目を覚まし、起き上がる。



「よォ、おめェがちゃんと起きてるとこなんて久々に見た気がするぜェ! おめェ起きててもすぐどっかフラフラいなくなりやがるからなァ」


「…………良い匂い……。みんないる……」


「ふむ、どうやら馳走の匂いと我々が全員揃った気配にようやく気付いたようだな」


「ほら、ガナちゃんも一緒に食べましょ?」


「…………食べる……」



 こうしてガナハークも眠い目を擦りながら、楽団全員での食事パーティに加わった。



「ところでさっきの話だけどよォ、覇界団の奴ら、界遊楽団(俺ら)のことを世界征服を企む悪の組織と勘違いしてやがったんだぜェ? 笑えるだろォ?」


「へんなのー! あたしたち全然世界を支配する気なんて無いのにねー!」


「…………楽しいこと…………する……だけ……」


「だよなァ! ”この世界を好きなだけ楽しく遊び尽くす”。だから俺らは”界遊楽団”なのさァ!!」



 パーティは、まだまだ終わらない。


見やすい文章を作るのって本当に難しい

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